Ver 1.00



 
 






★★★『RealizeMe』★★★



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 はじめに注意事項です。このレビュー中には表現の都合上、どうしてもゲーム内容のネタバレなどが含まれている

可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した

後で、このレビューを読むことをお薦めします(勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除

しているつもりですが、排除が万全とは言えません)。
以上の件、何卒ご理解ご了承下さい。 

 
 
 
@@@@@@@  ネタバレ注意  @@@@@@@








●− Review  序章 −●






 ん〜、ゲームのキャラを現実に登場させた「ゲーム」ってのはなかなか面白い設定だよなあ。


 いろいろと堪能させて貰ったGW商戦も終わり、レビュー関連が一息付いた5月下旬。世間は間近に迫ったWCの話題で盛り上がって

いたにも関わらず、私は久しぶりにダラダラとした生活を過ごしていました。いえ、勿論仕事は相変わらずの調子ですが。

 まあ本当はこう言うときにこそサイトにふさわしい話題をいつもより多く提供するべきなのですが、ここ最近妙にドタバタしていたことに

加え、6月購入予定のゲームがそれなりの本数だったこともあり、たまには休みを貰おうかなあ、と勝手に自己完結。特に無理をせず、

このまま6月商戦まで待機する予定を決め込んでいました。


 しかし、いざ休みを取ったは良いものの、考えてみれば次までの空白期間が長すぎ。……流石に3週間近くもレビュー更新をしないの

はマズイよなあ、と困りつつパソコン雑誌を眺めていると、以前からその奇抜な設定で注目していた「RealizeMe」が目に留まったのです。


 あ、そういえばこれも結構注目していたんだよなあ……と言うことで発売日を調べてみると、狙ったかの如く端境期な一週間後。

 ん〜、これは何かの啓示でしょう……と、またまた勝手に納得しつつ、半ば強引に本作を購入したのですが……閑話休題。







●− Review1  全体の印象 −●






 ……どうしよう(苦笑)。いや、私的には普通に楽しませて貰いましたが。


 何やら話を聞いていると周りの評価があまりに酷いらしく、普通に遊んで普通にレビューしようとした立場としてはちと困惑気味。

 予め断っておきますが、多分私のレビュー、いつにもまして当てになりません。これを参考にすることはお薦め致しかねます(苦笑)。

 ……まあ、元々レビューは個人的主観の賜ですし……と、都合の良い言い訳をしつつ……。


 いや、なかなか面白く遊ばせて貰いました。ゲームのキャラを現実に……と言う、エロゲのシチュとしてありそうで無かったバーチャル

リアリティな設定をどう活かしてくれるかを期待していたのですが、その点に関してはほぼ私の見たかった通りの展開を垣間見ることが

できました。逆に言えば、私はその部分さえ良ければ満足だったので、周りとの評価にズレが生じているのですが(苦笑)。

 まあ、設定の調理方法に関しては幾分不満もありましたし、もう少し物語を充実して欲しいと思ったことは事実ですが、ちょっとした息

抜き感覚で遊ぶにはこのぐらいの内容でも良いかと思われます。私的には時間をかけずにポチポチ遊べた点も有り難かったですし。


 ただ、矢張りもう少しスケールを大きく出来そうな内容を圧縮しすぎているという感は否めませんでした。もう少し中身を充実、もしくは

サブシナリオを一部を切り捨てて他シナリオの充実&補完をすれば小綺麗なゲームでまとまっていたと言う評価も出せたのですが……。


 さて、それでは個々の見解に行ってみましょう。







●− Review2 ゲーム性  −●






 さて、先陣を切るのは……ゲーム性です。


 ゲームジャンルはADV。展開は原則一本道で、ルートもクリアごとに増えていくため、攻略要素も無く、ゲーム自体は至極簡単な

部類に入ると思われます。演出以外でのBADルートは特になく、総プレイ時間は4時間程度でした。

 ひとつのシナリオが1時間程度で終わるので、お手軽と解釈するか短いと解釈するかは人それぞれですね。ちなみに私は前者ですが。


 で、まず注目したのが本作の設定。概要はストーリー関連で詳しく語りますが、要はゲームのキャラが現実(と言ってもあくまでゲーム

内での現実ですが)に登場してしまうと言う、ある意味一部のユーザーにとっては究極の願望(但し、この願望を持っている人はあまり

真っ当なタイプではありませんが……え、私ですか? 面白いとは思いますが、流石にそこまで妄想癖は強くありません(苦笑))を満た

してくれる設定でした。

 要はその設定を如何にユーザー視点、プレイヤーとのシンクロ具合をどう調理してくれるかを期待していたのですが、展開と結末は

個人的に充分満足のいく内容でした。

 事実、エロゲプレイヤーを前提にした設定自体が面白かったことに加え、実際に具現化した際に取った主人公の反応やツッコミも、

非常にエロゲーらしい発想で地味にシンクロさせて貰いました。個人的には主人公がエロゲの世界に飛び込んだ際、エロゲの舞台や

設定を皮肉った発言に爆笑していましたし(苦笑)。何気に自虐ネタですが、エロゲの不条理な設定を改めて垣間見た気分ですね。


 とまあ、設定に関しては上記の如くですが、あくまでも良かったのはこの設定部分だけ。それを活かしてこそのゲームだったにも

関わらず、実際の展開は笑えるぐらい中途半端かつ掘り下げ不足。この設定を活かせばもっと面白い内容になったハズなのですが……。

 もちろん登場するキャラは全て魅力的でしたし、素材は申し分ないとは言え……残念。


 しかし……エロゲのキャラで「エロゲー」を作るというのはエロゲでしか出来ない発想。この点だけは素直に誉めたいと思われます。

 まあ、一部堅気のゲームから流用していたりもしますが、それは例外と言うことで(w;







