★★★『戦国ランス』★★★
はじめに注意事項です。このレビュー内には表現の都合上、ゲーム内容に関してのネタバレなどが含まれている
可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した
後で、このレビューを読むことをお薦めします(勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除
しているつもりですが、排除が万全とは言えません)。以上の件、閲覧前に何卒ご理解ご了承下さい。
●− Review 序章 −●
ランスとも随分長いお付き合いになってしまいましたナア……。
概ね何事もなく終わろうとしていた2006年末、私は相変わらずROに興じつつ、泥沼万歳と叫んでいました。
まあ、流石にここまで来てしまえば言い訳のしようもありません。それでも最近は随分大人しくなりましたけど……。
さて、それはさておき戦国ランスですが、私的にはランスシリーズというだけで無条件購入が確定、と言うほどの
ビッグタイトルであり、購入動機はその一点に集約されます。特に古参ユーザー(自分もぼちぼちその域か……)で
あればその傾向は強いと思いますし、実際私は当時彼の存在に多大な衝撃と影響を受けた訳でありまして(苦笑)。
もっとも、情けないことにアニバーサリー的なROボケに加え、年明けからの体調不良とゴタゴタが重なり、
実際に本作を遊び始めたのは何だかんだで年明け後の更に先……と言うオチが付いてしまったのはご愛嬌。
それでも、久々のランスと言うことで期待しつつのプレイとなったわけですが……閑話休題。
いや、流石ランスシリーズ、と言える完成度でした。
ここ十年の間、ランス以上に鬼畜かつ非道なキャラが飽きるほど出てしまった故、一時期ほどの鬼畜ぶりは
影を潜めてしまった(目立たない)ものの、竹を割ったような奔放な性格は爽快でしたし、あの「らしさ」も健在でした。
良くも悪くも「ランス」と言うキャラ&シリーズの基盤で動いている作品(勿論ヒロイン達の魅力も含む)なので、
遊ぶ際は最低限の知識を求められますが、エロゲ界におけるランスの知名度を考慮すれば、この点に関しては殆ど
心配することが無いでしょうし、それだけの知名度を持つシリーズであることは間違い有りません。
や、ゲームとして見れば単品(予備知識無し)でも充分遊べる内容ですが……。
諸般の事情で開始が遅れてしまったものの、一度遊び始めると一気に最後まで遊びたくなってしまう展開と中毒性
は流石だったと言って良いですし、何より久しぶりに集中してエロゲ専念が出来たことは、個人的にも嬉しい話でした。
それでは、個々の見解に行ってみましょう。
正直なところSLGは苦手でして……ゲーム性です。
ゲームジャンルは言わずもがなのSLGで、おおよそ国盗り系。1プレイ時間はおおよそ24時間と長めでした。
エロゲでありながらゲーム部分にも力を入れることが出来る数少ないメーカーさんと言うこともあり、本作も例に
漏れず、SLGとしての完成度は非常に高い作りになっていたと思われます。故に少々辛かった訳ですが……。
ぬるい話かも知れませんが、せめて2周目以降はお助けキャラ以外に難易度EASYなどの措置が欲しかったですね。
ゲームとして遊ぶぶんにはこのぐらいの難易度が妥当だと思いますが、それはそれ、これはこれと言うことで(苦笑)。
で、まず何より特筆すべき点はゲーム部分を引き立てる個性的かつ魅力的なキャラ。
元々主人公(ランス)の人気が妙に高いと言う、エロゲとして面白いシリーズではありますが、それに加え、馴染みの
キャラや懐かしいキャラ、そして新たなヒロイン達の魅力が非常に光っていた点は好印象。
ただ、難易度的な問題で全キャラ制覇が難しい&個々の尺幅に関しては若干の不満があったことも間違いなく。
これは仕様なのでしょうがないと言えばその通りですが、結局一度も触れずに終わってしまったヒロインが多くなって
しまったのは残念だったと言うか勿体なかったと言うか……。このあたりは地味に痛かったですね。
もっとも、当たり前の話と言われればそれまでが、ゲームとして楽しめたと言う点ではポイントが高いです。
完成された独自の世界観があってこその部分もありましたが、純粋に楽しいと言うのが何より大事だと思う次第。
