★★★『夜勤病棟・弐』★★★
はじめに注意事項です。このレビュー内には表現の都合上、ゲーム内容に関してのネタバレなどが含まれている
可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した
後で、このレビューを読むことをお薦めします(勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除
しているつもりですが、排除が万全とは言えません)。以上の件、閲覧前に何卒ご理解ご了承下さい。
なお、申し訳ありませんが本レビューは陵辱ゲーを普段遊ばない(嫌いな)立場から考察した見解が多くなっています。
よって通常購入層の見解とは根本的に違うと言うことをご理解いただけると幸いです。ぶっちゃけ全く参考になりません。
●− Review 序章 −●
ん〜、大番長のレビューも上がったし、これで月末まではエロゲの予定無し、と。
再就職も出来ぬままに年を越してしまった1月中旬。近年稀にみる猛吹雪に見舞われながらも伸びに伸びた大番長のレビューを
無事に仕上げた私は、特に何をする当てもなく殺伐とした日々を過ごしていました。あ、言うまでもなく就職活動は続けていましたが。
そんなこんなで次のレビュー対象となるエロゲの発売日まで約半月。別段そのまま過ごしても良かったのですが、息抜きがてら
何か一本エロゲを買って遊ぶ程度の時間的余裕が出来たのも事実。とは言え、実際何か無いかと考えてみても特に食指は動かず。
まあ別に無理をして買うまでもないか……と、今回はこのまま月末まで大人しく過ごそうという結論に達しつつあった矢先、友達
から何の前触れもなく本作「夜勤病棟・弐」を勧められたのですが、勿論速攻で却下したのは言うまでもありません(苦笑)。
いえ、今更語るまでもありませんが、そもそもこのジャンル……俗に言う陵辱ゲーは私的趣味の管轄外。
常日頃からゲームは娯楽という見解を貫いている立場上、わざわざ精神的ストレスの溜まるような(苦手なジャンルの)ゲームを
率先して遊ぶ理由は全くもって無かったこともあり、その提案は失礼ながらほぼ話半分で聞き流していたのです。
ただ、話を聞いているうちに、多方面に話題を巻き起こした(ジャンル管轄外な私でさえ名前を知っているぐらいですし)作品の
2作目と言うことに対する興味が多少沸いたことや、良かれ悪かれ遊ぶゲームも無いと言う気まぐれも手伝い、妙な空気が出来てしま
ったのも事実。で、場の勢いもあり何故か買う買わないを決める段階まで話は進んでしまい、その際にちょっとした賭けを行ったのです
が、結果は見事なまでの負け。但し金銭的には勝ち(注:スロットで勝負した)。……と言うことで、弾き出された結論はひとつ。
そしてその日の夕方、私の手元にはしっかりと「夜勤病棟・弐」が握られていたのです。正直、心中は結構複雑。
まあ少なからず興味があった&買ったからには後戻り出来ないと言うことで本作を開始したのですが……閑話休題。
あ〜、当たり前だけどバリバリの陵辱ゲーだあ……。
客観的に眺めた場合、小綺麗にまとまった良い作品だったと思われます。変な例え話ですが個人的に考えている陵辱ゲーの
イメージに沿った展開や多様なシチュを堪能させて貰いましたし、課程云々は兎も角、一部のえちぃシーンは非常に良い感じでした。
……勿論言うまでもなく普段恋愛ADVを中心に遊んでいる私としては、最初から最後まで受け入れがたい内容でしたが。
要所のシーンで引きまくるわ、遊んでいて嫌〜な気分になるわともう散々。そもそも痛い系、無理矢理系が苦手と言うだけで本作
の9割を楽しめないことは言うに及ばずですし、スカ云々はもうそれだけで論外。ましてや改造なんか加わった日には人としてどうよと
言うツッコミを入れたくなった次第であります。どう考えても陵辱ゲー(本作)を買った輩の言う台詞ではありません(苦笑)。
とは言え、普段と毛色の違うゲームは矢張り違和感があった反面、ある意味新鮮な気持ちでプレイできた点は面白かったですね。
もっとも楽しむと言うよりは前後の過程を無視し、ひとつの場面として切り離し鑑賞するといった感覚で遊んでいましたが。
