おまな２

　はじめに注意事項です。このレビュー内には表現の都合上、ゲーム内容に関してのネタバレなどが含まれている

可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略（エンディングまで到達）した

後で、このレビューを読むことをお薦めします（勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除

しているつもりですが、排除が万全とは言えません）。以上の件、閲覧前に何卒ご理解ご了承下さい。　

　まさかアレの続編が出るとは思わなかったなあ……。

　厳しい寒さも和らぎ、少しずつ春の兆しが見えてきた2月中旬。

　私はフライングシャインさんから届いたDMを眺めつつ、相変わらずのデビル○ン主人公に一人苦笑いをしていました。

　さて、実は本作。こんなの（←失礼）でも一応続編という末恐ろしい作品だったりします。ただ前作は個人的な

評価が高かったことに加え、何より馬鹿ゲーを好む私にとっては、数少ない真の馬鹿を堪能できた希有な作品でした。

　また、ここのメーカーさんは、いつも味のあるDMを送付してくれる数少ない紙媒体型広告系。作品を買わなければ1年

程度でDM系の送付を停止するメーカーが多い中において、最近にしては律儀なメーカーさんのひとつ。故に、例え義理

人情と言われようが、無駄な行為と言われようが、たまにはソフトを購入して還元したいと常々思っていたのも事実。

　しかし、基本的に私は凌辱系作品を嫌う＆メーカーの方向性が凌辱中心だったこともあり、なかなかその機会が無かっ

たのですが、そこに今回の新作発表。……正直、前作経験者としては、ある意味願ったり適ったりの作品だったのです。

　それじゃあ、今回は信用買いで楽しませて貰いませう、と言うことで本作を率先して購入したのですが……閑話休題。

　ああ、これは実に良い馬鹿ゲーですね……。

　相変わらず永井プ○ダクションあたりが怒り出しそうな暑苦しい顔に加え、更に冬○ナファンが激怒しそうな濃ゆい

顔までが画面を所狭しと跋扈していましたが、それを含め、相変わらず隅々まで徹底された馬鹿ゲーぶりでした（苦笑）。

　個人的にはこう言う馬鹿ゲーを発売してくれるメーカーさんに大変感謝しているのですが、客観的に見て売れるとは

思えない作品を発売すると言うギャンブルは、商業ベースのメーカーさんとしてはかなり間違っていると思われます。ええ。

　実際、良かれ悪かれ作品の個性が強すぎ。売れ線と言う名の万人受け要素（例：萌え絵や恋愛要素）を全て放棄し、

最初から最後まで純粋な馬鹿ゲーに徹していた様は相変わらず見事でしたが、客観的に見ると絶対に受けないことは

間違い有りません。私のような馬鹿ゲーを好む輩にとっては大満足なものの、どう考えてもそれは少数派ですし（苦笑）。

　勿論その馬鹿ゲーぶり故に、シナリオ等は根底から破綻していましたが、私は馬鹿ゲーにその手の要素はあまり求めて

いない……と言うより整合性のある馬鹿ゲーも逆に怖いので、最初から最後まで如何に破綻したシナリオを堪能できるかと

言う点を一番重要なポイントにしています。で、本作をその枠に当てはめた場合、充分合格ラインだったと言えるでしょう。

　ただ、何もかも勢いとノリで楽しむ作品なので駄目な人は全く駄目な作品であることは言うまでもなく。

　ぶっちゃけ、個人的な高評価に反比例して、他人様にお勧めする気は全くありません（と言うか出来ません）し。

　それでは、個々の見解に行ってみましょう。

　相変わらずの馬鹿ゲーだった……ゲーム性です。

　ゲームジャンルはADV。公式には「つゆだくひきこもりADV」と銘打たれていましたが、実際その通りの内容でした。

　1プレイ時間は約3時間と短めでしたが、半端にルートが多いことや、2周目という概念もあるので、ボリュームは相応。

そして言わずもがな、馬鹿。全員が素晴らしき馬鹿。突っ込むのが無粋なぐらいの馬鹿ゲーぶりに乾杯（苦笑）。

　具体的なゲーム内容は夏休みの間、家の地下にひきこもりながらアイドルデビューを目指して特訓、と言う破綻系

な物語。とは言え、その異様かつ疑問な光景を、超お馬鹿（※誉め言葉）な登場人物達が違和感なく演出していた様は、

ある種の清々しささえ感じました。……と言うより、プレイヤーの思考能力が麻痺していると言う可能性も（苦笑）。

