Ver 1.00



 
 






★★★『よくばりサボテン』★★★




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 はじめに注意事項です。このレビュー内には表現の都合上、ゲーム内容に関してのネタバレなどが含まれている

可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した

後で、このレビューを読むことをお薦めします(勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除

しているつもりですが、排除が万全とは言えません)。
以上の件、閲覧前に何卒ご理解ご了承下さい。 

 
 
 
@@@@@@@   以下本文   @@@@@@@








●− Review  序章 −●






 あー、アリスソフトさんとしては久しぶりの低価格路線ですね。


 北国にようやく春の兆しが見え始めた4月下旬。毎日書道展に出品する作品を書き上げ、軽く一息付いた私は、

久しぶりに新作のエロゲーを購入するため、行きつけのエロゲ屋……ではなく、とある同人ショップへと足を運びました。


 で、その新作エロゲーであるところの「よくばりサボテン」ですが、この作品は以前遊んだ際に個人的評価が高かった

ダダ甘恋愛ゲー「しまいま」の系列であったことや、単純な購入意欲……特にハーレムコメディと言うシチュエーションが自分

好みだったこともあり、元々購入する予定の作品でした。ただ、丁度この時期はエロゲラッシュ(GW商戦)に入る大事な時期

だったことや、大人の事情により優先購入するエロゲーが同日に控えていたため、先ずは購入しておいて、落ち着いた頃に

遊ぶ予定を立てていたのですが、何の因果か気が付けば肝心の本命が1週間の延期。余談になりますが、1週間後にバッテ

ィングするはずだったエロゲーは結局1ヶ月の延期と、相変わらずエロゲ業界の延期悪癖は健在そのもの(苦笑)。


 結局残ったのが本作だけだったのは何とも皮肉な話とは言え、廉価ゲーなので手軽に遊べ、なおかつ1週間あれば

レビューも充分間に合うでしょう、と言う半端に計算高い判断の元、本作をサクサクと開始したのですが……閑話休題。







●− Review1  全体の印象 −●






 いや、これは良い意味で値段相応な作品でしたね。


 このクオリティで値段相応と言える時代になったと言うのもある意味凄い話ですが、低価格ゲームの先駆けとして地位を

築いたアリスさんならではの高品質な良作だったと言えるでしょう。殊更、最近の低価格ゲームは手抜きか頑張りすぎかの

二者択一に分かれる傾向がありますが、本作は言うまでもなく後者寄り。まあ正直な話、ヒロイン待遇の違いを始め、一部

ルートの短さや全体的な早急感、その他諸々の不満材料もありましたが、元々が廉価ゲーなので個人的な評価としては短い

なりに健闘した良作と言う評価を出したいですし、何よりもハーレムコメディと言う名の通り、ダダ甘な恋愛模様をはじめ、登場

人物の初々しさは思わず背中が痒くなりそう&それに従った王道展開の数々は実に素晴らしかったと思われます。


 ……殊更、この手の廉価路線は短い時間で軽く楽しむのが正しい遊び(楽しみ)方です。

 近頃は私を含め、ユーザーの目が肥えてきたこともあり、ついつい通常価格の作品に近い感覚で評価をしてしまいがち

ですが、元の定価や低価格路線に求める「お手軽」さを考慮すると、このお手軽な内容は決して間違っていません。


 結局のところ、良くも悪くも「低価格ゲームだから」と言う台詞で全ての不満要素を片づけられますし、それを抜きに

しても本作は充分評価できる作品だと思われます。……世の中、短時間で遊べるゲームを好む人も結構居るんですよ、ね。


 それでは、個々の見解に行ってみましょう。







●− Review2 ゲーム性  −●






 言い寄られ系とは一寸違うような……ゲーム性です。


 ゲームジャンルはADVで1プレイ時間は5時間程度。但し、シナリオによってプレイ時間が若干変動します。

 また難易度は低めで、選択肢は妥当なものを選んでいけば問題ありません。数が少ないので分岐も簡単&ヒロイン