あと、これは衝動買いに走った私が悪いのですが、前作を遊んでいない立場としては要所の展開に首を傾げる部分もありました。
最終的には単体で楽しむことも可能な作りになっていたと思われますが、前作キャラを時折交えつつ物語が進んでいた部分もあり、
これと言った繋がりが無いようで実はあるような展開を見ることも少々。結果的にところどころ不明瞭な箇所がありましたね。
いや、何せこのシリーズと言えば、ある意味伝説的キャラであるところの比良坂先生の話題しか聞いたことが無かったもので……。
前作からの流用キャラ(らしい)かつメインヒロインの「恋」を全然知らない時点でやっぱり間違っている気もします、自分。
結果的には初代を知らぬが花だったのかなあ、と言う気もしましたが。……矢張りこの手の作品は初代から遊ぶべきでした、ね。
それでは個々の見解に行ってみましょう。
至るまでの過程が恋愛ゲーム並に面倒だった気が……ゲーム性です。
ゲームジャンルはSLGですが、実質的にはADVと言って良いでしょう。内容は至って普通の陵辱系。但しタイトルにもあるように
病院を舞台にした作品なので病院内に関するイベントが必然的に多かったですね。まあ、基本的に攻略対象キャラはナースに絞ら
れるので、当たり前と言えば当たり前な話ですが。
肝心のゲーム内容は医師である主人公が病院内を移動し、ヒロインの好感度を上げつつ一気に落として丸め込むと言う非正統派
ストーキング的陵辱ゲームで、どことなく探偵ゲーな部分も有りました。ただ、個人的には以外に面倒と言うか、作業プレイな色が
強かったなあ、と言う印象でしたね。別にこの手のゲームはもう少しお手軽に陵辱出来ても良かったと思われますが……。
また会話テキストに関しても結構使い回しが多かったのは微妙なところ。使い回すならもっとサクサク先に進めても良かったかと。
移動して、会話して、好感度を上げて(場合によっては下がる……)、と言う課程をもう少し短縮かつお手軽にすればなお楽しめる内容
だったと思われるだけに勿体ないなあ、と言う印象が強かったです。
もっとも、至るまでの苦労が多ければ多いほど良いと言う人も居るかも知れませんが(苦笑)。
しかし途中までは普通の恋愛ゲーと見間違うほどの展開を垣間見ることが出来ましたね。主人公の内面描写さえ無ければですが。
で、そんな陵辱ゲーには欠かせない肝心要の主人公は本音と建前のギャップが凄すぎなイケメン(多分……)エリート医師。
外面に関しては評判、好感ともに上々な反面、内面は頭の線が2〜3本飛んだ純真変態ストーカー。このあたりの描写は如何にも
と言ったところでしたが、まあゲーム内容が内容なので問題なし。あ、勿論個人的には論外なことは言うまでもなく。
ただ、別に性格云々を突っ込む気は無いものの、本音と建前の描写(会話)が交互に入るのは思い切り違和感がありましたが。
もともと良い主人公だとは微塵も思っていませんでしたが、実際遊ぶと印象が更に嫌なヤツへと変化したことは事実。
いくら陵辱ゲーとは言えど結局はプレイヤーの分身であるところの主人公なので、多少なりとも感情移入したかったところです。
あ、ちなみに各ヒロイン自体は普通に魅力的。ある意味堕としがいのある良いキャラでした。
これなら普通の恋愛ゲーでも良かったのになあ、と思わず本音が出たのはお約束ですが、それは言うまでもなく間違いな訳で。
久しぶりに遊ぶと結構新鮮な展開だ……シナリオです。
若き天才医師「九羽原 惣一郎」。その穏和さと爽やかなルックスで周囲の評判も良く、名実共にホープでありエリートだが、
その実体は趣味が人体改造というねじ曲がった欲望を持つサディスト。良い女を見かけると巧みに近づき、絶対の信頼を得た後に
牙を剥き、陵辱。その後は女達を脅迫し征服欲を満たすことを日常としている。
そんな九羽原が赴任してきたのは、巨大な施設で知られる「聖カトレア病院」。そこへ来た目的は一人の女性と出会うためだった。
九羽原を迎えた病院は巨大なコンクリートの檻と化し、狂った獣の狩り場になる……と言う設定で物語は幕を開けます。
正直この設定だけでお腹一杯でしたが、実際その通りで実にゲンナリしました(苦笑)。ただ頭のイッている主人公という
