Ver 1.00



 
 






★★★『リトルモニカ物語』★★★



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 はじめに注意事項です。このレビュー中には表現の都合上、どうしてもゲーム内容のネタバレなどが含まれている

可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した

後で、このレビューを読むことをお薦めします(勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除

しているつもりですが……)。
……以上の件、何卒ご理解ご了承下さいませ。 

 
 
 
@@@@@@@  ネタバレ注意  @@@@@@@








●− Review  序章 −●





 ん〜、こういうジャンルに染まるつもりは無かったんだけど……ね。


 北国の短い夏が終わり、秋風が肌寒く感じるようになってきた9月中旬。ワンパターンな前書きとは薄々理解していながらも、私はいつもの

ようにエロゲ雑誌を眺めつつ、心中で自嘲の意味も兼ねた苦笑いを打っていました。


 事の発端は今年の2月、風邪ひき真っ直中での妙なハイテンションと悪ノリで購入した「ぴヨナ=ピコナ」という一本のエロゲでした。

 それまで私は極端にターゲットを絞ったロリゲーというものをプレイしたことが無く、また、将来的にも遊ぶことは無いと思っていました。

 ただ、その当時はエロゲにおけるある種のマンネリ感を打破するために新規ジャンルの開拓に当たっていたことや、本作の原画を担当

されていた「野々原幹」さんのイラストに興味を引かれたこともあり……こう言ってはなんですが、試験的な意味合いも兼ねて「ぴヨナ=ピコナ」

を購入したのです。……結果、いろいろな意味でハマってしまったのは情けない話なので割愛しますが、そういった経緯もあり、今回の

「リトルモニカ物語」に関しても、内心は何気に楽しみにしていたソフトだったのです。特に可愛いイラストと独特な彩色に関しては、当初の

低評価から一変、今や非常に魅力的なイラストに変化していたわけで……。


 そんなわけで、自分が泥沼に填っていくのを薄々感じながらも、本作を購入したわけですが……閑話休題。







●− Review1  全体の印象 −●






 ん、お手軽に楽しめて良い感じ。

 まあ、ぶっちゃけた話、額面通り……看板に偽り無しのゲームです。こういうノリのゲームも慣れたら慣れたで楽しいもので(苦笑)。

 元々ロリゲー管轄外だった私にとっては、確かに今も多少の抵抗感はあるのですが、本作のようなコメディタッチの明るい内容であれば、

わりと自然に受け入れることも出来ますし。

 そんなわけで、ゲーム内容はイメージ通りのまったりほのぼの系でした。演出面における緊張感などはほとんど無く、シナリオも若干の

難あれど小綺麗にまとまっていて、お気軽かつお手軽に楽しめたゲームでした。ちょっとした息抜きにはもってこいですね。

 特に世界観に関しては舞台がどことなく中世アンティーク風味……極端な話、絵本に出てくるような街並みやキャラが非常に上手く

表現されていました。そして、この世界観を損なっていないキャラや物語も相まって、非常にバランスの取れたゲーム内容になっていたと

思われます。事実、ほのぼのした世界観とシナリオを求めてゲームを購入した身分としては、充分に満足がいく内容だったことは間違い

ありません。肝心の登場キャラに関しても3姉妹を筆頭として、可愛さという面では申し分のないキャラが揃っていたと思われますし。

 また、ユーザー層をある程度絞っていることや、その層に受け入れられる内容をさり気なく演出していることもあり、ロリゲー好きの人には

それらの点も含め、楽しめる内容になっていると思われますね。私は極端な趣味は持っていないので、結論は微妙なところですが。


 とはいえ、本作に関しては気負うことなく、楽しくプレイできたというのが一番良かったと言えますね。

 さて、それでは個々の見解に行ってみましょう。







●− Review2 ゲーム性  −●






 さて、先陣を切るのは……ゲーム性です。


 どことなく中世風味で絵本や童話に出てくるような街「リトルモニカ」を舞台にした本作。プレイ期間は不定期ですが、内容は良い意味で

質素簡潔。1プレイ時間も2時間半程度と、お手軽にプレイできる内容となっていました。

 ゲームジャンルはタブロイドADV。このタブロイドというシステムに関しては後述しますが、基本的にはADVという認識で問題ありません。

シナリオはキャラごとに複数用意されていますが、一度シナリオに入ってしまうと選択肢の数も少なく一本道な展開なので、ほぼデジコミ

感覚でプレイできます。ただ、このあたりはもう少し選択肢を多くしてプレイヤーの介入度を上げて欲しかったですね。


 肝心のゲーム内容は一言で言えば「まったり系」。勿論、要所でドタバタする展開もありますが、穏やかな世界観にも助けられ、お気軽に

プレイできること請け合いです。というか、最近のゲームにありがちな余計なしがらみ等がほとんど無い純粋無垢なゲームなので、逆に

あまりのベタな行動にプレイしていて恥ずかしくなりました(苦笑)。恥と羞恥が当たり前のエロゲをプレイしていてこういう感情を持ったのは

久しぶりですね。というか、私にまだそんな感情があったことに驚きを感じましたが。


 ただ、相変わらず……というのもアレですが、キャラの扱いに関してはもう少し基礎設定を活かしたイベントが欲しかったですね。

