★★★『オシオキSweetie』★★★
はじめに注意事項です。このレビュー内には表現の都合上、ゲーム内容に関してのネタバレなどが含まれている
可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した
後で、このレビューを読むことをお薦めします(勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除
しているつもりですが、排除が万全とは言えません)。以上の件、閲覧前に何卒ご理解ご了承下さい。
●− Review 序章 −●
さて、困ったことに何も予定が無いんだよなあ……。
新しいバイトに就き、何とか急場をしのいでいた8月下旬。夏コミ旅行の残務処理に追われていた私は、その勢いで
エロゲ周りのことをすっかり失念。ふと気が付けば何の話題も出さず&新作を遊ばずに1ヶ月が過ぎようとしていたのです。
ぶっちゃけ、最近はただでさえ更新が停滞気味。今後の予定が白紙と言うのは流石に不味いよなあ……と、言う旨の
ヘタレ発言をしたのが数ヶ月前。そして今現在、そのときと全く同じ状況に陥ってしまった私は前回同様、慌てて補完用に
遊ぶ作品を求め、エロゲ雑誌を片手に検討を開始。そして辿り着いた先が、本作「オシオキSweetie」だったのです。
実は本作、新作の購入検討候補としてしっかり予定していた作品でした。元々私は受けシチュを好む傾向(嗜好)が
強いことと、原画担当さんがエロ絵には定評があるINO氏と言うことで、お手軽系の抜きゲーとして注目していたのです。
ただ、発売日の購入はないだろうと言うことでそのまま様子見する予定だったのですが、気が付けばこんな状況だった
ことや、たまたま臨時収入に恵まれたこともあり、珍しく標準価格の抜きゲーを遊んでみよう、と言う意欲が沸いたのです。
ま、最低限エロエロな作品であれば充分だよなあ、と思いつつ本作を購入したのですが……閑話休題。
や、抜きゲーとしては充分合格点でした、ね。
どちらかと言えばコスプレ&イメクラゲーと言う雰囲気が強かったものの、逆に言えばそれらのシチュエーションを上手く
生かしたHシーンは非常に魅力的でしたし、期待していた主人公の受け(押し倒され)系シチュも、納得出来る内容でした。
趣味や性癖が合うことが前提ですが、頼りない系の主人公がヒロインに翻弄されたり、押し倒されたりする設定に惹かれる
人には期待を裏切らず、手軽に楽しめる内容になっていたと思われます。勿論、多少の「なりきり」プレイはありますが、何だ
かんだでダダ甘なコスプレ純愛作品なので、気負わずエロエロな展開を堪能出来た点は個人的に高く評価したいです、ね。
強いて言えばイメクラ感が強かった所為で恋愛要素がおなざりに感じられたことや、人外レベルの胸に萎えたりも
しましたが、エロ重視と言う方向性は充分に出ていたので、後は個々人の好みと言うことで片づけて良いと思われます。
ただ、抜きゲー故の宿命ですが、エロ以外の要素に関してはあくまでもおまけと考え、シナリオ諸々に過度な期待をしない
ことが本作を楽しめる前提条件となっていましたね。結果的に人を選ぶ内容になっていた点は否めませんでしたし……。
それでは、個々の見解に行ってみましょう。
抜きゲーは目的がハッキリしていて有り難い……ゲーム性です。
ゲームジャンルはADVで1プレイ時間は約5時間。ただ、概ね半分以上の時間をエロシーンに費やす、いわゆる抜きゲー
仕様と言うことで、ゲームそのものは駆け足進行という印象を受けました。エロゲーとしては全然問題ありませんが(苦笑)。
ちなみに選択肢も少なく難易度は激低。ただ、複数回プレイによって若干選択肢と攻略キャラが増える形式になっていた
ので、コンプリートするにはそこそこの労力が必要な作りになっていたと思われます。
肝心の内容ですが、要は年上のお姉さんにオシオキしたりされたり、なヤリゲー。ただ、予想に反して主人公がオシオキ