の性格や設定を考えて動けば問題なくルートに入れますね。なお、好感度に関しては音ナビ(上昇音)も参考に出来ます。


 事前のキャッチフレーズにもあったように、ゲーム内容は典型的なハーレムもの。良く言えば明るい六角関係、悪く

言えば八方美人なシチュエーションでしたが、ヒロイン同士の露骨な殺伐感や修羅場は無く、どちらかと言えばハーレム

と言う設定を存分に生かしたドタバタ要素の強い展開が多かったですね。また、作風が意外にコミカルだった点も個人的

には好印象。まさにラブ&コメディという感じで楽しませて頂きましたし、ベタな展開を楽しむにはもってこいの内容でした。

 ……ちなみに主人公は見た目平凡、でも天然完璧超人と言う良い意味で典型的なタチ悪ハーレム系主人公(苦笑)。

 あまりに鈍感すぎるのも罪になると言う良い例でしたし、常人には耐え難い空間に気づかない主人公はある意味で最強。


 ただ、ひとつ気になったのがヒロイン達の扱い。これはハーレム系固有の欠点なのですが、一度に絡んでくるヒロインの

数が多すぎる所為で、会話をしていても常に横槍が入るのは若干煩わしかったですね。言うまでもなく個々のヒロインは

魅力的だったものの、中盤までは兎に角賑やかで1人に集中する隙もなく、個々の魅力を堪能する余裕が無かったのは勿体

無かったですね。和気藹々のドタバタな会話も好きですが、あまりにも多すぎると流石に興ざめしますし……良くも悪く

も八方美人な主人公の性格が災いし、個別の恋愛ルートが遠かったのは演出として少々失敗していたと思われますね。


 実際個別ルートに入った後のヒロイン達は更に魅力的に映っただけに、低価格ならではのボリューム不足による詰め

込みすぎが裏目に出てしまったかな、と。もう少し展開にゆとりがあれば、ゆっくり会話を楽しめたと思われるのですが……。







●− Review3 ストーリー −●






 欲張りは兎も角、サボテンか……ストーリーです。



 主人公は合気道道場の師範を父に持つ、ごくごく普通の学生。そんな彼の元に集うのは世話焼きな委員長をはじめ、

一寸変わったクラスメイトや、幼なじみのお嬢様。更には5年ぶりの再会をする義妹などなど、実に多彩な女の子達。

 ところが、それぞれの女の子に囲まれながらも、少しとぼけたところのある主人公は、みんなの好意に気付かない。

 そんな主人公に女の子たちはあの手この手で気を引こうとするが……海有り温泉有りアルバイト有り言い寄られ有りの

ドタバタストーリーが今始まる……
と言う設定で物語は幕を開けます。


 まず低価格ゲーという仕様上、ボリュームに関しての過度な期待は厳禁です。一部ルートに関しては適度な容量を

保っていたものの、逆に一部ルートはかなりあっさり終わったりと、格差という名のヒロイン待遇に若干難が有ったのは勿体

なかったですね。個々が均等の長さであれば良かったのでが、格差故に短いヒロインのシナリオは益々短く感じてしまい、

結果的に不本意なイメージを生んでいたのは勿体なかったですね。特に本作はどのキャラも非常に魅力的だった上、個々の

結末は理想的なハッピーエンドだっただけに、そこに至るまでの待遇(主にエロ数)の違いはかなり不満がありました。


 と、のっけから少し厳しくなってしまいましたが、物語自体は始終明るく楽しい物語。良い意味で意外性のない王道的な

シナリオ(短縮形)を堪能することが出来ました。値段相応と言ってしまえばそれまでですが、短いなりに抑えるところを抑えた

良い展開だったと思われます。また、時折ヒロイン視点で物語が進みましたが、この演出は大変良好でしたね。


 ただ、それにしても序盤の展開が早すぎたのは苦笑い……と言うか、ヒロインが早く惚れすぎ(苦笑)。その潔いまでの

一目惚れぶりは流石に突っ込みたくなりました。ちなみに最近流行かも知れないツンデレ風味のキャラも登場しますが、ツン

が一瞬で終わるほどの勢いで物語が進むので、あまり意味はありませんでした。故にツンデレ要素は殆どありません。


 また、先述したように何をするにも複数のヒロインが辛み、互いに足を引っ張り合う(ただしイベントそのものはコメディ調で