●− Review3 ストーリー −●






 さて……特に前振りも思いつかないストーリーです。


 主人公はシナリオライター志望の専門学校生。そんな彼がある日、発売直前のエロゲー体験版を開始した瞬間、不思議な力が働き、

ゲームのヒロインを現実の世界に呼び出してしまう。なんと彼は架空世界と現実世界との間に”ゲート”を開く能力を持っていた……と言

う安易かつインパクト抜群の展開で物語は幕を開けます。


 ……何というか、コアなエロゲユーザーであれば一度は考えたくなる設定ですね(苦笑)。


 で、内容とその評価ですが……まず言えることはひとつのシナリオが短すぎ。多数のゲームからキャラが登場するにも関わらず、

総プレイ時間が4時間程度と言うのが良い証拠と言えるでしょう。まあ、時間に追われる立場としては別に短いこと自体は悪くないの

ですが、その中身が充実した短さではなくスカスカした短さという印象を持ったのはマイナス要因でした。ある程度まとまっていれば話は

別とはいえ、単純かつ強引に短いというのは嫌ですね。

 何よりシナリオが短いというのは、単純にキャラの魅力をシナリオ上で活かす機会が減る訳ですし、折角いろいろなキャラを登場させ

ても個々の扱いがぞんざいになっては面白くありません。実際、キャラ自体は魅力的なのですがそれ無視したかの如く、一部シナリオ

では恋愛課程を吹っ飛ばしていたりとその扱い方は微妙。ストーリーにせよエロにせよ、微妙に中途半端な部分が目に付きましたね。


 もっとも、エロに関しては元々ライト系ユーザーなので大きな不満はありませんでしたが、若干陵辱まがいなネタがあったのは減点。

 まあ、ジャンルによっては陵辱系も有りなことは承知していますが、それを正ヒロイン格に当てはめるのは正直どうかと。まして、他キャ

ラをフォローしておいて正ヒロインがアレ……微妙に理不尽でした。シナリオによっては架空世界に介入して物語の結末を改変出来る

という展開を見せつけられている以上、何か不条理なものを感じてしまいました。

 設定を活かすも殺すもシナリオ次第とは言いますが、残念なことに本作はお世辞にも活かしていたとは思えませんでした。


 しかし、それなら本作が駄目だったのか、と言うと実はそうでもありません。

 諄いようですが、元々私が本作に関して期待していた部分は、ゲームの世界から出てきたキャラを如何に上手く表現するかと言う点。

 その枠で考えると本作は充分健闘していましたし、道中&課程の端折りぶりは別としても、結末に納得の行くシナリオもありました。

 ……まあだからこそ、シナリオに関しては勿体ないなあ、と。


 あと、主人公がエロゲキャラ→食えると言う発想を考え、その考えに対する反応をエロゲキャラが至極正論で語っていた演出がありま

したがあの演出は個人的には高く評価したいなあ、と。いや、本来この手の正論はエロゲという枠で考えると完璧に余計なのですが、あ

まりにもまともな正論を語っていたもので、思わず「そうだよなあ」とこっちが納得してしまいました(苦笑)。

 でも、アレはやっぱり食えないと駄目でしょう……。







●− Review4 グラフィック −●






 さて、ゲームの華、CGです。


 Minkさんのゲームが5年ぶりということもあり(起動ロゴが変わっていて驚いたぐらい久しぶりでした(苦笑))、原画人に関しての

知識も全く無かったのですが、原画自体は雑誌でCGを見たときから注目していたこともあり、何気に楽しみにしていた要素でもあり

ました。そして結果的にはその期待を裏切ることなく、良い意味でねちねちとした原画。エロゲ向き&エロゲらしくて非常に好印象でした。

矢張り本来エロゲにおいて、絵がエロいのは重要な要素。本作はその枠に充分当てはまっていたと思われます、絵単体は。

