Ver 1.00a
 
 
 
Nagale's ゲ−ムレビュ−
 
 
 
 
 
★★★『Lien〜終らない君の唄〜』★★★
 
 
 
 
 
■■■■■ README ■■■■■
 
 
 
はじめに注意事項です。このレビュ−中には、ゲ−ム内容のネタバレなどが含まれている可能性があります。
 
 ゲ−ムをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲ−ムを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した後で、このレビュ−を読む
 
ことをお薦めします(一応、未プレイの方でも大丈夫なように、ネタバレ的要素は極力排除しているつもりですが……)。
 
 
 
 
@@@@@@ ネタバレ注意 @@@@@@
 
 
 
 
 
 
 
●− Review  序章 −●
 
 
 
 
 
>なんか「Lien」っていうソフト、結構いい感じらしいッスよ?
 
 
 
 それは2月上旬。水道も凍り付くような極寒の季節……。
 
 「猪名川でいこう!!」で遊びつつ、各サイトで「猪名川」に関する感想を読んでいたNagaleに、上記のようなメッセ−ジ
 
が飛び込んで来ました。
 
 
 まあ実際のところ、特定のソフトがちらほらと話題になることは別段珍しくもないので、このときは「ふ〜ん」という程度の
 
感想を持ちつつも別段内容を気に止めることはなく、この件は忘却の彼方へと運ばれる予定でした。
 
 
 が、しかしこの書き込み以降、妙に「Lien」に関する話題が増え、それに伴い各種サイトが騒がしくなってきました。
 
 
 話題の内容は色々でしたが、ひとつのソフトがこういう形で話題になるのは、このソフトに何らかの価値があるということ。
 
……こうなるとなんとなく気になってしまうのはこの家業の悲しい性分(^^;
 
 というわけで、折角だからやってみるかということで本作を購入したわけで……閑話休題。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review1  全体の印象 −●
 
 
 
 
 
 成る程なあ……というのが正直な感想と言えます。確かにNET上で話題になっただけのことはありました。
 
 幽霊の話ということで、懸念していた重苦しい先入観は何処へやら……とてもノリの良いソフトで、楽しくプレイする
 
ことが出来ました。
 
 しっかし、ゲ−ム開始早々あっさりと他界する主人公ってのも……珍しいなあ(^^;
 
 挙げ句の果てに幽霊らしさを全く感じさせずに暴走する主人公と、幽霊が加わったことを気にも止めない仲間たち……この
 
世界観をほとんど違和感無くまとめ上げているのは、なかなかいい感じでした。
 
 
 まず言えることは、良い意味での馬鹿ゲ−です。既に幽霊となってしまった主人公を始めとして、どこか壊れているキャラ
 
クタ−が繰り出すドタバタコメディ……。大笑いという程ではありませんが、久しぶりに楽しく笑わせて貰いました。
 
 ……ゲ−ムが終わった後も、暫くのあいだ妙なギャグやセリフが頭の中に残ってしまったのはちょっと困りましたが(^^;
 
 あと、ギャグに思わず遠い過去を感じてしまったのはジェネレ−ションギャップ?(苦笑)。
 
 
 ただ、ひとつ引っかかったのがパッケ−ジの絵(雑誌広告の絵)とゲ−ム内容の互換性の無さ。
 
 ゲ−ム内容とあまりにもイメ−ジが違いすぎる為、実際にゲ−ムをプレイした際に違和感を感じました。確かに、後半部分は
 
そこそこシリアスになるとは言え、基本的にはコメディ調な内容の本作。この違いは無駄に損をしている気がします。特に
 
雑誌広告を見た際、Nagaleが最初に考えたゲ−ム内容は「西部劇の話か?」 という感じだったので(^^;
 
 もう少し外見で「らしさ」を漂わせても良かったような気がしましたが……。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review2 ゲ−ム性  −●
 
 
 
 
 
