Ver 1.00



 
 






★★★『終の館-恋文-』★★★




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 はじめに注意事項です。このレビュー内には表現の都合上、ゲーム内容に関してのネタバレなどが含まれている

可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した

後で、このレビューを読むことをお薦めします(勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除

しているつもりですが、排除が万全とは言えません)。
以上の件、閲覧前に何卒ご理解ご了承下さい。 

 
 
 
@@@@@@@   以下本文   @@@@@@@








●− Review  序章 −●





 さて、久しぶりの端境期に突入したのは良いんだけど……合間に何のエロゲを購入すれば良いのやら。


 長い冬も終わり、ようやく再就職の目処が付いてきた3月中旬。年末年始の大作ラッシュを無難に乗り切った私でしたが、ふと

気が付くと次に購入を予定していたエロゲがGW商戦に延期してしまい、あっさりと1ヶ月以上の空白期間が出来てしまったのです。


 それならば無理をせず暫く息抜き……と言うのもひとつの手段でしたが、まがりなりにもここは末端レビューサイト。

 レビューを定期的に公開する程度しか存在意義のないサイトがレビューを書かずにゴロゴロしているという様は実におかしな話と

言うことで日々鋭意検討を繰り返していたのですが、年明け以降に発売された作品を中心に購入検討をしていた為か調整は難航。


 こうなったら購入候補を羅列してアミダクジで決めようか、と言う暴挙に突入しようとした矢先、そもそも無職(3月中旬現在)で貯金

切り崩し生活をエンジョイ(死語)している自分には絶対的予算が少ないと言う当たり前の事態に気付き、ひとまず定価路線を排除。

 こうして至って当たり前とも言える紆余曲折の末に辿り着いたのが本作「終の館」だったのです。


 ま、結果的に安かった定価1050円……デフレ云々の次元を超えている)と言う理由が1番大きいのですが、息抜きに遊ぶには

手軽に選べた作品だったことも事実。と、結局悩んだわりには至極まともな結論に至りつつ本作を購入したのですが……閑話休題。







●− Review1  全体の印象 −●






 あ、この価格でこの内容なら結構凄いかも……。


 個人的な購入動機が息抜き&気軽に買える価格のエロゲだったこともあり、内容に関しては最低限の整合性が有れば良いと

考えていたのですが、その予想を良い意味で裏切ってくれたと言うのが正直な印象でした。ゲーム自体に特筆すべき点があった

かと問われると言葉に詰まりますが、少なくとも値段以上の価値があり、お得な買い物だったと感じたことは間違いありません。

 また、個人的に一番懸念していた本作の位置づけ……シリーズ第一弾と言うフレーズに関しても、多少の含みこそあれど続きもの

特有である以下次巻に続く的な展開はほとんどなく、ひとつの作品として遊べた(単品で堪能&完結も可能)点は有り難かったです。


 で、注目の価格に関しては……デフレ極まれり(苦笑)。遊び手としては嬉しい価格ですが、1050円はいくら何でも無理がある

ような気がしてなりません。身も蓋もない例えですが、えちぃな単行本や仏蘭西&二次夢な小説を1冊買って読むような金額で全編

フルカラーのイラストと音声が入った作品、と言う点は既にエロゲを買ってきたと言う感覚がありませんでしたし……。


 それでは、個々の見解に行ってみましょう。







●− Review2 ゲーム性  −●






 メイドスキー故に購入したと言う訳ではありませんが……ゲーム性です。


 ゲームジャンルはADVもしくはNOV。ただ、道中に選択肢が全く無い仕様なので完全なデジコミと考えた方が良いでしょう。

 ちなみに1プレイ時間は約3時間半ほどでしたが、息抜きを目的にして遊ぶぶんには丁度良いぐらいの長さだったと思われます。