個々のキャラに関しての魅力は言うまでもなく最上級な反面、逆に言えばその魅力のみで内容を誤魔化している印象を受けました。

 実際、一部のキャラはシナリオ内での説明不足も相まって、本来の設定を十分に活かしていなかったように見受けられましたし。


 で、先程話したタブロイドシステムについてですが……ちなみに、タブロイドシステムとは、ゲーム(シナリオ)内で起きている事柄を新聞

記事という形でリアルタイムに反映してくれるシステムです。勿論プレイヤーはいつでもその記事を見ることが出来ます。これにより、シナ

リオ展開を直ぐに把握できることや、場合によっては別視点からの反応を垣間見ることが出来ることもあり、システムとしては非常に秀逸

かつ面白い手法でした。

 ただ、気になったのが新聞の更新頻度。確かにリアルタイムということで、ある程度複数の更新は必然的とは言え、ストーリーが盛り上

がっているところでいきなり挿入されると、結構気分が削がれます。結局ユーザーとしては新聞の方を優先して読んでしまう訳ですし……。

 このあたり、もう少し挿入するタイミングを上手く割り振って欲しかったところですね。

 まあ、システム自体の試みは面白いものを感じたので、良い方の評価をしたいと思いますが……。







●− Review3 ストーリー −●






 たまには世間の喧噪から外れ、まったりした気分になりたい……ストーリーです。


 いや、冗談抜きで気分が和むことこの上ない物語ですね(苦笑)。ドタバタなコメディといった娯楽要素がメインで、修羅場や緊迫した

場面などは殆ど無い作り……最近の世相を反映したゲームとは全く違い、気負うことなく肩の力を抜いてプレイできました。まあ、シナリオ

の整合性が怪しいなど、物語的に繋がりの悪い部分もありましたが、それを感じさせないほどの穏やかな世界観や、まったりとした会話

自体が非常に楽しかったので、終わってしまえば些細な点という感じでしたね。

 ……物語が終わるのが勿体なかった……もう暫くこのまったりとした世界に浸っていたい感情に見舞われたのは久しぶりでした。


 ストーリーは1話区切りの全6話構成。うち2〜5話目がキャラ(3姉妹+α)ごとの独立したシナリオで、プレイヤーが任意で好きなシナ

リオを選ぶ方式になっています。基本的には目的の娘のシナリオを追えば良いのですが、ある程度のアドリブを交えた方が面白くなることも

ありますね。ただ、シナリオ自体は及第点の出来ながらも、裏を返せば無難な作りとなっていて、演出的に光るものは少なかったです。

先程も少し述べましたが、キャラの魅力でごまかしているかなあ……という部分も多々見受けられたので。

 とはいえ、良い意味で質素簡潔な作りになっていることは間違いありません。余計な部分を省略してテキパキと進んでいく展開は、変に

ダラダラして冗長感を受けるのを嫌う私には、嬉しい内容でした。


 ただ、シナリオのスケールは兎も角として、メインとなる3姉妹との恋愛課程に関しては、あまりにも手抜きかつ端折りすぎですね。

まあ、セリアに関しては許容範囲としても他のキャラはあまりにも強引にHシーンに持って行きすぎな感じを受けました。流石にムードも

ヘチマも無いような展開には、一気に興醒めしてしまいました……。


 また、個々のシナリオが妙に独立していて、全体を通じた整合性に欠ける部分もありました。実際、個々のシナリオに一定以上の互換

性が無いため、ルートによっては同時進行の関係上、結果として章ごとの繋がりがおかしくなっていた部分がありました。これはひとつの

物語を進めていく上では致命的なミスでしたね。特に一部サブキャラの立場と説明に関してはその影響を直に受けていて、思わず「誰?」と

首を傾げることもしばし。

 いくら全てのシナリオをこなせばサブキャラなどの全体説明をフォローできるとは言え、一回に進めるのはあくまでもひとつのシナリオ。

最初にある程度の情報を提供してくれないと、展開に混乱すること請け合いですし。

 実際、バックグラウンドで同時進行している物語を全く把握出来ないのは痛手でした。場合によっては殆ど説明なしにいきなりメンバーが

増えたりすることもありました。結局その経緯が解らず、プレイヤー側が戸惑ってしまうこともありましたし……。

 結局、設定(伏線も含む)に比例した規模の物語を作らず、簡潔にまとめすぎた……展開の端折りすぎなんですよね。

 それならそれで、もっとタブロイドシステムを有効に使い、バックグラウンドの展開も随一フォローをしてくれるぐらいの演出が欲しかった

ところですが……難しいですね。







●− Review4 グラフィック −●






 さて、ゲームの華、CGです


 ……まあ、絵に関しては正直こうやってレビューするまでもないと思うのですが、原画、彩色ともに魅力的でした。まあ、一般的に言う

魅力的とはちょっと違い、ただ単にロリ○ン向けの絵柄という気もしますが……ま、可愛いかったらいいか(苦笑)。

 そう、純粋に「可愛い」んですよね。こういう風に思える絵というのは、最近のゲームでは貴重な存在なんですよ。

 それにしても、昔はこの絵に抵抗があった立場としては、慣れと順応、そして好みの変化ってのは大きいなあ、と(苦笑)。


 また、この原画を演出している彩色に関しては、独自のカラーが光りますね。セル塗りをベースにしつつ、CG特有の繊細な塗りを演出

出来る塗り方というのはオリジナリティがあり、しっかりとしたメーカとしての「色」が確立できている印象を受けました。


 まあ、敢えて難を挙げるとすれば良くも悪くもロリですよ、という点でしょう。特に気にせずