Ver 1.50(改訂版)
Nagale's ゲ−ムレビュ−
「To Heart」
■ README ■
過去に書いたレビュ−の復刻版です。内容がほとんどそのまんまなので、今以上にレビュ−と言えるレヴェル
じゃないです。なるべく見ないでやって下さい(^^;;
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正直言って今回、私はこのゲ−ムはハズレだな、と買う前は思っていました。その理由は簡単、今回は学園恋愛モノ、
まさに恋愛ゲ−ムの王道だったからです。
確かに、前2作はスト−リ−があまりにもダ−クで私も最初のうちはかなり抵抗感がありました。ただ、今考えてみると
やっぱりリ−フさんはこういうのじゃなきゃね〜と思うようになってしまったのも事実。「明るいシナリオを」と
アンケ−トに書いてはみたものの実際のところは今のままでもいいかな、と思っていました。
ただ、それではあまりにもマニア(コアユ−ザ−)受けするのが見えていたので、ある程度の恋愛系の作品を出して
リ−フさんの良さを色々な人に知って貰いたいと思う気持ちもありました。【本当はこういったレビュ−では私情で
特定メ−カ−を誉めてはいけないのですが……今回は勘弁】どちらかというと「To Heart」は今までリ−
フさんのダ−クな作品が嫌いで手を出せなかった人が気軽にプレイできるようにしたんじゃないかなという思いもありました。
ただそのぶんどうしても恋愛シナリオということで、前作みたいな人間ドラマでの感動は無いだろうと思い、あちこちで
相当辛口を叩いていたのですが……。
「私、ロボットですから」……この瞬間私の中で何かが切れました。あれを笑顔で言われた日にはどうすることも
できませんね。誰がなんと言おうとやっぱりマルチでしょう(爆)。
【うわ、そういえば昔はマルチ属性だったんだっけ(^^;】
最初、何で恋愛ゲ−ムにロボットが〜と思いました。というより頭の中で何となく展開が読めてしまい「どうせこの手の
ロボットは人間になってめでたしめでたしだよな〜(理不尽な偏見)」と思って、今一つ乗り気ではなかったんです。
しかし、彼女のシナリオが終わったとき……私は思いっきり泣いてました。いや、マジです。私の浅はかな予想は完全に
裏切られ、それと同時にこのゲ−ムをナメきっていたことを心から後悔しました。彼女の人間以上の人間らしさ、感情や
雰囲気、全てがいままで感じたことのない感覚でした。彼女をロボットとして見れなかった、というより気づかせなかっ
た、と言った方がいいのでしょうか。シナリオのレベルの高さが他の恋愛モノとはいい意味で何か別次元にあるような
気がしました。もちろん、マルチだけではなく他のキャラクタ−もいい味を出していました。それぞれの個性を生かした
プレイしていて飽きない展開、特にあかりちゃんのシナリオは「良くぞやってくれた」的なものがありました。Hシ−ンを
途中で止めてまで訴えたかった主人公の感情が痛いほど伝わって来ました。これについては賛否両論あったのでしょうが
私の意見としては「こうなるのが当たり前じゃないだろうか」というところです。自分がもし同じ境遇にあったら絶対
こうなると思いますよ。……確かにあまりにも現実に近いシチエ−ションはゲ−ムには不必要かもしれません。しかし
これからの時代はこういったゲ−ムがないと、どんどんこの業界が良くも悪くも偏っていってしまうのではないでしょうか。
そういう面で考えると今回のシナリオは今までのゲ−ムにはなかった「空想の中の現実」の様なものがあるような気
がしました。
ただ、気になったことが無いわけではありません。今回、特定のシナリオの出来が上手すぎたため、他のシナリオが
弱く感じるところがあったのは残念です。単体で見ると決して悪くないのですが、どうしても全体を見て考えると多少
劣ってしまうのは……
また、先程マルチのシナリオについて語りました。そのとき私は彼女を「ロボットとして見れなかった」といいました。
実はこれ、言い方を変えると「ロボットであるマルチが1番人間らしかった」ともいえるのです。ちょっと偏った方向の
考え方かもしれませんが、ロボットが人間以上の感情を持つのはどうかな?と思いましたが……他のキャラクタ−、
つまり人間よりも人間らしかったのは……ただ、これはシナリオの上手さだと思いますが……実際マルチのシナリオは
思いっきり感動させて頂きましたし(といっても学園モノという設定からは相当かけ離れた展開になりますが)
ただ、これだけは言わせて欲しいのです。私は長年色々なスト−リ−のゲ−ムをプレイしてきましたが、洒落抜きで
ゲ−ムで泣くとは思いませんでした。というより初めてのことです。無礼を承知で言わせてもらうと、まさかエロゲ−でと
いうところもありますが、1つのシナリオでここまで感情移入出来たのは多分これが初めてだと思います。
ゲ−ムについて語るとキリがないのでこの辺にしておきますが、ゲ−ムの善し悪し以前に「今まで私がプレイした
ゲ−ムの中で1番感動したゲ−ムだった」ということが皆さんに伝われば幸いに思います。
1997/06/15 流 雷氷