Ver 1.01
 
Nagale's ゲ−ムレビュ−
 
 
★★★『ONE〜輝く季節へ〜』★★★
 
 
 
 
 「WHITE ALBUM」の話題が過去の話になりつつあった5月の終わり……。
 
 そんなある日、私のネットサ−フィンの1番の楽しみ、リ−フBBS:ゲ−ム談話室でひとつのゲ−ムが噂される
 
ようになりました。
 
 
 
「マルチ以来の涙だった。感動したッス」
 
「茜ちゃん萌え〜(笑)」
 
「とにかくシナリオが凄いから絶対やってみて下さい」……等々。
 
 
 
 ……それが、「ONE〜輝く季節へ〜」でした。
 
 勿論このゲ−ム、存在を知らなかった訳じゃありません。ただ、このメ−カ−の前作発売ソフトの内容があまりにも
 
取っつきがたい内容(個人的にああいうのも嫌いではないが、限度がある)だったこと、そして今回もそういうノリが
 
あるらしいということ。あと、これは私情ですが、あまりにも癖のある原画+ベタ塗りがいやだったというのもありますか……。
 
 ただ、ONEについてもそういう先入観がありながらも、ここまでの盛り上がりを見せたということは、やってみる
 
価値があるはず……。
 
 実際これを書いている現在でも、未だにBBSに名を挙げているのは事実です。
 
 ということで夏休み最後の楽しみとして某店のカ−ドを使い、殆どタダ同然の値段で購入してみた、という訳
 
なんですが……閑話休題。
 
 
 
 
 
 ズルいゲ−ムだな……と思いましたね。どのシナリオも最後は泣きが入るので。
 
 勿論悪い意味じゃないです。逆に言えば最高の賛辞です。出会いと別れ……そして再会。ありきたりな物語です。
 
ただ、別れ方があまりにも不幸な為に、各キャラに対する再開時の感情移入(主人公を除く)は凄かったです。
 
 
 
 プレイして最初に思ったことはこのゲ−ム、雰囲気があるゲ−ムに似ているんです。そのゲ−ム? ……実は「To Heart」
 
です。キャラ設定、システム、ゲ−ム前半の展開がなんとなくではありますが似ています。そしてゲ−ム後半、今度は「雫」の
 
雰囲気が出てきます。つまり、全体的にLeaf系作品を意識しているのでは? という印象を持ちました。
 
そのせいもあり、このゲ−ムの世界観には引かれるものがありました。もっとも、後述しますがそれなりの
 
訳があったんですけどね。
 
 
 
 とりあえず全体の流れを辿っていくうちに、私はひとつの疑問にぶつかりました。主人公がこの世界へ存在する意味は……
 
これについては私は最後まで理解することができませんでした。主人公は何故永遠の世界へと旅立っていくのか、そして
 
その世界で求めるもの(永遠)に何の意味があったのか? ……まあレゾン=デ−トル(存在意義)絡みの話は誰も
 
が通る壁。これを理解してしまうのもそれはそれで問題があるかもしれません。
 
 そう考えると、この展開はある意味正しいとは思います。ただ、ゲ−ムの世界観が理解できなかったというのは痛かった
 
ですね。このゲ−ム、全体的にシナリオが不可解な点が多すぎます。中途半端……といえば例えが悪いかも知れませんが、
 
そんな感じですね。実際、攻略する順番によっては全然理解できない展開に持っていかれることがありました。
 
また、女の子によっては、一月近くもカレンダ−の日付が進むことがあるのも違和感があったかなあ。
 
 
 
 そして……アレはないでしょう、主人公。殆どインパクトがない丁度いいキャラだと思ったのもつかの間、
 
やっちゃいました瑞佳シナリオ(笑)。彼女を避けるのは分かります。けどねえ……あまり書きたくはないんですが……
 
あの展開は納得いかなかったなあ。あの行動を許す(正式にはその後別れるが)ヒロイン(瑞佳)もヒロインだけど。
 
 
 これに似た展開を過去にあるゲ−ムで経験したことがあります。幼なじみの関係から抜け出そうとするときの主人公の気持ち、
 
葛藤……その内容があまりにも現実味があって感嘆したのを今でも覚えています。ところがONEは、主人公に対する
 
感情移入が全くといっていいほど無かったです。エンディングでの再会の感動も女の子の気持ちに共感したものであって、
 
決して主人公側の気持ちには共感できなかったです。
 
 幸せだった日々の方が、後々つらいこともある。主人公が果たしてどれだけこの気持ちを理解できたか(これは
 
プレイヤ−にもいえるが)、そのあたりの表現がもうひとつかなあ? という気がします。
 
 
 また、今回登場する女の子のうち3人は、体や精神等に障害を抱えている女の子でした。正直言って最初のうちは同情
 
目当て(差別的考えかな?)と考えていたんですけどねえ。ま、その差別的考えついては素直に反省します。
 
 
 キャラごとにいわせて貰えば、みさき先輩のシナリオについては完璧でした。いいたいことがほぼ完全に伝わったと思います。
 
他キャラについても及第点でしょう。あえていえば障害を抱えている娘の人数が多かったことがちょっと引っかかった
 
ですね。そして、わがままをいわせて貰えば矢張り最後には各キャラとも治って欲しかったです。決して無理な展開には
 
ならなかったと思うんですが……。もし、みさき先輩の目がエンディングで治ったら……多分私属性が変わってましたよ(爆笑)。
 
 確かに、治らない方がシナリオとしての完成度は高いです。けれど……ま、これ以上いうのは野暮ですかねえ。
 
 
 
