★★★『どんどこドーン! 〜真夏のこーふんどC〜』★★★
はじめに注意事項です。このレビュー内には表現の都合上、ゲーム内容に関してのネタバレなどが含まれている
可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した
後で、このレビューを読むことをお薦めします(勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除
しているつもりですが、排除が万全とは言えません)。以上の件、閲覧前に何卒ご理解ご了承下さい。
●− Review 序章 −●
真面目に作ったゲームなのか、悪ノリで作ったゲームなのか……それが問題だ。
北国が異例とも言える猛暑に見舞われていた8月上旬。暑さでパソコンに向かうのも億劫になっていた私は、逃避がてら10日
程度のスロット専念を発動し、冷房の効いたパチ屋でま〜ったりとスロットを打っていました。いや、正直暑いとエロゲも辛い(苦笑)。
で、そのスロットの方は5日目を終えた時点でエロゲ9本程度が買える収支になっていたのですが、上記の理由もありエロゲには
食指が動かず。ただ、どうせ全部スロットで消えるなら何か1本ぐらい買ってもバチは当たらないかな、と思いつつ何気なくエロゲ屋に
足を運び店内をくまなく眺めていた矢先、ふと本作「どんどこドーン!」が目に止まってしまったのです。あちゃー。
さて、一部筋では「ふんどしゲー」として妙に前評判が高かったらしい本作。勿論私はふんどしへの愛着も特になく(大体北海道は
寒いから夏でもそんな格好出来ません)、これと言ったフェチ魂も持ち合わせていなかったのですが、店頭でパッケージを眺めた瞬間
ここ一年ほど形を潜めていた「悪ノリ衝動買い」な感情が久しぶりに再燃。
ま、扇情的だし見た目もエロいしネタにもなりそうだし、と言う邪な考えの元、内心「イヒッ」と嫌な笑みを浮かべつつ本作を購入した
のですが……あ、単に暑さと仕事多忙で思考能力が極端に低下していた故の暴走に見えるのは多分気の所為です……閑話休題。
あ〜、凄い。普通の下着が一切出てこないよこのゲーム(苦笑)。
ある程度の覚悟はしていましたが、実際に遊んでみると何とも強烈な個性を醸し出していた作品でした。ただ逆に言えばその筋の
本職さん(ふんどし好き)が遊ぶべき作品としては実に秀逸な内容だったと思われます。多分。……勿論私のような属性無しの一般
エロゲスキーが遊ぶぶんにも問題ないアホらしさ(注:誉め言葉)になっていましたが、種類やシチュエーションなどの使われ方を考慮
すると、矢張りやっていることが解る人&本当に好きな人が心から楽しむべきゲームになっていたなあ、と。
ただ、どういう方向性であれ(スタッフの)こだわりと愛情が感じられる作品と言うものは得てして遊び手を惹き付けます。実際私は
当初の予想とは裏腹に普通のゲームとしても充分に楽しませて貰いましたし……。ま、こだわりが無ければ良い意味で只の馬鹿ゲー
だったと言うのも高評価の要因ですが(苦笑)。
しかし久しぶりにすげーものを見ましたよ、ホント。……確実に今までにないタイプのエロゲを遊ぶことが出来たと思われます、ええ。
……ま、正直、純粋なシナリオ自体はあまり面白くなかったのですが、その場ごとのインパクトは強烈なものがありましたし、元より
この特異な設定の下で真面目な展開を期待していた訳ではないので、その場のノリ重視で進めるには充分楽しめた作品でした。
それでは個々の見解に行ってみましょう。
ふんどしってあんなに種類があるものなのね……ゲーム性です。
本作のゲームジャンルはADV。道中の選択肢もさほど多くなく、1プレイ時間も3時間程度とサクサク進める作品でした。
で、勿論裏ジャンルはふんどしゲー。ここまで徹底してふんどしにこだわっていた様はある種の神々しささえ感じましたが、実際
何か例えようの無いオーラを放っていた作品でした。あ、但し、ふんどしな服装も相まって、夏らしさが感じられた点は微妙に好印象。
