Ver 1.01
Nagale's ゲ−ムレビュ−
★★★『真・瑠璃色の雪〜ふりむけば隣に〜』★★★
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はじめに注意事項です。このレビュ−中には、ゲ−ム内容のネタバレなどが含まれている可能性があります。
ゲ−ムをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲ−ムを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した後で、このレビュ−を読む
ことをお薦めします(一応、未プレイの方でも大丈夫なように、ネタバレ的要素は極力排除しているつもりですが……)。
@@@@@@@ ネタバレ注意 @@@@@@@
●− Review 序章 −●
「う〜ん、あれから3年も経つか……」
と、当時を思い出してついつい感慨に浸ってしまったNagale……。
それは3年前のある日、当時からフラフラと東京に遊びに行くことが多かったNagaleは、例の如く秋葉原を散策して
いました。
しかしそのとき、ちょっとした手違いから本来買う予定ではなかったゲ−ムソフトを購入することになってしまったのです。
そのゲ−ムとは……「瑠璃色の雪」。
しかし、私の予想とは裏腹に、このゲ−ムは発売後じわじわと人気を上げていき、ふと気がついてみれば大ヒット。
勿論私もその恩恵を受け、ゲ−ム自体を非常に楽しませて貰いました。そして、数少ない私的殿堂入りゲ−ムとなるのに、
そう時間を要することはありませんでした。
皮肉にも、それ以降DOSは時代の流れと共に衰退していき、必然的にDOSゲ−ムも終わりを迎えました。
そして「瑠璃色の雪」はDOSゲ−ム最後の名作として語り継がれることになったのです。ただ、私はこのゲ−ムが
そう呼ばれることに関しては大賛成でしたが……。
そして、それから3年、リメイク版として本作が発売されました。
勿論、DOS版の評価が高かった私にとっては、このリメイク版は期待しないわけがありません。
というわけで、期待に胸躍らせつつ、本作を購入した訳なのですが……閑話休題。
●− Review1 全体の印象 −●
冷静に考えると金髪の雪女って凄い設定……(苦笑)。
……しかも飛んだり消えたり出来るし(苦笑)。
いや、流石の出来でした。DOS版の発売から3年程経ちますが、設定やキャラは今でも色褪せていません。
そして、今回はシナリオも新規で書き下ろされている部分が多く、初めてプレイする人は勿論、DOS版をプレイした人
でも十分に楽しめる内容になっていました。
ただ、そのDOS版との比較をしてしまうと残念ながら今回のWin版、評価は若干低いです。もっともWin版単体で見ると
全く論点のずれている話なのですが……。
というのも今回のリメイク版、変更された箇所の多くがDOS版で個人的に好きだったイベントやCGだった為に「なんで
この場面が無くなっちゃったんだ?」という箇所が妙に多かったことも、違和感に拍車を掛けることとなりました。
……特にオ−プニングの部分でDOS版ほど笑え(楽しめ)なかったのが後々まで尾を引くことになってしまって……。
一度、比較対照として考え始めるとどんどんマイナス要因が目立つようになってきたんですよね……。
とはいえ、ひとつのゲ−ムとしてみた場合、個々のシナリオの完成度、キャラクタ−の内面を上手く表現しているテキスト
など、全てが及第点以上の出来であることは間違いありません。
そして、以下のレビュ−ではその比較を極力除外した視点から文章を書いていくとしましょう。
●− Review2 ゲ−ム性 −●
まず、恋愛系のADVとしては申し分のない出来でした。楽しくプレイでき、非常に明るい雰囲気があります。特に、日常
生活における演出が良い感じで再現されていますね。
さてこのゲ−ム、ヒロイン=瑠璃という存在が全体の方向性を決めていますが、その瑠璃の行動や態度がいい感じです。
雪女という一見冷たい印象を持つキャラをコメディ調に変化させている点がとてもユニ−クですね。しかもその設定を
包み込んで上手く反映させることが出来るというのはそうそう出来るものではないでしょう。……まあ、瑠璃の性格が
あまりにも暖かすぎて雪女に見えないってのはあるけど……(苦笑)。ま、それもひとつの味ですね。
本当に文章の魅せ方が上手いんですよ。ちょっとしたことや、その場の雰囲気を取り込み昇華させて文章にしている……。
プレイしていて思わず笑みが出てしまうゲ−ム……こういう気持ちになれるというのはそうあることではないです。
あ、あと難易度に関してはクリアするだけであるのならそう難しくはありません。またヒントシステムを有効に使えば
かなり楽に進めていけると思われます。
●− Review3 スト−リ− −●
どのシナリオも堪能させて貰いました。終わった後に「ふっ」と軽く一息吐けるような……そんな雰囲気がありました。
特に瑠璃のシナリオは久しぶりに納得のいく結末を見ることが出来ました。序盤の展開から最後まで、完全にゲ−ムの
世界に浸っていましたよ、マジで。
特にゲ−ム前半、博士の瑠璃に対する態度や葛藤は双方の性格を有効に使っていて味がありました。こういう演出って
個人的に好きですね。
また、後半の展開も双方の切ない気持ちがダイレクトに伝わってきて、もう、なんとも……う〜ん、良かったです。
あ、そうそう。あの各キャラ名言集も健在でしたが……いいですねえ(苦笑)。
勿論、他のシナリオもキャラの気持ちが伝わってくるような良いシナリオばかりでした。
各ヒロインが抱えているトラウマや悩みをシナリオに絡め、演出することによって、キャラクタ−の魅力をより一層引き出し
シナリオに奥行きを出す……。
特に新しい試みや珍しい設定(瑠璃は例外)があったわけではありませんが、ひとつひとつのシナリオが丁寧に作られ
ているという印象を持ちました。
……いや、笑い有り、涙有りと、本当に良いゲ−ムです。
あと、思わず背中がむず痒くなって地面を転がってしまいそうな展開も多いです。いや、まだまだ青春も捨てたもんじゃ
ないかなあ……と(苦笑)。
文章のギャグセンスも良く、プレイしていて笑えます。また、要所要所で破壊的なギャグをかまして
くれるので、ツボにハマれば爆笑の渦に巻き込んでくれることは必至です。また、要所要所の伏せ字もいい感じでした(苦笑)。
ただ、イベントによっては展開が唐突すぎるように見えました。というのも、一部のイベントでプレイヤ−が納得しない
状況でイベントが完結しているような印象があったので……。
事後連絡……までとはいかなくても、それなりのフォロ−を入れるイベントを追加発生させても良かったと思われます。
●− Review4 グラフィック −●
さて、ゲ−ムの顔、グラフィックに関してです。
パッと見では原画や塗りに独特な印象があるものの、ゲ−ムの世界観に照らし合わせると全く違和感がありませんね。
また個人的にも、リバ原さんの作風ではとても好きです。
ただ、客観的に見るとキャラがちょっと太めな印象を受けました。……顔が大きめに感じたのはそのせいかのかな……。
しかし、絵の構図がしっかりしているのでCGとしてはしっかりと見られるものになっています。
あと彩色に関してですが、フルCGは非常に綺麗で丁寧に塗られていました。時折見ることが出来る、幻想的な場面の
CGも凄く良かったです。CG枚数も、シナリオに平行してコンスタントに提供されているのでそこそこのボリュ−ム感が
ありました。
ただ、残念なことに立ちグラに関しては塗りがちょっと粗く感じてしまいましたが……。
もっとも、それを差し引いても十分に魅力的なグラフィックなのですが……。ま、後は個人の好みの領域でしょう。
●− Review5 操作性(システム) −●
そして、使い勝手の良さで定評があるシステムに関しては……。
これはもう流石としか言いようがありません。正にユ−ザ−フレンドリ−の賜物です。
そもそも、ゲ−ムのインスト−ラ−からして、普通のシステムよりは遙かに力を入れていましたし……。
また各種コマンドや設定についても、ユ−ザ−が抱いている要望を上手く取り入れた形の見本とも言える感じで、とても
親切に作られていました。あまりにも細かすぎて不親切に見えるぐらい親切な
作り(苦笑)ですね。
考えようによっては各種設定が多すぎるとも感じますが、少ないよりは遙かに良いことです。実際、それを覆い隠す
ほどの使い勝手の良さは魅力的です。
その人なりに色々とアレンジできるシステムというのはいいですね。
さて、その親切なシステムの中でも特にヒントシステム(攻略に必要な情報を教えてくれる機能)は重宝させて貰い
ました。このシステムのおかげで攻略が容易になり、繰り返しプレイも苦になることなく純粋にスト−リ−を追っていく
ことが出来ました。……時間が限られている私には、この機能は本当に助かりました(苦笑)。
勿論、これ以外の機能も使い勝手も良く、ADVゲ−ムに求められているシステム機能が十分に搭載されているといっても
過言ではありません。
ただ、ちょっと気になったのが一部イベントに必要なアイテムを開発する際に費やす時間です。ちょっと長すぎですね。
自由な行動時間が以外に限られているので、その中で上手くやりくりしてアイテムを作るのは結構大変でした。もう少し
遅い時間まで自由時間を設定するか、アイテム完成までの時間を減らせば良かったと思われます。
●− Review6 音楽 −●
さてさて、色々と思い入れのあった音楽に関しては……。
……矢張り、いい感じでした。街中で散策中に思わずメロディを口ずさむというのはいい音楽の証拠です(苦笑)。
なんでこんなに良い曲ばっかり作れるんでしょうか……。もう手放しで誉めるしかないですね。
特に一番聞くことが多いであろう日常シ−ンとマップ移動時の曲は本当に場面の雰囲気と良く合っていました。
本当に、どの曲も素晴らしかったです。特に哀愁系が漂う場面で鳴るBGMは秀越でした。
また今回「瑠璃色の雪」を基盤としたアレンジ系が良い出来でした。原曲の良さや個人的な思い入れも手伝っている
とは思いますが、それ以上に音楽として完成されています。
更に、特定の日に限って流れる音楽があったりと、音楽が演出を盛り上げるのに一役買っている存在となっている
のは見事でした。そういう細かい部分(配慮)で曲をつくると言うのは頭が下がりますね。
ちなみに、前回からの引継的な音楽に関しては当時MIDIで聞いていたこともあり、音楽によってはあまり違いが
感じられませんでした。まあ、原曲が良いので全然問題ない話ですが。
また、Vocal、C.V.は共に良い出来でした。特にC.V.は自分が頭の中で想像していた声とほぼ同じだったので、違和感も
無く素直に聞くことが出来ました。
Vocalに関しても透き通るような雰囲気が伝わってくるようで良かったです。
ただ、エンディングの歌は詐欺(苦笑)。あの原曲で持ってこられたら良いに決まってますって……(苦笑)。
●− Review7 総合評価 −●
間違いなく買いです。恋愛系のゲ−ムが好きならば殆どの人にお勧めできる内容です。
ただし……過去にDOS版をプレイしたことがある人は、内容をDOS版と比較してはいけません(苦笑)。ひとつのゲ−ム
として見ることが条件……というか、それが必要かつ当たり前なことです。
本当は今回、DOS版との比較はしないようにレビュ−を書いていくはずだったのですが、どうしても頭の中で比較が始ま
ってしまったので、ある程度の範囲内で比較をすることにしました。無理に押し込めるのも嫌だったので……。
過去の思い出が強かったゲ−ムだけに、こういう部分で見過ごすことは出来ないんですよねえ……。
もっとも、その比較も瑠璃のトゥル−EDを見た時点でDOS版と同等近くの評価まで持ってこれましたが(苦笑)。
これからは「真・瑠璃色の雪」を含め「瑠璃色の雪」は私の中で良い思い出となっていくことでしょう。
さて、今回はここらへんで筆を置かせて貰います。
縁があれば次のレビュ−でお会いしましょう〜(^^)/〜
2000/04/23 流 雷氷
Post,Script,
ゴメン……今現在、今年初のスランプど真ん中(TT)
……言いたいことが上手く文章で表現できない状態です……。
< ゲ−ム動作環境 >
OS=日本語版Windows95/98/日本語版が快適に動作する環境
CPU=Pentium-MHz(推奨Pentium200MHz)以上
メモリ=-MB(推奨48MB)以上
HDD=空き容量350MB(推奨700MB)以上
解像度=640×480:フルカラ−表示(推奨1024×768・フルカラ−)が可能であること
CD−ROM=4倍速(推奨8倍速)以上
音源=MIDI、PCM、CD-DA
DirectX=必須(Ver不明)
(一部パッケ−ジより抜粋)
< 補足 >
「原画:リバ原あき」
「シナリオ:リバ原あき、樋口和真、高田竜司」
「音楽:一色由比」
「音声:有り(女性のみ) アニメ:有り(一部)」
「価格:8800円」
「初回特典:Vocal入りCDシングル」
「年齢制限:18禁」
(順不同、敬称略)
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< 評 価 >
『真・瑠璃色の雪』
メ−カ− AIL
ジャンル ADV
ゲ−ム性 9点
スト−リ− 9点
グラフィック 9点
操作性 10点
音楽 10点
合計 47点
<評価概要>
独特な雰囲気があるが、楽しくプレイできることは間違いない。文章のセンスや演出は流石の出来。
要所要所のイベントが中途半端な印象もあるが、個々の内容は良い。特に瑠璃シナリオの完成度は特筆だった。
個性的な絵だが、形としては完成されている。また背景等の細かな部分も丁寧に描かれていた。
システム面におけるカスタマイズの完成度と自由度は見事。全くと言っていいほど不満は無かった。
場面の雰囲気が伝わってくるような曲が多く、非常に良い感じ。C.V.やVocalのレヴェルも高かった。
(上から順に、ゲ−ム、スト−リ−、CG、操作、音楽と各1行ずつの簡易評価説明)
<評価用プレイ時間参考表>
1プレイ時間 約06時間00分
総プレイ時間 約14時間00分
1プレイにおけるHシ−ンの割合(時間) 約00時間15分