戦国であり戦国ではなく……ストーリーです。
英雄というか、世界を動かす力と才能を持った男がいた。彼の名はランス。
魔人を倒す魔剣を持ち、過去に何体もの魔人を退治すると言う人類史上最強の戦績を持ち、大陸にある両大国にも
深い関係がある。挙げ句、両国の姫に結婚まで迫られている。もしこの男が真面目だったら世界は平和だったろう。
だが、この男はエロくて自分勝手だった……。
今、この男が奴隷娘のシィルを連れ、温泉旅行と称してJAPANの女の子をやりまくろうと、この地に現れた。
そして、JAPANの歴史が大きく動こうとしている……と言う展開で物語は幕を開けます。
と言うわけで今回の舞台はJAPAN(ランス世界における)。位置付け的には正規シリーズ(ランス7)になっている
部分もあり、見た目SLGと言う形態ではありましたが、某鬼畜王のようなIFではありません。故に、正史ルート終盤〜
結末の展開には結構驚かされましたし、この引っ張り方は何とも心憎いと言うか気になると言うか(苦笑)。
ルート分岐がそれなりにあり、先述したように全てのヒロインを網羅しようとすると非常に長い時間を要しますが、
それを見る価値のある作品であることも事実なので、それまで飽きなければ是非見ておくべきだと思います。もっとも、
ヒロインが多すぎて攻略に困ると言う悩みは非常に贅沢ですし、紙芝居ゲーが多い昨今では有り難い話ですが。
……ちなみに私は時間と腕の都合上、正史ルートだけで限界でした。失礼。
ただ、単品でのプレイも充分可能な反面、矢張りシリーズという繋がりと枷も少なからずあるので(そう言う人
は別ルートのみ遊ぶ手もありますが、演出上、初回プレイは必ず固定エンドになります)、多少の予備知識を求めら
れることは間違い有りません。これはシリーズ物としての仕様であり、仕方がないことですが、実際問題今のエロゲー
層はそのあたりの判断(予備知識)をどれぐらいまで持っているor気にしないのかは解りませんね……。
一人のキャラでここまで長期的に続く作品はコンシューマですら珍しくなってしまいましたが、それでも売り上げが
伴っていると言うことは、それなりの層に需要があると言うことだと思いますが……。
あ、そうそう。
今更な話ですが、アリスさんらしく、結構エグい展開もそれなりにあるので、その辺りは一応注意、かな。
層の厚さは良いことで……CGです。
メイン原画は織音さん。懐古すれば3代目ランスになりますが、見た目も中身も相変わらずなので問題なし。
どちらかと言えば渋めの絵を得意とする方ですが、だからと言ってヒロインが渋いかと言えばそんなことはなく、非常
に魅力的な絵を描かれる絵師さんと言うのが自分の認識&実際全てのヒロインが非常に魅力的に描かれていました。
余談ですが、ファンタジー色の強い服装というのは個人的に好みだったりします。……余談ですね。
また、その渋さを生かした男キャラ達も存分に、かつ魅力的に描かれていました。勿論ネタキャラも多数存在しま
したが、それはそれで個性的だったので良し。……これで間違った歴史観を持つ心配も無いと思いますし(苦笑)。
基本的にアリスさんの原画陣は全ての絵師さんがピンで1本作れるほどのクオリティを供えているので、絵に関して
は取り立てて文句の付けようがありませんし、その点は最大の強みだと思います。はい。
アリスさん御馴染みのSystem4……システムです。
今は自社で独自プログラムを持っているメーカーさんも減りましたが、一度動かしてしまえばこれ以上ない安定度
を発揮するのが最大の強みですね。カスタマイズに多少の古さを感じるのはご愛敬&それもまた個性ということで。
で、肝心要なゲームの基礎となるSLG部分に関しては非常に良い出来だったと思われます。
地味に本格的なSLGですし、何も考えないで遊ぶと詰まる程度の戦略性と難易度がありました。もっとも、何か考えて
いても初回プレイで詰まる(途中からやり直す)可能性があるのはご愛敬ですが(苦笑)。
ちなみに自分も一度20ターンぐらいまで進めて仕切り直したクチです、ええ。
個人的にはあまり時間に追われずマイペースで遊びたい気持ちもありましたが、それをやってしまうと戦略性や
ゲーム性を失うことにもなるので、結果としては多少時間に追われる(ある程度のターン制限がある)ぐらいの方が