 「Lien」の正式なジャンルは「とり憑き型ハイテンション系ラヴコメADV」だそうですが……。
 
 
 まず興味を引かれたのは、テキストに独特かつ斬新(?)な雰囲気があったこと。……わかりやすく言えば、各テキストに
 
状況説明が入る感じかな。
 
 これ自体は別段珍しいものではないとはいえ、本作はこの状況説明の利用頻度が極端に多いです、というか多すぎ。
 
 しかも、その説明文がちょっと古めのネタやパロディ&ギャグで書かれているため、ツボに入ると無茶苦茶笑える
 
ところがすっごくいい感じ(笑)。
 
 この形式により、今までに無いタイプのテキスト……独特な言い回しを持つ奇妙な雰囲気が醸し出されています。
 
 
 ただ、この雰囲気に馴染むまでに相当時間がかかったのも確かです。面白いことは面白いとはいえ、余計な説明が入っている
 
感じもあるため、個人的にはちょっと……というよりもうざったく感じました。……実際、結構気が削がれる場面もあったし。
 
 しかし、最初はうざったく感じた文章も、どういう訳か何度か読んでいるうちにほとんど苦にならなくなったのは以外でしたが。
 
 
 ……単に世界観に馴染んだだけか(苦笑)。
 
 
 これはシナリオライタ−の上手さでしょう。不快感を補うだけの文章の「読ませかた」だったということですね。
 
 
 あと、主人公の行動についても相当な違和感があります。主人公が置かれる立場が幽霊という奇抜な設定の割には、
 
主人公の行動が、至って普通の学生として動いているので、主人公が納得していてもプレイヤ−が納得できない状況に陥って
 
しまうことが多々ありました。いくら普通の生活を続けるとはいっても……。
 
 まあ、基本的な(浮)幽霊の機能(?)は持ち合わせていましたが、その機能を有効に使っていないのは……。
 
 折角面白い設定を持ってきても、これではほとんど意味がなかったように思われます。
 
 
 ……一部CGで出てくる主人公に影が無いところは幽霊らしいといえばらしいけど。
 
 
 難易度については、各キャラとも攻略にはそれほど手間取らないものの、トゥル−系があるため難易度は若干高めという感じ。
 
 もっとも、攻略できる娘もそれほど多くない上にテキストが面白いので繰り返しプレイも苦にならないとは思いますが。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review3 スト−リ− −●
 
 
 
 
 
 さて、映画「ゴ−●ト」のようなノリを期待していたシナリオでしたが……(^^;
 
 
 基本的にはコメディ調で進んでいく展開。ゲ−ム性の部分でも述べましたが、独特なテキストもこれに加わり、ツボに入れば
 
結構笑える内容です。個人的には楽しく笑わせて貰いました。
 
 
 ただ、物語最初の展開は唐突で若干戸惑いました。文章だけで状況を語られると正直言って意味が良くわからないし……。
 
 主人公が幽霊だということをプレイヤ−に認識させるためにも、それっぽいCGの一枚なんかを最初の場面に持ってくれば
 
全然イメ−ジが違ったと思われます。
 
 
 そして、後半部分……今度は一転してわりとシリアスな展開で物語が進んでいきます。
 
 まあ、俗に言う(?)胃の痛くなるような展開というやつです。これはいいシナリオの裏返しということなのですが。
 
 このシナリオ転換の際におけるギャグ→シリアスの書き分けは問題なく出来ています。読んでいて違和感が無かったです。
 
 ただ、コメディ調の文章にインパクトがありすぎて、折角良くできているシリアス部分の印象が薄くなってしまったのは
 
残念でした。あと、シリアスな部分はなるべくギャグ(というか行動説明)をいれない方が良かったなあ。
 
 
 今回気に入った部分は、最後の方にある親子(?)の会話です。あれは凄く良かったと思う。
 
 たったあれだけの会話なのに、全てを悟ることが出来る……。あの場面はすごく素直に読むことができました。多分個人的に
 
ゲ−ム中で1,2を争うほど印象に残った箇所ですね。
 
 ただ、それ以外にも要所要所で印象に残る言葉は結構多いです。ギャグにかき消されていてあまり目立たない部分もあるのは
 
本当に勿体なかったです。
 
 
 エンディング関連は後日談も含めて、正直納得いかなかった部分がありました。しかし、逆にあれはごく自然な展開だったと
 
思います。ゲ−ムを買った(ゲ−ムの情報を聞いた)時点で、最後の結末はある程度予想&妥協せざるをえなかった
 
ことは事実です。だから……あのEDは妥当ともいえます。
 
 もちろん、多少強引に持っていけば、それはそれで楽しめたとは思いますが、あえてあの展開を演出したというところは素直に
 
評価したいと思います。
 
 ……確かに読んでいて辛い話ですけどね。いくら救われないとわかっていても……。全体的にハイテンションなノリだった
 
ことが多少の救いになっていましたが……。実際は結構重い話だったんだろうし。
 
 
 そうそう、なかなかどうして各ヒロインのHシ−ンはいい感じ(^^; 最近よくある後半一気型とはちょっと違った内容を
 
見ることが出来ました。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review4 グラフィック −●
 