 具体的なゲーム展開は切ないと言うより悲哀系。傷痍軍人となり自らの館に帰還した主人公が、以前から交流を持っていた館で

働く1人のメイド(女中)と過ごしつつ、同じ屋敷にいながらも何故か姿を見せない妹に疑問を抱く……と言った感じの内容です。また、

タイトルからも察しが付くように、多少ですが館ゲーっぽい雰囲気もありました。

 なお時代設定は日露戦争……明治後期をモチーフにしていた模様ですが、雰囲気を上手く再現しているところもあれば空回りして

いる点もありと、少々どっちつかずな印象でした。もっとも作り手側に時代を忠実に再現するつもりがあったのかは不明ですし、視覚的

な雰囲気は相応に表現されていたので、某ヒロインのあまりにも重力に逆らった髪さえ気にしなければ問題ない規模かな、と。


 さて、そんな世界観の下で繰り広げられた物語でしたが……意外にエロかったなあ、と。価格云々もあり手軽に遊べると言う

印象が強い作品だったのでその通り深く構えず惰性で遊んでみたものの、最近エロの薄いゲームばかり遊んでいた反動か、次か

ら次へと現れるえちシーンに少々感動したのはここだけの話(苦笑)。スケベなヒロインと言う謳い文句を裏切らない展開でした。


 ただ、強いて言えばいくら多種多様なシチュエーションがあったとは言え、事の最中だけ主人公の性格が時折180度近く変わる

ことが多かったのは少々行き過ぎだったかと思われます。中にはそれ(少々無理矢理気味)が良いと言う人も居ると思われますが、

内容は兎も角、せめて人格ぐらいは極力統一したほうが良いんじゃないかと思うぐらい行き過ぎに感じた部分もありました、はい。







●− Review3 ストーリー −●






 単品でも充分楽しめました……ストーリーです。


 主人公、森少尉は傷痍軍人として露西亜の地より帰還する。

 戦争が終結したわけでもなければ武勲を立てた訳でもなく、痛みのみを持って帰還した彼を屋敷のメイドが優しく出迎えるが、

自宅に戻り数日が経っても、彼の妹は部屋に閉じこもったまま姿を見せない。

 そんな折、戦地より妹宛の手紙が届く。それは主人公の友人であり戦友であり、妹の恋人でもある小田からの手紙だった。

 しかし、主人公は露西亜の地でその小田が既に死んだことを知っていた……
と言う設定で物語は幕を開けます。


 で、そのシナリオは概要通りに進行していきました。そもそも最初から最後まで選択肢無しで進む&総プレイ時間も3時間弱

程度のゲームなので良い意味で大きな捻りもありません。ぶっちゃけメイドとエロエロ生活に興じる内容とまで言っても良いですし、

深く考えずにそのまま読むだけでも充分物語を堪能できると思われます。その点は実に私向けの作品でした。

 まだ、全体的な展開と結末に関しては意外に良かった、と言うのが本音です。先程も述べたようにシナリオ展開そのものに大きな

驚きは無かったものの至るまでの過程や伏線がしっかり描写されていた為、最終的にまとまりのある話になっていた……読み進め

ていくと、成る程そうだったのかと納得出来る展開になっていた点は好印象でした。小粒な作品ながらもヒロイン、主人公の切ない

心情が上手く伝わってくる内容になっていたと思われます。

 ちなみに完全なるハッピーエンドはあり得ない作品なので、最後は大団円じゃなきゃ駄目だと言う人は注意と言うことで、はい。


 ただ、少々気になったのがテキスト周り。致命的と言うほどではありませんし、あまり人のことは言えないのですが、文章表現が

若干稚拙に感じられました。商業ベースの売り物として文章が読み辛かったと言うのは改良の余地有りかな、と。

 その中で特に気になったのが演出以外の部分で少々句読点(読点)を使いすぎていた点。実際あきらかに必要のない箇所に

読点が入っていたように見受けられました。これは声に出してみると一層解りますが、テキストが必要以上にブツブツと切れる様は

一度気になると止まらないと同時に、お世辞にも読みやすい文章とは言えませんでした。この点は少々勿体なかったですね


 あ、あと本シリーズは形式上、続き物と言うことで多少含みを残していたと思われる部分もありました。本作の物語自体はこれで

完結していたので単品での購入及びプレイも充分可能でしたが、恐らく最後に何か繋がる部分があるのでは無いかと思われます。

 ……一応次回予告も付いていましたし(苦笑)。







●− Review4 グラフィック −●






 さて、ゲームの華、CGです。


 原画担当は「ちのちもち」氏。初見は俗に言う流行系の絵柄だな、と言う印象でしたが事実これと言った癖もないので万人向けの

作風と言って良いと思われます。……もっとも、悪く言えば独自性が無く、売れ線に合わせただけの作風にしか見えませんでしたが。

 また原画に関しては基本的に可愛く描けていた反面、時折首を傾げるような絵が見受けられたのも事実。特に立ち絵への違和感

は大きく……と言うより顔のラインが縦長過ぎ。これは一部の1枚絵にも言えますが、恐らく独自色ではなく単なる違和感でしょう。

 ちなみに彩色と背景に関しては共に問題なかったです、はい。


 もっとも平均ラインは充分クリアしていましたし、一番必要であるえちぃ絵に関してもかなり頑張っていたので、充分に及第点を

出せる品質のCGだったことは間違い有りません。余談ですが着衣Hと言うのは個人的になかなかそそるものがありました(苦笑)。







●− Review5 操作性(システム) −●






 快適なプレイには欠かせない……システムです。


 ゲームジャンルがADV(NOV)と言うことで、最低限のシステムさえ備わっていれば特に不具合もなく(出しようもなく)遊べる

ジャンルですが、本作に関してもその点は例外なし。基本的機能も完備されていましたし、カスタマイズ性も良好。至って快適に

ゲームを進めることが出来ました。また、特にこれといった不具合がなかった点は当たり前な話ではありますが好印象でしたね。


 ただ、その中で気になったのは初回起動時にシリアルコードの入力が必要だった点。恐らく不正コピー対策だと思われますし、

初回だけと言うことでそれ以降の入力は必要なかったとは言え、矢張り面倒なことに変わりはなく……。また、テキスト表示の融通

が少々悪かった……何となくギクシャクしていた点は少々読みづらい感がありました。このあたりは改善の余地有りと言うことで。


 もっとも、何であれ普通に作品を遊ぶ上ではこれと言った問題のない良好なシステムに仕上がっていたと思われます、はい。







●− Review6 音楽 −●






 何気にゲームの引き立て役……音楽です。


 ゲームの規模が規模と言うことで最低限の働きをしているだけかと思いきや、実は意外に良い感じでした。

 音楽単体の出来は及第点でしたが、場面との融合は上々。音楽としての役割は充分果たしていたと思われます。特に印象に

残るような曲が無かった点は残念でしたが、久しく聴いていなかった館系っぽい音楽を聴くことが出来たので概ね満足ですね。


 で、少々特筆したいのがC.V.に関して。演技その他もさることながら、この価格にも関わらずヒロインのみとは言えC.V.がしっかり

実装(しかもフルボイス)されていた点は根性と言うかよくやったと言うか……あ、ちなみにvocalも同様に2曲ほど有りました。

 ……つくづく思うのですが、これで採算が取れているとは到底思えないんですけど、ね(苦笑)。







●− Review7 総合評価 −●






 いや、漱石さん1枚で買えるだけでも凄い話ですが……。


 気軽に買えて楽しめると言う点では間違いなく成功している作品だと思われます。ゲーム自体も読み物として密かに楽しめまし

たし、通常価格の作品と照らし合わせても遜色のない内容になっていた点は単純に凄いなと。少なくともボリューム不足と言う印象

は受けなかったですし、逆に絶対採算がとれていないと常に感じたぐらい(実際取れていないような気も……)の内容になっていた

点は高く評価して良いと思われます。ただデフレ傾向に関してはもう頭打ち……と言うか、あまりにも安すぎてエロゲに思えない