　で、つゆだく＆暑苦しさを演出する物語ですが、どう見てもエロゲ主人公には見えない外観から繰り広げられる無茶苦茶

な行動は相変わらず見事。不条理な言動を始め、強引なこじつけと勢いのみで存在しているにも関わらず、その理論＆暴走

に懐柔させられるヒロイン達が実に面白おかしく描かれていました。登場人物全員が馬鹿だからこそ出来る荒技でしたが、

ここまで清々しいと逆に納得。プレイヤーが冷静に考える間もなく、常にハイテンションでゲームを進行させていたと言う点で

は、実に面白い手法だったと思われます。ちなみに今回、ほむらさんは完全にイッちゃってました……。

　ま、何はともあれ、これほど純粋な馬鹿ゲーを遊んだのは久しぶりでしたね。何も考えず楽しく遊べた点は実に良好。

　ぶっちゃけ頭の弱い私にはこの手のお気楽ゲームが性に合っていますし、設定から演出に至るまで、とことん馬鹿ゲーに

徹した作品は、半端な売り上げを全て放棄しているぶん、本当に強烈な勢いを醸し出していたことは間違い有りません。

　また、エロゲ故のエロ関係もなかなか充実。行為自体は結構えげつなかったものの、その馬鹿ゲーぶり故に、メイン

が凌辱でありながらも、見た目は至って普通の和姦が成立していた点はまさにコメディ凌辱。実際あり得ない状況から移行

したエロシーンの数々には笑いが止まりませんでした。何だかんだでエロは結構濃い目でしたし……。

　ただ、前作の「ハワイ」のような強烈な言動要因が意識されていなかった所為か、所々の言動が浮いていた印象も

少なからず感じました。アイドル特訓引きこもりと言う行動も充分強烈でしたが、それで全裸生活と言う展開には少なか

らず無理があったと思われます。その辺を突っ込むのは無粋かも知れませんが、前作のプレイを必須（まあ、前作を楽しめ

たユーザーしか買わないと思いますが（苦笑））にしていた様は、一応続編なんだなあ、と改めて実感してみたり。

　ここまで強引だと逆に納得出来る……ストーリーです。

　ある日、主人公の妹が街でスカウトに声をかけられ、B級深夜番組のエキストラとしてTV出演することになった。

　その後とあるオーディションへの参加を勧められる妹だったが、主人公である兄はスカウトの誘いを冷淡に刎ねる。

　だが「海外ロケは勿論家族同伴です」と言うたった一言で主人公の態度は180度豹変。二つ返事で了承し、まだ決まっ

ても居ない話を自慢げに話し、夏休みはハワイだ、と意気込む。しかし、主人公の幼なじみであるリョウがこれに反論。

子役経験もある妹、レイナを引き出し、逆に嘲笑う。それを聞いた主人公は、妹と共に引きこもり特訓を始めるが……。

　と言う設定で物語は幕を開けますが、動機や理由はあまり気にしない方が賢明です（苦笑）。

　そんなこんなで引きこもり生活がスタートする訳ですが、引き籠もる、と言う点に関しては前作ほどの明確な理由が

薄かった所為か、良くも悪くも代わり映えのない二番煎じ（妥当と言えば妥当ですが）と言う印象でした。まあ、中身その

ものは軟禁状態における特訓という名の、倫理を無視した主人公の暴走ヤリまくりゲー＆頭のネジが飛んだヒロイン達の

シュールな光景でしたが、個人的には見た目パロディ、中身は不条理と言う印象が強い良質の馬鹿ゲーシナリオと言う

感じで、大変堪能させて頂きました。この極限の内容を堪能した、と言うのもある意味危険と言えば危険ですが……。

　あ、そうそう。言い忘れていましたが、難易度に関してはさほど難しくありません。ただ、非常に面倒な構成になって

いるので、繰り返しプレイの回数が多いことや、引き籠もるまでに紆余曲折が多く、EDの半分が集中している点はご愛敬。

　と言うより、油断しているとそこであっさりゲームオーバーになります。BADの内容自体は一見の価値有りですが。

　分岐が結構面倒（選択肢全潰し級）だったのは、お手軽さと言う点では微妙だったかも知れません。また、先述した

ように一応続編なので、前作経験者の方が楽しめます。と言うか前作経験者じゃないと展開に付いていけません（苦笑）。

　で、アイドル養成訓練と言う名の下、不条理な命令を出し、それに従うヒロイン達は言うまでもなく馬鹿ですが、元々が

馬鹿ゲーなのでそれは最大級の誉め言葉。無茶な発言を強引に押し切る主人公も相変わらず良い味を出していました。