肝心のゲーム内容は語るまでもありません……と言うより想像通りの代物でしたが、根本的な部分で破綻して「いない」ので、
地味に作り込まれた作品に仕上がっていた点は少々意外であると同時に、面白可笑しく、ときにはトリビアの如く楽しむことが出来ま
した。あ、一応ゲーム中にふんどしに関しての簡単な説明が入るのですが、どうせならマニュアルの方に書いて欲しかったですね。ま、
その場で実物を見ながら注釈を見るのが一番良いのかも知れませんが……ちなみに、このふんどし云々な注釈に関しては簡潔なが
らも私のような素人(我ながら嫌な表現だ……)にも解りやすく書かれていたので、地味に有り難い仕様でした、ええ。
もっとも、元々は至って真面目な知識(伝統)をこういう形で身につけるというのは少々複雑な心境ですが……某新選組然り。
ただ、正直私は元の知識やフェチ魂は全く持ち合わせて居なかったのですが、それでも「こだわり」を感じることが出来ました。
このようなフェチ(マニアック)ゲーにおいては如何に対象物(ふんどし)に対してのこだわりを魅せているかが重要なので、恐らく
本作は相応の知識を持ちあわせた制作者が自分の思いの丈を存分に発揮した作品なのでしょう。そんな「解っている」人が作れば
ゲームの面白さは飛躍的に向上する訳ですし。
ま、それはさておき……ふんどしを気にしなければ多少抜けている箇所はあるものの普通のコメディ恋愛ゲー。但しふんどしを
気にすれば立派なふんどしゲー(くどい)。えちぃに関しては扇情的な雰囲気&もしくは馬鹿ゲーっぽいシチュ(主人公を賭けた女同士
の戦い(例:褌相撲))を醸し出しつつも、ほぼ完全な和姦ゲーになっていた点は馬鹿っぽくて面白かったです(注:誉め言葉)。
……さて、少々手抜きですが、これ以上のふんどし考察は属性持ちの方に任せるとしましょう。
深く考えたら負け……シナリオです。
当たり障りのない事情と都合で血の繋がらない兄妹になってしまった主人公と幼なじみ。
それはさておき、そんな二人が初めて迎えた夏休み。大学で文化人類学を専攻している主人公は、休みを利用して姉の親戚が居る
田舎に郷土研究に向かう計画を立てていた。しかし、強引に付いてきた義妹と主人公がそこで見たものは9日間にも及ぶ祭りと
ふんどし
のてんやわんやでワッショイワッショイな日々であった。そこで交錯するふんどし……もとい、主人公と少女達の想い。
このお話は、それぞれに思いを秘めた男女がふんどしに翻弄される(とても)Hな物語である……と言う設定で物語は幕を開けます。
これだけ書くとハッキリ言って馬鹿ゲーですが、馬鹿ゲー好きな自分は地味に楽しかったので良しとします(苦笑)。
ちなみにこの設定は余り意味がない……と言う以前に序章にもなってないので、実際は更なる勢いではっちゃけてますが……。
と、のっけから強烈なインパクトを醸し出していたシナリオでしたが、破天荒な反面、基本的な筋は通っていたので物語への引き
込ませ方は意外なほど自然でした。ただ、シナリオの整合性に関しては気にしないほうが賢明……裏を返すと整合性を気にする人
は本作を遊ばない方が賢明でしょう。正直、この手のゲームはツッコミ始めるとキリがありませんし(苦笑)。
で、シナリオ内容を端的に語ると「ふんどしハーレム」。様々なふんどし衣装を締めた少女とヤリまくると言う、マニア桃源郷な
作品(多分)でしたが、普通に遊んでも独特の扇情感が伝わって来る面白い作品でした。いや、ふんどしって地味にエロいですね。
基本的にテンションが高い&コメディ中心(当人達は真面目かも知れませんが、傍目から見るとアレな人達にしか見えない)と言う
こともあり、私好みの明るい作品でしたが、笑いのポイントが少々ずれていた所為もあり、純粋な笑いよりも苦笑いの方が多かった
のは少々残念……と言うよりも笑う所なのか浸るところなのかで悩む場所が多々。いや、ふんどし流し(CG付き)とか言われても。
ただ、散々述べたようにシナリオ……特に後半〜ラストの唐突&端折りすぎ感は凄いものがあるので、明確な起承転結を求める