楽しい)ので、パターン化による展開の先読みが出来るのはハーレム物の宿命かも知れません。もっとも、肝心要のハーレム

ルートはかなり暴走していた割に肝心の複数Hが搭載されていなかったと言うオチ。正直これは残念の一言でした。はい。







●− Review4 グラフィック −●






 さて、ゲームの華、CGです。



 原画担当はアリスソフトさんではお馴染みのむつみまさとさん。改めて語るまでもなく可愛い魅力的なキャラを描くことで

定評のある方ですが、本作でもその魅力が遺憾なく発揮されていたと思われます。ただ、塗りの所為か、随分あっさりして

いた印象も受けましたね……何時にも増して平面的な雰囲気でした。淡い塗り、と言うにはちょっとだけ違ったような……。


 また、折角のキャラを更に生かすであろう立ち絵CGの差分がない(1枚につき1パターン)のは勿体なかったです。

 フェイスウィンドウはわりと賑やかに動くので、表情はわりと良く伝わってきたのですが、時折立ち絵と状況が合っていない

箇所もあったので、最小限の立ち絵差分を入れてくれれば、なお状況を楽しめたと思われます。この点は少々残念でした。


 あと、これはあまり気にすることではありませんが、舞台設定が「しまいま」の世界なので、どこかで見たことのある背景や

キャラ達が登場したのはご愛敬。別に作品の予備知識は必要ありませんが、触れておけばニヤリと出来る展開や場所も多い

ので、機会があれば遊んでみるのも良いと思われますね。今なら製品版がアリスソフトさんのサイトから無料DL出来ますし。







●− Review5 操作性(システム) −●






 相変わらずのSystem4……システムです。


 と言う訳でシステムはアリスさんお馴染みのSystem4.x系。今の時世的には若干古い(但し中身は凄い)印象を拭えま

せんが、本作に関しては特に不満もなく、ADVとしては充分なシステムだったと思われます。強いて言えば、デフォルトで

カーソル強制移動は選択肢の誤選択に繋がるので止めて欲しかったかな、と。


 後はこれと言って特に無いですね(苦笑)。好感度上昇は音ナビが付いて分かり易かったですし、バグは皆無。

 こう言うと少々失礼かも知れませんが、アリスさんのシステムにしては珍しくケチが少なかったかも知れません(苦笑)。







●− Review6 音楽 −●






 安定志向も問題か……音楽です。


 音楽担当はこれまたアリスさんお馴染みのNEY氏。スタッフがほぼ固定されているメーカーさんらしく、どの曲も安心して

聴ける曲でした。特に印象に残る曲がなかったのは残念でしたが、一寸古さを感じさせる曲やコミカルな曲などは非常に良い

味を出していたと思われます。時折若干場に合っていない雰囲気の曲が流れる場面があったのは勿体なかったですが。


 で、低価格路線のネックとも言えるC.V.に関してですが、本作は主要キャラに関しては、男女を問わずボイス付きでした。

 ただパートボイス方式を採用していたので、結果的にはボイス無しのシーンが大半を占めました。個人的にはどっち付かず

になるよりは低価格らしく、音声無しでも全然問題なかったと思われますが、時世的にそれだと売れないのかも知れません。


 勿論、値段の割に頑張っていたことは間違い有りませんし、声優さんの演技力に関しては全く問題ありませんでしたが。







●− Review7 総合評価 −●






 いや、何だかんだで充分楽しませて貰いました。


 ぶっちゃけボリューム云々は承知の上で購入しましたし、個人的には予想以上のボリュームだった部分もありました。

 元々お手軽なラブコメ&ハーレム模様を手軽に堪能すると言う目的で購入した作品なので、その点に関しては充分満足

しましたし、何より余暇時間が少ない人間が手軽に遊べる詰め込み系の恋愛ゲーとしては正しい内容だったと思われます。


 ぶっちゃけ、エロゲに置ける恋愛課程はテンプレと称されるように王道と定番(やることは一緒)だけなので、その課程を

多少端折っても補完することが安易に可能ですし、それ故に納得がいく(理解できる)部分があります。ある程度エロゲの

展開を知っている人前提ではありますが、実際行き着く先は一つしかないので、ある程度の課程を削ってコストを抑えると