を「する」と言うプレイ(但しイメクラ風味のなりきりプレイ)も多く含まれていたので、全編押し倒されと言う感じではなかった
のが個人的に少々残念でした。それでも主人公の容姿性格も相まり、概ね期待通りの「受け」ゲーではありましたし、ゲーム
を開始する際にヒロインを選択し、そのヒロインとは恋人状態から開始と言う少々変わった設定の為、大概のシチュエーション
が全部恋人同士の「遊び」として認識された点はヌルゲーマーな自分にうってつけの展開でした。
また、ある意味で本作の売りとも言える要素ですが、主要人物がコスプレ同好会という設定上、ヒロインとはコスプレ
でのエッチが多い……と言うよりほとんどコスプレエッチです(苦笑)。エロゲ概念におけるコスプレとしては定番のもの
ばかりが揃っている(ちなみにデフォルトはメイド服+館)ので、イメクラやなりきりプレイと言うシチュエーションが好きな人
にはお薦めできる作品ですね。ちなみに、ひとつのコスプレ服装で受け攻め両方のシチュがある点も追記しておきます。
あ、そうそう。余談ですがコスプレエッチは服装によってシチュが微妙に予想できると言う嬉しくない固定概念がありま
すが、本作はわりと捻った演出(なりきり)が多かったので、ベタな展開はそれほど多くなかったと思われます、はい(苦笑)。
抜きゲーなので特に気にせず……ストーリーです。
学生自治会非公認のクラブ『コスプレ同好会』に半ばむりやり所属させられている主人公。そんな夏休みのある日、
主人公は「遊びに来なさい!」と言う部長(ヒロイン)に孤島の別荘へと招待(?)される。主人公が洋館の中に入ると、
何故かメイド服に身を包んだ彼女が登場し、普段の自由奔放&ワガママな性格とは正反対の丁寧な口調で接してくる。
実は彼女は本物のメイドに憧れており、この洋館で夏休みの間、メイドになりきって過ごすことにしたと言う。
そしてご主人様に仕えるメイドになりきった彼女は、主人公に対しHな『ご奉仕』をするのだった……。
と言う設定で物語は幕を開けますが、ヒロインによって若干変動があるので概ねこんなノリ、程度の認識でおっけい。
ぶっちゃけてしまえば特に深いシナリオでもありませんし、元々かなり強引な展開なので深く考えない方が賢明でしょう。
実際、この手の抜きゲーにおけるシナリオはあくまでもシチュエーションを作るための舞台です。
極論ですが、そう言う強引なシナリオこそ抜きゲーの証明でもあるので、物語そのものはあまり重要ではありませんし、
そもそも抜きゲーはシナリオに凝りようがありません。本作も恋人状態から始まると言う時点で、そこに至るまでの課程を
放棄していますし、また下手に凝ってしまうと抜きゲと言う路線から外れていくことが多いので、本作のようにあっさり進行
する方が有り難いですね。抜きゲーに関しては単純にエロを楽しみ、シナリオの深さ等は求めないのが私のスタンスです。
ま、例の如く長くなりましたが要はエロエロ物語。個人的には多様なシチュを充分かつ気軽に堪能することが出来ました。
あとライターさんの名誉のためにフォローしておきますが、決して悪いシナリオではありません。むしろ本筋はまともな部類。
強いて言えばストーリーを端折る関係上、必要な部分の回想を含みつつ進んでいくので、時間枠がややこしくなり、結果的
にシナリオの流れが遮断されていたのは勿体なかったですね。もっとも、先に述べたように、余計な物語を端折りつつ、エロに
徹すると言う点はヤリゲーの方向性としては決して間違っては居ないことも事実ですが……。
また、それとは別に気になったのは、良くも悪くもロールプレイ(=役割を演じる)感が強い物語だった点ですね。
コスプレ&イメクラプレイを主流とする本作ならではの違和感でしたが、本気の恋愛と言うよりはその場しのぎの演技を
個々に行っている……今一恋愛模様を感じられないムードが始終漂っていたのは質の悪い風俗の空気みたいで嫌でした。