　そして暑苦しさが大爆発＆画面全体から伝わってくるかのような構成も健在。本当に腹が立つぐらい暑苦しいんですよ。

　ただ、ひとつ残念だったのが今回の新キャラがあっさり陥落していた（染まっていた）点。前作は後半になるにつれ、ヒロ

インが壊れていく課程が楽しかったのですが、今回はハナから全員が綺麗に壊れ気味（苦笑）。異常が日常になる課程を

省いた所為で、最初のインパクトが若干薄れていたのは勿体なかったですね。

　あ、そうそう。一部のEDは非常にヤバイです。ぶっちゃけて言えばデビル○ンです。アレはひとつの笑撃でした……。

　ちなみに今回、前作で個人的に不評だった百物語は封印され、変なクイズが実装されていました。

　クイズはクイズで何とも言えない空気が漂っていたものの、お馬鹿な方向性としてはこれで良かったと思われます、はい。

　さて、ゲームの華、CGです。

　本作の原画担当は長岡建蔵さん。癖がある絵なので人を選ぶことは否めませんが、作画は概ね良好で、個人的には

結構お気に入りの作風でした。半端にリアルな身体のラインや汗の描写がなかなかエロティックだった点は好印象。主人公

の顔は相変わらずエロゲから逸脱している（本来エロゲ主人公は当たり障りのない無個性な顔をした優男が大半を占める）

……と言うか、ぶっちゃけて言えば某デビルのパクリでしたが、あの顔あってこその本作なので、アレはアレで（苦笑）。

　強いて言えば、逝っちゃった系の顔は生理的嫌悪が生じて駄目でしたね。これは私が凌辱系嫌い故の拒絶反応ですが。

　また、肝心のエロは意外に充実。汗や汁との絡め方が上手かったですね。ただ、全体的に凌辱中心のシチュなので、

嫌いな人は駄目かも知れません。もっとも、先述したように、エロシーンで笑えるレベルの凌辱ぶりではありましたが……。

　あと、背景やCGに関しては全体的に前作の使い回しが多め。高○ブーまでそのまんま（苦笑）。

　その割に、価格が高騰したのは若干複雑な部分もありましたが、採算性を考えると仕方がないとも言えますし。

　……あ、そうそう。ヨソ様は見た目と中身で爆笑させて頂きました。服だけリアル季節相応だった点も良好（苦笑）。

　快適な操作には欠かせない……システムです。

　ゲームジャンルがADVと言うことでさほど複雑なシステムは実装されていませんでしたが、各種機能は相応に実装されて

いたので、快適な部類のシステムだったと思われます。ただ、時折手動設定が内部でリセットされていたらしく、設定変更が

上手く反映されていなかったことがあったのが気になりました。それ以外は特に不満もなく、良好なシステムでした。

　……あ、そうそう。久しぶりにメディアがCDだったのですが、毎々の起動チェックは地味に煩わしかったですね。

　で、本作で特筆したいのがマニュアルと各種画面効果。特に新聞風味なマニュアルは一見の価値有り。そして画面効果に

関してもタイトル画面の時点で既に吹き出しそうな遊び心が満載でしたが、システム画面や各種コンフィグ、CGモード画面に

おける細かな演出とお遊びは特に楽しかったですね。ウィンドウCGの暑苦しさも本当に暑苦しかったですし（苦笑）。

　何にせよ、このような演出効果を伴うお遊び的要素の充実は個人的に好きですし、無機質なシステムで画面を固められる

よりは遙かに人情味があったと言うことを記述しておきましょう。若干吹っ飛び過ぎな気もしましたが……。

　流用がちょっと多すぎたかなあ……音楽です。

　本作の音楽担当はさっぽろももこ氏。個人的には絵師さんとしてのイメージが強い方なのですが、それはさておき音楽に

関しても馬鹿ゲらしい音楽が満載。何処かで聞いたことのあるようなメロディラインが一層面白い味を出していました。

　で、その音楽ですが、前作からの流用が半分程度。まあ、それはそれで構わないのですが、前作がハワイをイメージして

作られていた故に、本作のテーマ（アイドル）からは若干外れていた……何処か違和感を伴う構成だった点は否めません。

　なまじ南国ティストな雰囲気が出ていた故に、本作の地下引きこもり（ハワイ分が薄め）には合わなかったかな、と。

　良かれ悪かれ、印象に残る曲が多かったことや音楽単品そのものは良質だった故に、安易な使い回しが気になりました。

　但し、ヤバイキャラとヤバイ曲のコンボは危険です。ヨソ様とか危険すぎ。いやホント。