 また、ゲームの規模に反してCG枚数は豊富。コンスタントにCGを見ることが出来ました。


 ……しかし、これもまた例の如く絵が飛び抜けすぎてシナリオが微妙に負けているんですよね。単体の絵は満足できる出来だったの

ですが、シナリオ上で上手く動いていたかは微妙だったな、と。

 もっとも、最近ぬるいエロゲばかり遊んでいたので、本作は私的概念的に結構エロかったです。ただ、ところどころ唐突すぎる展開が

あり、もう少し課程を説明してくれと突っ込みたくなった部分もありましたが……。


 まあ、単純に鑑賞するぶんには申し分の無い出来であったことは事実ですね、ええ。







●− Review5 操作性(システム) −●






 さて、システムです。


 システムに関しては正直扱いづらい部類に入ると思われます。勿論基礎的なシステムは完備していますし、カスタマイズも可能なの

ですが、そのカスタマイズ調整がアバウトだったりと、細かな部分で使いづらいと言う印象を持ちました。個人的にはメッセージスピードの

調整段階で若干の目眩を覚えましたが(苦笑)。

 で、その中でも微妙に扱いづらかったのが、本作のメインシステムとも言えるマップ移動型の分岐システム。要はボタンひとつで好きな

シーンにひとっ飛びと言うヤツですね。

 この分岐マップクリックシステムは過去に何回か体験したことがありますが、確かに便利なことは間違いありません。進め方によっては

かなり不整合が出ることもありますが、本作はセーブ、ロードという概念をマップ上の移動に置き換えていたため、システム自体は円滑に

動いていました。

 しかし、本来こういうシステムはもっと複雑かつ長いゲーム、もしくは攻略要素の高いゲームで使ってこそ価値があるシステム。お手軽

系の本作で使うようなシステムではありません。何より、独自色の強いシステムはユーザー側にとっても、慣れるまでは相当扱いづらい

システム……と言うか、本作の場合はシステムに慣れる前にゲームをコンプリートしてしまったと言う説もありますが(苦笑)。

 ……いや、だから評価が低くなったと言う訳ではありませんけどね。


 あと、ひとつ気になったのがテキスト表示の際に読点で一度区切られる仕様。別に間違ってはいないのですが、何か引っかかりを感じ

るようで気に入らなかったですね。私的には地味に邪魔な仕様だったことを付け加えておきましょう。







●− Review6 音楽 −●






 さて、影の引き立て役……音楽です。


 曲自体はどの曲も及第点以上。場面との融合も出来ていましたし大きな文句もありません。ただ、逆に言えばそれだけです。

 どこか音楽が飛び抜けている部分があれば、また評価も変わってきたと思われますが、特に誉めるような点は無かったかな、と。

 ……と言うか、恐らく音楽単体は良い出来だと思われます。しかし反面、シナリオが甘すぎる……これまたいわゆる逆パターン

評価を下げている気がしてなりません。まあ、シナリオに音楽が追いついていないゲームというのはよく見かけるのですが……。


 あ、そういえば本作、久しぶりに主人公を含むFull-voiceのゲームでした。男性声優の起用は評価の分かれるところでもありますが、

本作は特に違和感も無く、普通に聴くことが出来ました。まあ主人公にCVを付けるのは私的にあまり好ましくない気もしますけど。

 とりあえず音楽に関しては以上です、ね。







●− Review7 総合評価 −●






 いや、実は結構満足しています。……別に開き直りではなく、純粋に(苦笑)。

 シナリオが短いと言う不満もありますが、短いなりに楽しませてもらいましたし、何より当初の目的であったゲームキャラの仮想現実

という素材をどう調理するのか
という期待を裏切ることなく、ほぼ私の意に添った展開を見られたことが全てです。くどいようですが、元々

私が本作に期待していたのは上記の部分が大きかったため、他の要素に関しては若干目を瞑ってしまった部分があると思われます。

 ちなみにエロに関しては常日頃エロの薄いゲームを遊んでいるので、特に大きな不満はありませんでした。


 さて、結論です。

 先に述べたように、ゲームキャラの仮想現実的演出を楽しみたい人、もしくは原画目当ての人であれば購入しても問題ないと思われ

ますが、シナリオやエロの充実など、ゲームの本質部分を求める人は回避した方が賢明かと思われます。特にシナリオ関連は致命的。


 良くも悪くも、期待していた部分によって評価が全く変わるソフトだと思われます。

 私の場合は恐らく少数派ながらも本作を楽しんだ派なのですが、外部の話を伺う限りではかなり見解が違うようで、あれこれ戸惑い

ながらこのレビューを書いていたと言うのが本音だったりします。と言うか、間違いなくこのレビューは異色中の異色かと(苦笑)。


 さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。

 縁があれば、次のレビューでお会いしましょう(^^)/〜






2002/05/31 流 雷氷



Post,Script,


諄いようですが、恐らくこのレビューはかなり異色なので信用しないほうがよろしいかと(苦笑)。




< ゲーム動作環境 >


 
 


OS=日本語版Windows95/98/Me/2000/XPが動作する環境

CPU=MMX-Pentium166MHz(推奨PentiumII-266MHz)以上

メモリ=48MB(推奨64MB)以上

HDD=最低空き容量30MB(推奨500MB)以上

解像度=800×600:ハイカラ−表示(推奨1024×768:フルカラー)が可能であること

CD−ROM=4倍速(推奨12倍速)以上

音源=WAV、MIDI

DirectX=Ver7以降



  


 
(一部パッケ−ジより抜粋)




< 補足 >




原画:INO」

シナリオ:開田あや」

音楽:紫賀耕元」

音声:有り(主人公含めFull) アニメ:無し 」

価格:8800円」

初回特典:有り(テレホンカード)」

年齢制限:18禁」

メディア:CD」

(順不同、敬称略)
 
 
 
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< 評  価 >
 
 
 
『RealizeMe』
 
 
 
メ−カ−   Mink
 
ジャンル   ADV
 
 
 
ゲ−ム性         9点
 
スト−リ−         7点
 
グラフィック          9点
 
操作性           7点
 
音楽             8点
 
 
 
合計 40点(50点満点)






<評価概要>





ゲームのキャラを素材にすると言う設定は面白い。ただ、違和感無く楽しめる層はそれなりに限定される可能性有り。

素材と内容自体は悪くないが、いかんせん要所で端折りすぎ。課程を丁寧に書いてくれれば評価はもう少し高かった。

エロ向きな絵。ねっとりと描かれていて魅力的。CG枚数は問題無いが、シナリオとの噛み合わせが微妙にズレていた部分も。

カスタマイズが中途半端すぎる。便利そうで不便。独自色を出してはいたが、ゲームの規模を考えると不要っぽい。

どの曲も平均以上だが、シナリオに上手く乗っていなかったのが残念。あと、久しぶりにフルボイスのゲームを遊んだ気が。



 
(上から順に、ゲ−ム、スト−リ−、CG、操作、音楽と各1行ずつの簡易評価説明)





<評価用プレイ時間参考表>




1プレイ時間     約04時間00分

総プレイ時間     約04時間00分
 
1プレイにおけるHシ−ンの割合(時間) 約00時間25分