ただ、本作のメインであり、元来私が毛嫌いするエセメイド屋敷プレイ(苦笑)に関しては、本作の仕様……あらかじめコス
プレの一環と宣言いた潔さが幸いし、抵抗無く遊ぶことが出来ました。いや、ホント。……故にアホな発言(本来のメイドでは
なく、エロゲ概念に基づいたメイド&思わず失笑してしまうような発言)もギャグとして認識していましたし。
もっとも「メイド=Hな奉仕」と言うのはエロ(ゲー)として至極当然のシチュエーションですし、それを忠実に再現している
本作の方向性は本来誉めるべきであり、非難する要素は全く無いのですが……その辺は私のワガママと言うことで(苦笑)。
さて、ゲームの華、CGです。
本作の原画はINOさん。以前にもINOさんが原画を担当したエロゲーを遊んだことがありますが、視覚的なエロと言う
点では個人的にかなり上に位置する作家さんだと思いますし、本作でもその実力が遺憾なく発揮されていたと思われます。
や、当たり前の話ですがエロゲという名の抜きゲーにおいて、矢張り見た目がエロエロと言うのは重要かつ第一印象。
本作は年上のお姉さんとそれに振り回される主人公と言う構図と多様なコスプレHにおけるシチュ、服の個性を充分に
生かした絵になっていましたね。結果として視覚的なエロさは一級品になっていました。勿論、CGの彩色も申し分なし。
ただ、その反面、欠点と言う名の不満点も多々ありました。
まず真っ先に言いたいのが「胸」。や、物事には限度があると良く言いますが、とあるヒロインは完全に人外クラスの胸に
なっていましたし……大は小を兼ねると言いますが、幾らなんでもリアリティに欠けすぎです。ギャグとして認識するという
ならまだ笑えますが、本気でやられると一寸引きますね……。もっとも、これで作画がさほど崩壊していないのはある意味
素晴らしい技術だと思いましたが。……と言うか一般のエロゲにおける巨乳が「小さい」と言われる様は不憫(苦笑)。
他にも、精液が少々多すぎたり、立ち絵が乏しい(最低限、コスプレに合わせた立ち絵を用意して欲しかった……)という
点も指摘したいのですが、良くも悪くも胸のインパクトが大きすぎ。INOさん絵の魅力自体は遺憾なく発揮されていたものの、
どうせなら本作ではなく、巨乳専用ゲームあたりでその真価を遺憾なく発揮して欲しかったですね。
何はともあれ、そのあたりに抵抗がなければエロエロよー、な感じで堪能できるCGになっていたと思われます、はい。
最近はCPUファンに優しいか否かも大きな評価基準……システムです。
ゲームジャンルがADVということで、特に斬新なシステムもおかしな部分もありませんでした。最低限の機能は揃っていま
したし、とりたてて指摘するような不便は無かったですね。強いて言えばオートモードにおけるテキストの速度調整が出来な
かった点と、複数回プレイを前提にしていたと言う点では若干テンポの悪いシステムだったかも知れませんが、致命的と言う
ほどではありませんでした。また最近個人的に五月蠅く批評しているCPU使用率も設定次第でかなり改善されたので、静音
快適に遊べた点は好印象。静かにゲームを遊べると言うのは良いものです。ホント。
ま、決して多機能なシステムとは言えませんが、普通に遊ぶぶんには特に問題ないシステムだったと言って良いでしょう。
ただ……久しぶりにビジュアルアーツ系のシステムに触れましたが、スタートアップへの登録及びデスクトップ上からの
ゲーム起動が標準で出来ない仕様は面倒でした。簡単な認証も兼ねているとは思うのですが、いちいちCDにアクセスして
から起動と言うのは少々面倒なので、このあたりは改善を希望したいですね。……って、結構愚痴ったなあ(苦笑)。
引き立て役としての真価や如何に……音楽です。
正直、これと言って印象に残る曲はありませんでしたが、音楽そのものは及第点でしたし場面相応な曲が多かったので、
取り立てて不満と言う部分は無かったですね。ただ、言い方を変えれば味も素っ気もない音楽だったと言うことなので、何か