　C.V.に関しては例の如く及第点……もしくはそれ以上。ころなの中の人の声に若干違和感を受けましたが、その他は全て

ハマリ役でしたね。演技力を含め、それぞれ頑張っていたと思われます。ただ、強いて言えば、こういったゲームだからこそ、

主人公にも声を実装して欲しかったですね。まあ、あの顔に合う声となると、実際はなかなか難しいと思われますが……。

　ただ、ひとつ気になったのが、音声のボリューム。環境依存か仕様なのかは兎も角、キャラごとに音量差があり、調整に

一苦労しました。この点に関しては、各種音声のバランスをもう少ししっかり調整して欲しかったですね。

　ぶっちゃけ、この極端な内容を支持する層はあまり居ないと思いますが……。

　それでも、個人的には大変楽しませて貰いました。元々この手の破綻系作品とは相性が良いという面もありますが、

内容も馬鹿ゲーを好む私好みでしたし、なおかつ、目先の売り上げを考えず、最初から最後まで笑いを取ろうとしていた

シナリオは馬鹿ゲー（ギャグゲー）として秀逸でした。ホント、ここまでやってくれると清々しささえ感じますよ……。

　……勿論人それぞれに好みはありますし、裏を返すと駄目な人は生理的に受け入れられないレベルの作品ですが。

　物書きとしては少々御法度な発言ですが、何も考えずに楽しめると言うのは良いものです。楽しんだもの勝ちですね。

　練られたシナリオやキャラ萌えゲーが売り上げの大半を占めるのが主流時世ではありますが、本来ゲームとは娯楽……

すなわちエンターティメントとして楽しめるかが一番重要です。その点において、本作は私の琴線を見事に直撃してくれまし

たし、ひとつの娯楽作品として楽しむことが出来ました。……まあ、感性は人それぞれということで（苦笑）。

　さて、結論です。

　前作経験者や、前作を堪能した方は購入の価値があると思われます。また、馬鹿ゲー好きな人には無条件でお薦め

したい……のですが、正直どの層にもお薦めしかねます。最近この手のジャンルは枯渇気味なので、馬鹿ゲー目当てで

あれば充分楽しめるとは思われますが、前作の流れが濃すぎる（一応続編）ので、単品での購入はお勧めしません。

　もし本作に興味を持った方で、前作を未経験な方が居れば、悪いことは言いませんのでまず前作を購入してください。

前作は廉価ソフトとして発売されたので、お手軽価格で購入できますし、何よりこのシュールな世界観と雰囲気を掴むには

前作のプレイがほぼ必須と言えます。……あ、勿論、感動的なシナリオとか、起承転結な物語とか、昨今のテンプレ型エロ

ゲーを求める人には全く向かない作品ですし、馬鹿ゲーが嫌いな人も全力回避を推奨します。あと、主人公は美形主義と

言う人も大人しく回避しましょう。……唯一、外見パクリ好きな方にはお薦め、かな。

　前作が廉価作品だったので、本作の価格変更（通常エロゲ価格設定）には若干首を傾げる部分もありましたが、実際

採算が取れるほど売れる作品とは思えないので、これはある意味しょうがないことかも知れません。あと、発売時期とゲーム

内との季節が正反対に近かった点も相変わらず。北国在住な立場としては尚更この違和感が気になりましたね。

　特に夏を意識＆舞台にした作品なので、今時期（3月上旬）に遊ぶとどうしても違和感を受けてしまうのは残念でした。

　どちらかと言えば夏まで待ってから発売した方が、更に臨場感が出て面白かったと思われます。と言うか夏に出せ、と。

　さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。長文に最後までお付き合い頂き、有り難うございました。

　縁があれば、次のレビューでお会いしましょう（＾＾）／～

馬鹿ゲーとしての評価は高い。好きな人は充分楽しめる。それ以外の点で評価する場合は点数に-4の修正を。

あれこれと深く考えず、ひたすら馬鹿ゲーとして楽しむのが吉。逆に言えば、シナリオは根本的に破綻している。

絵そのものは及第点だが、汗の使い方がエロさに繋がっていた。イキ顔やシュールな表情は少しやりすぎな感も。

視覚的な面で楽しめる良いシステムだったが、既読判定や各種設定が若干不安定だったのは頂けない。

前作の流用が多く、若干雰囲気に沿っていない部分もあったが、全体的には軽いノリで聴くことが出来た。ソナタ。