人には論外な作品だと思われます。ぶっちゃけ私も純粋なシナリオに関する評価は低いですし……ま、元々感動を求めるような作品
ではありませんし、あくまでもその場の勢いとノリを楽しむのが一番だと思われますが。
……しかし、ある意味でバッドエンドが一番しっくり来る結末だったかも知れませんね。個別エンドは飛びすぎていて何が何だか……。
ま、要はあちこちで乱れるふんどしを堪能する物語と言うことで、ええ(苦笑)。
今回に限っては一番のメインか……CGです。
原画担当はおしゃれ教室さん。私的には初見の原画人でしたが、蓋を開けてみると地味に私好みの絵柄でした。
また、原画の魅力もさることながら、彩色が実に良かったですね。エロい絵がより一層エロく見えた様はなかなかに好印象。実際
ふんどしと言うそれだけでエロい物体の力もありましたが、それを抜きにしてもかなりエロかったんですよ。特に表情や質感は単体でも
充分に実用性を感じられるほどでしたし、服(主にふんどし)の透け具合や汗などが実に上手く表現されていた点も良好。横にずらして
挿入などのマニア感涙(多分)なCGもあり、好きな人にとっては見応えのある絵になっていたと思われます、多分。
あと、本作の演出として時折ウィンドウサイズのデフォルメCGが使われる(〜の図)ことがあったのですが、これもまた要所の
インパクトになっていて面白かったですね。ただ、面白いものは演出効果として充分な役割を果たしていたものの、状況によっては
邪魔に感じたりと、少々当たりはずれが大きかった点は残念でした。演出としてはなかなか良かったんですけど、ね。
で、肝心要のふんどし描写に関しては……予想以上にしっかり描けていたと思われます。正直私は種類云々や名称などは全く解ら
ないのですが、ある意味非常に勉強になりました。……身につけて良い知識なのかは少々疑問と言う説はさておき(苦笑)。
特に普通の下着とは違う独特のエロさが醸し出されていた点はノーマルエロゲを遊び慣れた立場として実に新鮮な感覚でしたね。
ちなみにもっとも重要なえちぃに関しては……やってることは普通ですが、いかんせん見た目がふんどしなので、どう見てもマニ
アックにしか見えないところは苦笑い。但し本当にマニアックなシチュもありますが、ふんどし好きな方々には充分納得の行くものに
なっていたと思われます。しかしまあ……くどいようですが正に「凄いものを見た」と言う印象でした。ええ。
快適な動作には欠かせない……システムです。
ゲームジャンルがADVと言うことでさほど複雑な機能を必要としない作品でしたが、一通りの機能完備に加え、ショートカットキー
がキーボードにも対応しているなど、使い勝手はなかなか良好でした。ま、所々に素っ気ない部分もありましたが、痒いところに手が
届く部分もあったので、平均すると使い易い部類のシステムだったと思われます。また、本作の売りでもあるイベント単位のスキップ
機能は繰り返しプレイに優しい仕様で実に良好。但し、既読判定が曖昧(通常時も結構曖昧)だったりと時折怪しい箇所もありました
が……ただ、イベントスキップ機能に関しては仕様上、既読未読の判定を付けられないのかも知れませんけど、ね。
後、細かな特記点としては……ウィンドウモードでプレイ中、マウスカーソルを枠外(下)に逸らすと自動的にテキストが消える
機能はCG観賞に便利でしたし、多少状況が限定されますが、このご時世に「至ってまともな」緊急回避機能装置が付いていた
のは面白かったですね。最近の緊急回避は洒落気味に作られていることが多いので、このようは正統派の実装は久しぶりでした。
……簡潔ですが、システムに関しては以上です。
君が居た夏は遠い夢の中……音楽です。
さて、音楽に関しては……正直なところ「微妙」と言う印象の方が強かったですね。夏らしさ(田舎らしさ)&祭りらしさを演出しようと
頑張っていた点は認めますが、どうにも結果が伴っていなかったな、と。無理矢理「らしさ」を演出しようとした代償なのか、どちらかと
言えば一部の曲が耳障りに感じられたのは残念でした。特に祭系の曲は雰囲気を出そうとして逆に失敗していた感を受けましたし。