一曲でもインパクトのある曲が無いと……と言うスタンスを取っている私としては結果的に低い評価になってしまいました。
で、音声に関しては完全フルボイス。と言う訳で主人公(男)にも音声が搭載されていました。気弱というかショタ系の
ノリ……要は押し倒されそうな声でしたが、受ける人には受けそうな声になっていましたね。誰に受けるのかは不問(苦笑)。
ただ、個人的に主人公の声は少々違和感……と言うか、ロールプレイと言う点で致命的な声だったと思われます。
何より、なりきりと言う名のイメクラプレイにおける命令口調の違和感が素敵すぎ。たどたどしいと言う見方も出来ますが、
威厳ゼロな様は思わず失笑してしまいましたし、ある意味新手のギャグにさえ見えてしまうのは流石に少々問題有りかな、と。
他のヒロインに関しては概ね問題なかったものの、凛に関してはHシーンが少々棒読み演技っぽい部分もありましたね。
また淫語修正が無しに等しく、しかもかなり多めなので、ヒロインが淫語を喋るのが好きな人にはたまらない内容かと。
ただ、やはりここでも物事には限度があるように、淫語にも限度があります。
個人的にはムードも盛り上がりも無視して強引に淫語を連発しているみたいで、あまり好きになれなかったですね。
ぶっちゃけ、個人的には淫語に頼らなくても充分エロかったと思いますが……。
えち方面の趣味が合えば、抜きゲーとしては良作と言って差し支え無いですね。
逆に言えばそれ以外の方の評価は低くなると思われますが「オシオキ」と言うキャッチフレーズに偽り無しの内容は
個人的に納得のいく展開でしたし、何よりコスプレHの数とエロさ(シチュエーション)は手放しで誉めて良いと思われます。
良くも悪くもイメクラHっぽい雰囲気になっていましたが、概ね看板に偽り無しの作品だった点は好印象でした。
さて、結論です。
絵師さんや設定、シチュエーションに興味がある方は購入しても充分楽しめる作品だと思われます。ジャンル的な期待を
持って購入すれば、その期待を裏切ることなく楽しめることは間違いありません。その反面、抜きゲーのお約束的な部分でも
ありますがエロ以外は特筆点が無いので、シナリオ重視派など、エロ以外の要素を強く求める人には向かない作品ですね。
や、個人的にはなかなかの良作でした。濃厚なエロと受けシチュを求めて購入したのですが、年上のヒロインに弄られる、
と言う期待通りのシチュエーションがしっかりと実践されていたので、最初から最後まで安心して楽しむことが出来ました。
なりきり故の強引な展開や、若干シナリオが重くなる部分もありましたが、最初から最後まで何も気負わず遊べた点は個人
的にポイントが高いですし、何も考えずにエロを堪能、と言うエロゲの基礎を心ゆくまで味わうことが出来たと思われます。
さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。長文に最後までお付き合い頂き、有り難うございました。
縁があれば、次のレビューでお会いしましょう(^^)/〜
OS=日本語版Windows98/Me/2000/XPが動作する環境
CPU=Pentium-166MHz(推奨Pentium-200MHz)以上
メモリ=48MB(推奨64MB)以上
HDD=空き容量10MB(推奨3.8GB)以上
解像度=800×600:ハイカラー表示が可能であること
DVD-ROM=実装必須
音源=PCM
DirectX=Ver5以降
「原画:INO」
「シナリオ:大神麒麟、黒崎将弘、守崎秀二」
「音楽:戸内里李、Ken Adams、ei、はらぺこキング、流 真司」
「音声:あり(Full) アニメ:なし」
「発売日:2005年08月26日」
「価格:9240円(税込)」
「初回特典:なし」
「年齢制限:18禁」
「メディア:DVD」
「Ver:1.00(初期ロット)」
注:2003年1月から点数形式を変更しました(50→100点満点)