のは一歩引いた視点で見ると突っ込みどころが沢山あり、その点だけは非常に楽しむことが出来ましたね。ああ、勿論良い意味で。
シナリオ本線は研修生時代に主人公が一目惚れしたヒロイン「恋」を手に入れるため他のヒロインを奴隷、従属させ自分の魅力
を再認識して貰おうと言う間違った方向に奮闘する内容でしたが、やっていることはさておきシナリオの展開や結末は意外に普通
だったので、ストーリーが味気ないと言う印象はありませんでした。
ただシナリオに関しては半端な印象が強かったですね。シナリオを犠牲にして陵辱に専念している訳でもなく、陵辱とシナリオ
を上手く両立させている訳でもなく……それなりにまとまっていた、と言う以上の評価を出せなかったのはキャラの魅力や設定その
他を考えると非常に勿体なかったかな、と。勿論普通に陵辱ゲーになってはいましたけれども……。
あと、気になった……と言うよりは幅広いなあ、と痛感したのが陵辱のシチュエーション。多種多様でありいろいろなパターンを見る
ことが出来た反面、これらのシチュを全部受け入れられる趣味を持つ御方が居るのかは疑問ですね。個人的にはある程度狭く深くに
方向性を絞ったほうがより純粋に内容を楽しめたと思われますが……。
しかし……嫌な主人公でしたねえ(苦笑)。陵辱ゲーと言うことを考えると決して間違ってはいませんが、もう何というか変態。
でも刺されそうで刺されないタイプだったのは流石というべきなのかそうでないのか……私なら刺しそうですけど。
まあ表面上「だけ」は実に良い人だったので内面もこのままに……ええ、そうなると陵辱ゲーとは呼べなくなりますが(苦笑)。
さて、ゲームの華、CGです。
原画に関しては作画、構図共に取り立てて違和感もなく、及第点を出して良いと思われます。特に首を傾げるようなCGが
無かった点も本来当たり前のことではありますが高く評価したいところですね。あ、でもスカとか見た目の痛い系は勘弁(苦笑)。
で、本作における一番の見所は矢張りその彩色でしょう。
シリーズに興味がなかった私でさえこの塗りだけは以前から注目していたのですが、今回はじめてその作風に触れることが出来
ました。で、正直な感想としては成る程上手いなあ、と。この淡目調な塗りを見ることが出来ただけでも、ひとつの収穫でしたね。
勿論、純粋なリアル味(色)とはまたベクトルが違いますが、人肌の表現という面では非常に面白い彩色方法だったと思われます。
と言うわけで簡潔ですがCGに関してはこの辺で。まあ正直私にとっては静止しかねる原画が結構あったのも事実なもので、ええ。
陵辱シーンはどうにも苦手でいけませんね……と、相変わらず見当違いな考察をしてみたり。
機能充実、だけど動作は微妙……システムです。
ゲームジャンルがADV(注:正式にはSLG)と言うこともあり、システム自体にさほど複雑な部分はありませんでしたが、単純に
システムを評価した場合、基礎から応用に至るまでの機能が一通り以上に実装されており、非常に充実したシステムだったと言える
でしょう。細かなところまでカスタマイズが効いた点は評価したいです。
ただ、それを帳消しにして更にマイナスと言わんばかりの不満がひとつ。兎に角、システム自体が重いんですよ。
一応私は推奨環境(必須、ではない)の3倍程度なスペックで遊んでいましたが、それでもシステム全体が少し重かったのは微妙。
どこをどう頑張ると普通のADVでこうも重くなるのか素人には解りかねるぐらいストレスの溜まる仕様になっていましたし……。
まあ、流石に少し言い過ぎたかも知れませんが、システムの呼び出しや切り替えなどの反応が常にワンテンポ遅れたことは事実。
目くじらを立てなければ気にならない程度と言えばそれまでですが、もう少し快適でもなあ、と言うのも本音です。特に通常のセーブ
関連の処理が妙に面倒だったのが追い打ちでしたね。多機能と複雑(重さ)は似て異なるものなのですが……。
ちなみにゲームシステムは基本的にヒロイン達の登場する場所に出向き好感度を上げていくと言う普通のストーキングゲーム。
このあたりの課程と労力は恋愛ゲーと何ら変わりなしでした。勿論一定の好感度に達した後はあっさりと奈落に突きおとしましたが。