また、C.V.に関しても微妙にキャラ外観に合っていなかったような……どことなく鼻に付くような声は正直苦手でした。
致命的と言える程ではなかったものの、普段は殆どこの手の違和感を受けることが無いので、それだけ気になったと言うことでしょう。
慣れてしまえばそれまでですが、ファーストインパクトは少々キツイものがありましたね。
あ、そうそう。余談気味ですが、久しぶりにオープニングの歌で爆笑させていただきました。
アレなムービーも相まっていたとは言え、最近こういうはっちゃけたOPを見る機会が無かったので、それだけでも楽しかったな、と。
意味もなく新境地を開拓してしまった気もしますが……。
いや、何だかんだで面白かったです。見た目と言い中身と言い、実に扇情的かつエロティックな作品でした。
お世辞にも物語を楽しむタイプではありませんが、真面目に作り込んだ馬鹿ゲーとしては実に優秀だったと思われます。
……しかしよく考えましたね、こんなゲーム(苦笑)。
ま、詳しい見解は本職(苦笑)の方々に任せるとして、ふんどしを真面目に面白く、なおかつエロく使った馬鹿ゲーとしては歴史に
残しても良い作品でした。……いや、恐らく後にも先にもこんなゲームはもう二度と出ないでしょう。続編とか出ても困りますが(苦笑)。
さて、結論です。
今更語るまでもありませんが、ふんどし好き(属性持ち)は買って損なし(と思われます、多分)の内容でしょう。あと、ストー
リーは兎も角として、お手軽に馬鹿ゲーを楽しみたい人や普通のエロゲーに食傷気味な人にもお勧め出来ますね。過度な期待を
すると間違いなく肩すかしを食らいますが、新鮮な感覚で楽しめること請け合いですね。
反面、シナリオに整合性を求める人や、ふんどし云々以外の展開を求める人は潔く回避したほうが賢明ですね。
……さて、後の詳しい見解は本職(苦笑)の方々に任せるとして、個人的にはふんどしと言う基本的には真っ当な素材を真面目
に面白可笑しく、かつエロティックに使った馬鹿ゲーとして楽しませて貰いました。と言うか、今更ながら良い経験をさせて貰いました。
何より、制作者のこだわりと熱意が感じられた作品になっていたと言う点は高く評価して良いと思われます。実際フェチゲーとしては
完全に成功していましたし……ただ、逆に言えばそれ以外の層はほぼ完全に切り捨ていると言っても過言ではありませんが。
ま、やったもの勝ち、インパクト勝ちな側面もありましたが、それを差し引いても何から何までふんどし尽くしな作品でしたねえ……。
あ、それと最後に一言。今回、本文中において「多分」と言う不確定かつアバウトな言葉を多用していますが、これは私が属性
持ちだったらこう考えるだろうと言う考えの下に記述しているので、申し訳ありませんが、属性持ちな方は同じ属性持ちな方のレビュー
を参考にして頂ければ幸いです。今回の見解は馬鹿ゲ好きの視点から書いたレビューとなっていますので……。
さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。
縁があれば次のレビューでお会いしましょう(^^)/〜
OS=日本語版Windows98/Me/2000/XPが動作する環境
CPU=PentiumII-400MHz(推奨PentiumIII-500MHz)以上
メモリ=64MB(推奨128MB)以上
HDD=空き容量985MB以上
解像度=800×600:フルカラー表示が可能であること
CD-ROM=8倍速以上
音源=PCM
DirectX=Ver8以降
他、VRAM8M以上のビデオカード必須
「原画:おしゃれ教室」
「シナリオ:花右京次郎」
「音楽:満願寺多田太郎」
「音声:あり アニメ:なし 」
「発売日:2004年08月06日」
「価格:8190円(税込)」
「初回特典:無し」
「年齢制限:18禁」
「メディア:CD」
「Ver:1.00(初期ロット)」
注:2003/01より点数形式を変更しました(50→100点満点)