Ver 1.03
Nagale’s ゲ−ムレビュ−
★★★『SEVEN』★★★
■■■■■ README ■■■■■
このレビュ−には、ゲ−ム中のネタばれ等が多数含まれています(極力抑えてはいま
すが)。ゲ−ムをプレイ中及び未プレイの方は、ゲ−ムを完全に(最低一度は)攻略した
後で、このレビュ−を読むことをお薦めします。
@@@@@@ ネタばれ注意 @@@@@@
現在(1999年4月)、私がパソコン業界の新規メ−カ−各社の中で高い信頼を寄せているところ。それが
「Types」さんです。事実、前作「いちょうの舞う頃」は荒削りな部分を含みながらも新規参入とは思えない
ようなレベルのシナリオを見せつけてくれ、しっかりとしたインパクトを残してくれました。そういう事情もあり、
今回の「SEVEN」も制作発表があってからというもの、それはもう発売日を心待ちにしていました。
ところが、発売日も迫ったある日のこと、信じられない話が飛び込んできました。シナリオ担当の林ふみと氏が
本作品を最後にTypesを離脱。そして、わがすりあ氏までもがTypesを辞めてしまったという話でした。
真偽の程はともかく、もし事実であるのなら……辛いです。折角今までいい感じのゲ−ムを作っていたのに……。
どうこう言う権利はありませんが、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか……閑話休題。
その1.全体印象
ふ、ふふふふふふ(謎)。いい、良く分からないけどいい(笑)。
好き嫌いはハッキリと分かれますが、ゲ−ムとしては充分に及第点以上です。物語の導入部分やその後の展開などは、
わりとありがちな話とはいえ、シナリオが丁寧に作られているので表立って気になった部分が殆ど無いところは流石です。
ただ、双六{すごろく}という特殊なシステムを使っているためか、日常会話を始めとした日々の流れがあまり
伝わってこなかったのは勿体ないような気がします。数こそ少ないながらも面白いイベント多かったので(多分、
主人公が作った弁当を巡って2人のヒロインが争うというイベントは後にも先にもこのゲ−ムだけ
であろう(苦笑)。普通逆だって(笑))もう少し日常を前面に出せばなお良かったと思います。
その2.ゲ−ム性
最初の内は双六でゲ−ムを進めるということに違和感を感じつつも、ゲ−ム自体の出来は非常に良いものでした。
ただ、ひとつ以外だったのはカ−ドバトルの存在です。
当初、雑誌などで聞いていた話では、ある程度目押しが可能な双六とのことだったのでその方向のみでゲ−ム内容を
考えていた私にはある意味で新鮮でもあり以外でもありました。ただ、カ−ドバトルがあるということを雑誌などで
予め明記しておけば、それはそれで新たな層がつかめたような気がしないでもないのですが……。
カ−ドバトルの内容の方は可もなく不可もなくといったところでしょう。ゲ−ムの展開を崩さない程度の難易度に
仕上がっていると思われます。無属性カ−ドが強すぎるのがある意味いただけないですが……カ−ドの収集も結構ハマり
ます。ま、趣味の関係上カ−ド集めにはこだわる方なので(笑)。
その3.スト−リ−性
これは完全に林氏の世界です。基本はありがちでも、ひとつひとつの物語を丁寧に書いていく……流石です。
ただ、これはNOVじゃないと思う。というかノベルという明記を鵜呑みにすると間違いなく肩すかしを食らいます。
もっとも、ノベルゲ−ムの定義を聞かれても上手くは答えられないと言えばそうなのですが……。少なくとも一般論は
かま●たち系を筆頭としたテキストを読ませていく形式だと思われます。今回のテキストはどう見てもADV風の
ノリです。NOVだという情報伝達が完全に伝わっていなかったのはどうかはともかく、カ−ドバトルにしても買って
から気がついたというのは妙ですね。
ついでに、一部のHシ−ンの必然性を全く感じなかったです。シナリオ重視のエロゲ−の1番の悩み所に
してもあれは酷すぎます。逆に言えばここまで違和感を感じたのも珍しいですねえ。最後の方はそうでもないとはいえ、
あの程度の不必要なHシ−ンであれば無い方が良かったです。私がTypesさんに期待しているのは
こういう部分ではありませんから。
その4.グラフィック
それにしても、いつもながら「わがすりあ」氏の独特な作風は健在ですね。この方は私的には「上手すぎて理解
できない絵を描く人」という認識をしています。非常に癖のある作風ですが、私はこの作風が好きです。いちょう時代に