あと、システムとは微妙に関係ありませんが、文章を読んでいる際、時折「。」の後ろが一文字ぶん開いていたのが凄く気になり
ましたね。バグだったのかライターさんの癖だったのかはイマイチ不明瞭でしたが……それとアイキャッチは毎日繰り返す必要があっ
たのか、システム自体の重さを考慮すると少々疑問に残るところでした、ええ。
そしてゲームの引き立て役……音楽です。
そうですね、素っ気ない見解ですが無難に良い感じでした。音楽単体の出来や場面との融合度はどちらも相応に出来ていましたし、
音楽としての役割は充分果たしていたと思われます。特に印象に残るような曲が無かった点は残念でしたが、完成度自体は及第点
と言って差し支えなかったですね。どんよりしたり明るかったり、それぞれの曲調を聴かせて貰いましたし(苦笑)。
ただ、個人的にひとつ新鮮だったのが如何にも陵辱シーンですよと言わんばかりの音楽。普段恋愛ゲーを中心に遊んでいる立場と
してはあまり聴くことのない曲調が多く、新鮮な感覚で聴くことが出来ました。このあたり、しっかりと場面相応だったなあ、と。
あ、それと一寸見当違いな批評になりますが、折角の音楽に曲名が付いていなかったのは勿体なかったですね。
音楽モードを開いて思わず唖然としましたが、まがりなりにも音楽モードがあるならば曲名ぐらいは付けて欲しかったかな……。
実際の評価に関しては丸投げ&余所様にお任せするとして……。
普段陵辱ゲーを遊んでない立場としては非常に新鮮な作品でした。勿論要所で生理的嫌悪爆発な展開が多く殆ど楽しむことが
出来ませんでしたが、それでもゲームとしては面白かったです。突っ込みどころが盛り沢山な展開は苦笑いモノな反面、先に述べた
ように、普段遊んでいないジャンルだからこそのツッコミが多かったと思われるので、その辺を気にしたら負けと言うことで(苦笑)。
まあどう間違っても好きになれる内容ではありませんでしたが、私が内容に嫌悪すればするほど陵辱ゲーとして面白いような
気もするので、その点を考慮すると本作は良いゲームだったかも知れません。と言うわけで暫くこの手のゲームは結構です。
ただ、それを抜きにしても、もう少しお手軽陵辱ゲーな展開でも良かったと思われますね。一旦堕してしまえば不自然なぐらい
早い堕ちっぷりですが、堕ちるまでの過程と手段が普通の恋愛ADV並に手間を要したのはどうかと。まあ、その労力があるからこそ
陵辱が楽しいと言う説もありますが個人的にはもう少しサクサク遊べた方が良かったです。勿論メインはバリバリ陵辱ゲーでしたが。
さて、結論です、が……。
何せ原則的に陵辱ゲーが嫌いな上に前作すら遊んでいない立場としては微妙としか言いようがありません。
まあ純愛な展開を期待する人は間違っても購入するべきではないと言う点と、それほどの繋がりが無いとは言え、前作を遊んで
から本作を遊んだ方が物語の繋がりがより一層理解できるかなあ、と言うぐらいですね。役に立たなくてスイマセン。
たまには毛色の違うゲームを遊ぶのも気分転換になって良かったものの、レビューを書くには無理があったかも知れませんね。
一度堕としてしまえば結構普通に楽しめた陵辱ゲーでしたが、元が嫌いだと楽しむのにも限界があると言うことで……。
さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。
縁があれば次のレビューでお会いしましょう(^^)/〜
OS=日本語版Windows98/Me/2000/XPが動作する環境
CPU=PentiumII-266MHz(推奨PentiumII-450MHz)以上
メモリ=64MB(推奨128MB)以上
HDD=空き容量1.3GB以上
解像度=800×600:ハイカラー表示が可能であること/要VRAM8MB以上
CD-ROM=16倍速(推奨24倍速)以上
音源=PCM
DirectX=Ver7以降
「原画:森田和明、須賀清」
「シナリオ:うりうちひろ」
「音楽:株式会社キューブ」
「音声:有り アニメ:一部あり(チップキャラ)」
「発売日:2004年01月15日」
「価格:8800円」
「初回特典:無し」
「年齢制限:18禁」
「メディア:CD」
注:2003/01より点数形式を変更しました(50→100点満点)