と感じてしまったのは複雑な気分ですね。勿論この価格は買い手としてはもの凄く有り難い話ですが。


 さて、結論です。

 まず手軽にエロゲを遊びたい人には間違いなくお勧めできる作品でしょう。純愛でも無ければ鬼畜でもないと言う微妙なスタンス

ですが、逆に言えばそのぶん遊び手を選ばない仕様になっていると思われますし、何より1050円という低価格はそれだけで魅力的。

価格に見合わぬ……と言うのはある意味失礼な話かも知れませんが、価格以上に遊び応えがある作品でした。

 で、お薦めしない理由は特にありませんが、物語が完結するにはあと数本+αの追加投資が必要なので、惰性購入をしてしまう

人にはあまりお薦めできないかも知れません。また、いくら値段以上の価値があるとは言え、過度な期待をしてはいけません。あと

物語重視の代償として、お世辞にも爽やかに終了〜とは言えない内容であることも追記しておきましょう。


 ま、くどいようですが「1050円」なので、試しに買ってみても差し支えない価格だと思われます。

 続き物と言う立場の作品ではありますが、単品購入でも充分に楽しめたので個人的には実に良い買い物をしたと言うことで。


 さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。

 縁があれば次のレビューでお会いしましょう(^^)/〜







2004/03/29 Nagale



Post,Script,


甘いもの好きと言う設定は必要だったんだろうか……。




< ゲーム動作環境 >


 
 


OS=日本語版Windows98/Me/2000/XPが動作する環境

CPU=PentiumII-300MHz(推奨PentiumIII-600MHz)以上

メモリ=128MB(推奨256MB)以上

HDD=空き容量100MB(推奨400MB)以上

解像度=800×600:ハイカラー(推奨フルカラー)表示が可能であること

CD-ROM=6倍速(推奨8倍速)以上

音源=PCM

DirectX=Ver5以降



  


 
(一部パッケージより抜粋)




< 補足 >




原画:ちのちもち」

シナリオ:沢柾機」

音楽:電気式華憐音楽集団」

音声:有り(ヒロイン、他) アニメ:無し」

発売日:2004年02月27日」

価格:1050円」(税込)

初回特典:無し」

年齢制限:18禁」

メディア:CD」

(順不同、敬称略)
 
 
 
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< 評  価 >
 
 
 
『終の館-恋文-』
 
 
 
メーカー   CIRCUS
 
ジャンル     ADV
 
 
 
ゲーム性         15点
 
ストーリー         15点
 
グラフィック          14点
 
操作性           17点
 
音楽             12点
 
 
 
合計 73点(/20点満点×5項目=100点)



注:2003/01より点数形式を変更しました(50→100点満点)





<評価概要>





オートスキップ可能な館ゲー。お手軽に遊べつつ相応にエロゲしていた点は高く評価したいが、特筆すべき点も無し。

切ない系と言うキャッチフレーズにしっかり沿っていた小粒作品。続きものだが単品でも楽しめた点は良好。

概ね問題ないが、良かれ悪かれ最近の流行系を描こうとしている雰囲気が最後まで拭えなかった。あと、顔が縦長すぎ。

ADVとして求められる機能はほぼ完備されていたのでこれと言った不満を感じることはなかった。コード入力はご愛敬。

可もなく不可もなく。但し雰囲気は相応に出ていたと思われる。C.V.やVocalが実装されていたのは単純に驚いた。



 
(上から順に、ゲーム、ストーリー、CG、操作、音楽と各1行ずつの簡易評価説明)





<評価用プレイ時間(参考)>




1プレイ時間     約03時間30分

総プレイ時間     約03時間30分
 
1プレイにおけるHシーンの割合(時間) 約00時間25分