感じた僅かな違和感もSEVENでは消え、より一層私好みの絵になってきました。
なんというか……CGというひとつの芸術……ですかねえ。見る人を選ぶ作風だとは思いますが、本当に
好きな人は好きな作風だと思います。
その5.操作性
カ−ドバトルのシステムについては先ほども述べたとおり及第点と言ったところですが、双六に関してはちょっと
辛かったです。目押しが可能なのはいいのですが、裏を返せば目押しできないと話が進まないとも言えます。事実、
目押しをしないメリットが全くないので目押しを使っている人が殆どでしょう。
しかし、それならそれでもう少し確実性のあるシステムが欲しかったです。結局、目押しに失敗するとロ−ド&繰り返し
の末路。これでは双六というシステムのデメリットのみが強調されてしまいます。
折角、双六という面白いシステムを使っているので、多少のイカサマを覚悟で、必ず「出したい数字」が出せるような
アイテムカ−ドなどがあっても良かったと思うのですが……。
その6.音楽
音楽にこだわるメ−カ−、私は好きです。
……何を言いたいかというと、Typesさん(西野氏)の音楽センスです。勝てません(笑)。
絶妙な曲調、そして何処か宮崎アニメを思い起こさせるようなノリ、さらにバレ−にでも使えるか如くの壮大
かつ馬鹿(良い意味で)なメロディの数々。……ある意味、ここまで書くとえげつないですか?(苦笑)。
また、前作の「いちょう」でもそうだったのですが、EDの歌はCDシングルで出しても
十分通用するレヴェルです。
事実、どうであれ音楽が印象に残るゲ−ムって最近は特に少ないです。この業界、ゲ−ムを判断する基準は雑誌の
記事内容かCGが綺麗かといった程度。ところが、実際ゲ−ムをプレイして印象に残るのは大抵シナリオか音楽なん
ですよ。最近は全体的にシナリオのレベルこそ上がりつつあるものの、音楽については似たり寄ったりといったとこ
ろでしょう。そういう意味でこのメ−カ−は非常に音楽にも力を入れている感があります。
今回のお薦めは「Rag the Wag」ですね。なかなかいい場面でかかること請け合いです(笑)。
総 評
ここまでを読んで興味がわいた人は是非買ってみて下さい。自分としては相当お薦めします。ただ、癖のある原画
が人によっては好みが分かれるところでしょう。
それにしても、多分Typesさんとはこれでお別れですかねえ……。これから徐々に勢いがついて中堅メ−カ−の
仲間入りを……と考えていた矢先のことだけになんともショックな話です。わがすりあ氏と林氏のコンビは、お互いの
世界観が似ているので非常に良かったのに……。ってこんなこと書くとTypesさんに失礼ですね。では、新生
Typesの次回作に期待しつつ……。
1999/04/26 流 雷氷【委員長】
Post,Script,
ふくちゃんは食えないのでせうか?(爆)
Post,Script,2
でも、いちょうの舞う頃2の原画はわがすりあ(ありすがわ)さんなんだよなあ……?
<ゲ−ム動作環境>
OS=Windows95/98日本語版が動作する環境。
CPU=Pentium133Mhz以上
解像度=640×480:フルカラ−表示が可能であること。
メモリ=32MB以上 HDD=空き容量100MB以上
CD−ROM=4倍速以上 WAVファイルが再生可能なサウンドカ−ド
DirectX使用(5以上)
「補足」
「原画=わがすりあ狂介」 「シナリオ=林 ふみと」 「音楽=西野 尚利」
「音声=無し アニメ=無し」 「価格 8800円」 「特典=ミニPOP」
「CD2枚組」 「18禁」
(敬称略)
< 評 価 >
「SEVEN」
メ−カ− Types
ジャンル N.ADV(ノヴェルアドベンチャ−)
ゲ−ム性 8点
スト−リ−性 9点
グラフィック 10点
操作性 9点
音楽 10点
合計 46点
<評価概要>
NOVと考えるのは無理がある。もちろん、ゲ−ム自体は好きだが。
非常によくできている。ただ、一部のHシ−ンの展開に疑問が残ったのは残念。
CGの域を脱し、芸術として捉えることが出来る。癖があるので万人向けではないが。
レスポンスの悪さが多少気になった。カ−ドバトルは適度な難易度だろう。
絶妙なノリ、そして雰囲気。独特な作風だが非常に上手く出来ている。脱帽。
(上から順に、ゲ−ム、スト−リ−、CG、操作、音楽と各1行づつの評価簡易説明)
<評価用プレイ時間参考表>
1プレイ時間 約08時間00分
総プレイ時間 約11時間00分
1プレイでのHシ−ンの割合(時間) 約00時間10分