緊迫感があって良いのでしょう。と言うか、それこそがSLGでありゲーム性の象徴でもありますし。
ただ、結局のところ運に左右される部分も大きく、お約束的なセーブ&ロードの繰り返しな部分もあったのはご愛敬。
……勿論、それを含めての難易度と言ってしまえばそれまでですが(苦笑)。
ランスと言えば我が栄光……音楽です。
音楽担当はおなじみのShadeさん。ノリの良い曲と実力はいわずもがな、の御方ですが、本作でもその魅力は健在
でした。音楽としての高い完成度に加え、場面場面に沿った曲をしっかり魅せていた点は好印象。ゲームを良い形で
盛り上げていたと思われます。
……まあ、散々語っているように、個人的にランスシリーズといえば毎々アレンジされる我が栄光(えちシーンの
曲/原曲は東独逸国家)を一番楽しみにしていたりする訳ですが(苦笑)。
本来ならば「何でエロシーンでこんな派手な曲なんだ」と憤慨するのですが、この曲が許される&楽しめるのは
ランスシリーズの特権であり、ランスが未だに魅力的(多分)な主人公として健在していると言う証明でしょう。
ちなみに、良くも悪くも音声は搭載されていません。個人的には音声なしでも全然問題ないのですが、人によって
は不満を感じる部分もあると思われます。もっとも、正直な話ランスのテキスト(シナリオ)に音声が付くと言う状況が
考えられなかったりもします。良い意味で元々C.V.を当てることを前提にしたテキストとは思えませんし……。
まあ「がはははは」とか「ハイパー兵器」とかは微妙に聞いてみたい気もしますが。
一昔前のドラマCDとかOVAでそんなセリフがあったかどうかはこの際不問と言うか年がバレると言うか(苦笑)。
いや、充分に満足出来る内容でした。
ぶっちゃけてしまえばランスシリーズと言うだけで評価が高くなってしまう懐古野郎ですし、実際本作も
その期待通りの内容だったと思われます。俗に言う学園恋愛ゲーを遊びづらい(遠い記憶になりつつある)年に
なってしまった自分にとって、多少丸くなったとは言えど根底は全く昔のままであるランスと言うキャラは懐かしさと
変わらない楽しさを提供してくれる数少ない作品であることは間違いありません。
余談ですが、今年(現在2007/04)で東鳩発売から10年ですからね。……そりゃ年も取りますって(苦笑)。
さて、結論です。
まずランスシリーズが好きな人は購入前提で構わないと思われます。また、ゲームとしての完成度も非常に高い
作品なので、戦略系のSLGを遊びたい方や、しっかりしたエロゲーを遊びたい方にもお勧めできる作品ですね。
反面、それなりに本格的な仕様なので、SLGが極端に苦手な人には向かない作品だと思われます。とは言え、今は
余程な人以外はSLGを嗜む程度の腕は持ち合わせていると思いますが……。あと、先ほども少し述べましたが、
基本的にランスなので、純愛(一応)陵辱なんでもありです。それなりにザックリと来るシーンもあるので注意を。
流石にエロゲ歴が10年を超えると、熱も徐々に覚めてきた感は否めない今日この頃ですが、それでも時折こう言う
楽しめるエロゲに触れることが出来ると言うのは、エロゲをやっていて良かったなあ、と心底思いますね。まあ、こんな
ことで心底良かったと思うほどに道を踏み外したと言われれば全く否定は出来ない訳ですが(苦笑)。
さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。長文に最後までお付き合い頂き、有り難うございました。
縁があれば、次のレビューでお会いしましょう(^^)/〜
OS=日本語版Windows98/Me/2000/XPが動作する環境
CPU=PentiumIII-500MHz以上
メモリ=256MB以上
HDD=空き容量1.8GB以上
解像度=800×600:フルカラー表示が可能であること
DVD-ROM=必須
音源=WAVE
DirectX=Ver9以降
「原画:織音」
「シナリオ:とり」
「音楽:Shade」
「音声:なし アニメ:なし」
「発売日:2006年12月15日」
「価格:8925円(税込)」
「初回特典:なし」
「年齢制限:18禁」
「メディア:DVD」
「Ver:1.04(修正パッチ適用済み)」
注:2003年1月から点数形式を変更しました(50→100点満点)