言う行為は廉価ゲーのスタンスとして間違っていませんし、この端折りすぎな強引展開も仕方がないかな、と。


 ただ、この作品に関してはもっと大きなボリュームでじっくり遊びたかったと思えただけに、それが結果的にマイナス

評価になってしまったのは本当に惜しかったですね。まあ、御法度な見解ではありますが、どうせなら通常価格でボリュ

ームもそれ相応に作って欲しかったです。勿論、低価格ならではのメリットは充分あったと思われますが。


 さて、結論です。

 まずラブコメ系のADVとしては非常に秀逸だったので、そのノリが合う人にはお勧めです。また、1プレイ時間が適度に

短いので、一寸した息抜きや気軽にモテモテ恋愛ゲーを楽しみたい人にもお勧め出来ますね。その反面、ハーレムルート

の結末が少々微妙だったり、キャラによる格差が(エロを含め)非常に大きいので、全てのキャラに均等なボリュームを期待

する人には一寸お薦めできませんね。具体的に言うと、凛と委員長「以外は若干待遇が悪い」です。はい。


 あ、そうそう。本文中でも散々触れましたが、この作品の雰囲気に近い「しまいま」と言うエロゲーの製品版が同じメーカー

であるアリスソフトさんのサイトから無料でDL出来るので、そちらを遊んでから購入の是非を判断するのも良いと思われます。


 さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。長文に最後までお付き合い頂き、有り難うございました。

 縁があれば、次のレビューでお会いしましょう(^^)/〜





2006/04/27 Nagale



Post,Script,


結局凛のネコミミは何だったんだろう……。




< ゲーム動作環境 >


 
 


OS=日本語版Windows98/Me/2000/XPが動作する環境

CPU=PentiumIII-500MHz以上

メモリ=256MB以上

HDD=1.3GB以上

解像度=800×600:フルカラー表示が可能であること

DVD-ROM=実装必須

音源=PCM

DirectX=Ver9以降



  


 
(一部パッケージより抜粋)




< 補足 >




原画:むつみまさと」

シナリオ:はちまん」

音楽:NEY」

音声:有り(一部) アニメ:なし」

発売日:2006年04月21日」

価格:2940円(税込)」

初回特典:なし」

年齢制限:18禁」

メディア:DVD」

Ver:1.00(初期ロット)」

(順不同、敬称略)
 
 
 
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< 評  価 >
 
 
 
『よくばりサボテン』
 
 
 
メーカー   アリスソフト
 
ジャンル       ADV
 
 
 
ゲーム性         16点
 
ストーリー         14点
 
グラフィック          18点
 
操作性           18点
 
音楽             15点
 
 
 
合計 81点(/20点満点×5項目=100点)



注:2003年1月から点数形式を変更しました(50→100点満点)





<評価概要>





ドタバタ学園ラブコメADV。それ以上でも以下でも無いが、ヒロイン達が非常に魅力的で堪能できた。

唐突感や強引さは否めないが、安心して楽しめる展開と結末は自分好みだった。キャラによる扱い格差は残念。

塗りが若干気になったが、原画自体は申し分なし。ただ、エロの配分は極力均一にして欲しかった。

定番のSystem4系。今回は標準的ADVに乗っ取ったシステムだったので、大きな不満は感じなかった。快適。

新鮮味には乏しいが、安心して聴くことが出来た。個人的に半端なパートボイスは要らなかったと思う。



 
(上から順に、ゲーム、ストーリー、CG、操作、音楽と各1行ずつの簡易評価説明)





<評価用プレイ時間(参考)>




1プレイ時間     約05時間00分

総プレイ時間     約11時間00分
 
1プレイにおけるHシーンの割合(時間) 約00時間15分