 
 
 
 
 ……パッケ−ジとゲ−ム内容の雰囲気が違いすぎの感じがしないでもないグラフィックですが……。
 
 
 ゲ−ムの原画人は「山いもとろとろ」さん……何処かで聞いたことがある名前なんだけど……。確か漫画家の方だったかな?
 
 正直、自分好みの絵ではないです。理由は不明ですが、どうもいまいち好きになれません。別に原画自体が悪いわけじゃ
 
ないのですが……。質感はあっていい感じだったんだけど。
 
 まあ極端に違和感を感じることは無かったので、問題無く受け入れることは出来ましたが。
 
 しかし、やっぱり要所要所での絵がどうも素っ気なく(これは原画自体が軽いからか?)感じてしまい、今ひとつ盛り上がり
 
に欠ける箇所があったことは事実です。
 
 
 ただ、各場面で使われていた小ウィンドウのディフォルメミニCGは良かったです。キャラの雰囲気が上手く出ていて
 
いい感じでした。
 
 
 あ、あと追記で……若葉の泣き(ぐずっている)CG、なんか不気味に笑ってるようにしか見えないんだけど……(苦笑)。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review5 操作性(システム) −●
 
 
 
 
 
 基本的なコマンド操作に関しては及第点。そこそこ使いやすいと言えます。
 
 ただセ−ブ機能については、特定の状況だけでなく、いつでもセ−ブを出来るようにしても問題無かったと思いましたが。
 
別に使えない箇所だから取り立てて何かあるっていう訳でも無かったし……。
 
 というわけで、セ−ブ部分だけは使い勝手が妙に悪く感じてしまったのは残念です。
 
 
 そしてもうひとつの問題点は幽霊定番の(?)「とりつき」コマンド。これ、結構面白いんだけど、使う場面が少なさすぎ。
 
実際、シナリオによっては1〜2回しか使わないときもあるし……。
 
 折角の面白い機能、もう少し色々な場面で使えると面白かったと思われます。
 
 しかも、とりつき可能になったときでさえ、それにプレイヤ−が気がつかないで終わることもあるし……。というか、とりつく
 
ときもタイミングを逸すると場面が終わるのはなんだかなあ。
 
 せめて合図の音を鳴らすとか、対象にとりつくかとりつかないかの選択肢を出してくれるだけでも全然違ったんだけど。
 
 
 C.V.に関しては音量がバラバラすぎ。C.V.音量調節の機能があったとはいえ、各キャラともVoiceボリュ−ムに
 
極端な差があったため(サンプリングが悪かったのか?)場合によっては2人で喋っているのに片方の声しか聞き取れない
 
という状況に陥ることがあったのは辛かったです。ボリュ−ムを上げたら上げたでいきなり声が大きくなるし(^^;
 
 
 更に効果音に関しても、使っている部分がチャイムぐらいしか無いのでいまいち面白くありません。叩いたり音を出したり
 
する際に効果音を入れれば臨場感が更に増すような場面もいくつかあったんだけど……。
 
 折角の面白いシナリオ。こういうささやかなところでも盛り上げて欲しかったというのがNagaleの思うところですが。
 
 
 あと、システムという面からは外れるかもしれませんが、シナリオの進め方によっては一部のテキストに若干矛盾な箇所が
 
出来てしまう(知らない筈の場所を知ってるとか)のは理不尽。ちょっとしたことなんだけど、結構気になってしまいました。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review6 音楽 −●
 
 
 
 
 