 さて、最大の難関、原画です。……もう少し原画に気を使ってくれないかなあ。
 
 最近のBBS(掲示板)でこんな話がありました。
 
 
「先輩、いま話題になっている、【ONE〜輝く季節へ〜】、プレイしました?」
 
『いや、やっていない。作画が嫌いなんだ』
 
「また、敵を作るようなことを言う・・・」
 
『何を言うか。いくらシナリオが良い出来でも、NET上で評判が良かろうとも、作画が気に食わなければ俺は
 
18禁ゲームはやらないのだ』
 
 
 
(参考文献 世にも危険な会話シリ−ズ The Evangelist様)
 
 
 
 ……これはある意味で正論です。私はどっちかといえばゲ−ムの出来よりも音楽を優先する方なんですが、流石に
 
今回はこれと同じことをやっていました(笑)。まあ、最終的にはそこから一歩踏み出しましたけど……。
 
 
 今のエロゲ−の現状は正直言ってこんなもんでしょう。CGが綺麗なだけで売れる。だからエロゲ−じゃないのか?
 
といわれるとその通りですが(笑)。
 
 個人的には納得がいきませんねえ……というか最近はそれだけが売りのゲ−ムが多くなっていることに嫌気がさして
 
きてるのも事実。まあ、その話は別の機会に語るとして……つまり私のいいたいことはこのゲ−ムの取っつきの悪さ。
 
私もここまでならなければ多分買ってなかっただろうし(笑)。
 
 もっとも、エロゲ−にゲ−ム性を求めるのがおかしいという意見もありますけどね。少なくともあっていいと思い
 
ますよ。私は。
 
 
 
 さて、違和感の正体は……音楽です。
 
 やっぱり似てるなよあ? 雰囲気が……曲までも……と思ったら、音楽監修、折戸さんだったのね(笑)。折戸さん?
 
さて、誰でしょう(笑)というボケは放っておいて……あの不朽の名作、Leafビジュアルノベルズ
 
第1弾『雫』の音楽担当の方です。
 
 最後の方でおや〜っていう曲があったんですよ。曲の雰囲気がそっくりだったもんで。んで、エンディングを見たら
 
監修が折戸さん(笑)。久しぶりに彼の作風をじっくりと聞かせて貰いました。勿論、良かったです。そしてもう1人
 
「OdiakeS」さん。ゆいネットではよくお世話になってました。まさかここで会えるとは思っていなかった
 
ですねえ(あ、別に知り合いじゃないです。MIDIデ−タをDLして聞いていたりしてことがあったので)
 
 さて、今回の個人的なお薦めの曲は……「遠いまなざし」です。シナリオ絡みではありますが、涙腺にくる曲でした(笑)。
 
 
 
 
 
総  評
 
 
 
 名作……とまでは行かないものの、久しぶりに色々と影響を受けたゲ−ムでした。
 
 普通の恋愛ゲ−ムに重い世界観を入れることで、こんなに変わるものかなあ、っていう感じもありましたね。
 
勿論、いい意味で。
 
 多分、殆どの方は私と同じくCGのレベルの低さを懸念してこのゲ−ムに手を付けていないと思います。
 
そういう方の為に一言。
 
 
 
『CGは諦めましょう(爆)』
 
 
 
 お世辞にも上手いCGじゃないです。無理して誉めたくもありません。だから諦めてプレイしてみて下さい。
 
それから結論を出してもいいと思います。
 
 ……酷いなあ、我ながら(苦笑)。
 
 CGよりもゲ−ム性を! という方には自信を持ってお薦めします。シナリオのレベルも細かい難癖を覆い隠
 
すほどの出来です。一度はやってみる価値があると思います。
 
 
 
1998/9/15   流 雷氷委員長
 
 
 
Post,Script,
 
「戦略」が分裂して「鍵」になっちゃったなあ……上と揉めたかな?
 
 
 
 
 
<ゲ−ム動作環境>
 
 
 
OS=Win95が動作すること。
 
CPU=i486 DX2 66Mhz(推奨Pentium133以上)
 
解像度=640×480 65536色(ハイカラ−)環境が可能であること。
 
メモリ=16M以上(推奨24M以上) HDD=空き50MB以上
 
CD−ROM=CD−DA演奏が可能であるもの
 
 
 
 
 
「補足」
 
 
 
「原画 樋上いたる」 「音声、アニメ無し」 「音楽監修 折戸伸治」 「18禁」
 
 
 
 
 
< 評  価 >
 
 
 
 
「ONE〜輝く季節へ〜」
 
 
 
メ−カ−     Tactics(タクティクス)
 
ジャンル      ADV
 
 
ゲ−ム性      9点
 
スト−リ−性   10点
 
グラフィック     6点
 
操作性       10点
 
音楽        10点
 
 
合計   45点
 
 
 
 
 
 
<評価概要>
 
 
 
恋愛系として、上手くまとまっている。が、二番煎じ的印象も強い。
 
細かな難癖はあるが、全体的に見ると非常に完成度は高い。「泣ける」シナリオ。
 
癖が有る。構図の違和感。万人受けではない。彩色もハイカラ−のレベルでは……。
 
非常に快適。簡潔にまとまっている。処理面でも問題は無し。
 
要所での曲が雰囲気にあっている。特筆する曲は無いが殆どの曲が及第点以上。
 
 
(上から順に、ゲ−ム、スト−リ−、CG、操作、音楽と各1行づつ)
 
 
 
 
 
<評価用プレイ時間参考表>
 
 
 
1プレイ時間     約06時間00分
 
総プレイ時間     約15時間00分
 
 
1プレイでのHシ−ンの割合(時間)     約00時間05分