 さて、ゲ−ムの要ともなる音楽でしたが……悪くはないです。場面との融合もそこそこあったので、十分といえば十分です。
 
 けれど……どうも印象に残る曲があまりありません。シ−ンに合わせて作っていることは確かですが、そのシ−ンを音楽で
 
如何に盛り上げるかという概念がいまひとつ感じられなかったのはどうもなあ……。
 
 
 また、正直C.V.もそれほど上手い方では無いです。最近C.V.に関しては昔より大分聞き慣れてきたので、ある程度のレヴェルが
 
わかるようになってきましたが……。本作はどうもパッとしなかったな……というのがNagaleの感じたところです。
 
 っていうか、せめて女性キャラぐらいはフルボイスにして欲しかったかな。
 
 あと、Vocalに関しては論外。あれはちょっと素っ気なさすぎ……。MDに落とせる程の曲では無かったです(苦笑)。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review7 総合評価 −●
 
 
 
 
 
 ゲ−ム自体はとても面白かったです。色々と不満な点はあれど、それを覆い隠すような魅力があったことは事実です。
 
 ただ、不思議なことに印象に残ったかと言われるとどうもパッとしないんですよね。いや、ギャグなら相当印象に残ってるん
 
ですが(苦笑)。……良くも悪くも、あのテキストがゲ−ムの方向性を決めてしまったのでしょう。
 
 
 全体的にちょっと渋めの評価になってしまいましたが、実際のところ、評価以上の内容であることは間違いありません。
 
まあ、ギャグゲ−と考えれば評価は高いです。今でもギャグが頭の中に残っているほどのインパクトはあったわけですし……。
 
ツボにはまれば凄く楽しめることは間違いないと思われます。
 
 ただ、幽霊という特性上、最後はどうしても……なので、そういう展開が嫌いな人にはお勧めできませんね。
 
 
 というわけで、今回はこのあたりで締めさせて頂きます。
 
 それでは、縁があれば次のレビュ−でお会いしましょう(^^)/〜
 
 
 
 
 
2000/02/13 流 雷氷委員長
 
 
 
 
 
Post,Script,
 
エンディングは映画「ゴ−●ト」みたいな展開を期待してたんだけどなあ(苦笑)<くどいって(^^;
 
あ、そうそう。ヨ●バシで買ったら、残りのトレカ7枚貰えました〜どうもです(^^)
 
 
 
 
 
 
< ゲ−ム動作環境 >
 
 
 
 
 
OS=日本語版Windows95/98日本語版が動作する環境
 
CPU=Pentium133MHz以上
 
メモリ=32MB(推奨64MB)以上
 
HDD=空き容量280MB以上
 
解像度=640×480:ハイカラ−表示が可能であること
 
CD−ROM=2倍速(推奨6倍速)以上
 
音源=PCM(Direct-X対応のハ−ドウェア)
 
 
 
(一部パッケ−ジより抜粋)
 
 
 
 
 
< 補足 >
 
 
 
 
 
原画:山いもとろとろ」
 
シナリオ:荒川 工」
 
音楽:石原みなみ」
 
音声:一部有り アニメ:無し」
 
価格:8800円」
 
初回特典:有り(音楽CD付属)」
 
年齢制限:18禁」
 
 
(順不同、敬称略)
 
 
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 
 
 
 
 
< 評  価 >
 
 
 
『Lien〜終らない君の唄〜』
 
 
 
メ−カ−       Purple
 
ジャンル         ADV
 
 
 
ゲ−ム性        9点
 
スト−リ−性      9点
 
グラフィック       8点
 
操作性         8点
 
音楽           8点
 
 
 
                                         合計   42点
 
 
 
 
 
<評価概要>
 
 
 
 
 
文章に慣れるまでに時間を要するが、内容はしっかりとしている。全体的なノリはいい感じ。
 
前半のコメディ調から後半のシリアス調への雰囲気の切り替えは悪くない。シナリオも納得の行くレヴェル。
 
原画は及第点だが、場面によってはいまいち気合いが入っていない感を受ける。デフォルメキャラは可愛い。
 
セ−ブ場所が限定されていたのは痛かった。あと「とりつき」コマンドの利用頻度が低すぎるのは疑問。
 
十分に聴けるレヴェル。雰囲気もある。ただ、C.V.とVocalのクオリティにはちょっとがっかり。
 
 
(上から順に、ゲ−ム、スト−リ−、CG、操作、音楽と各1行ずつの簡易評価説明)
 
 
 
 
 
<評価用プレイ時間参考表>
 
 
 
 
 
1プレイ時間     約04時間30分
 
総プレイ時間     約15時間00分
 
 
1プレイでのHシ−ンの割合(時間) 約00時間15分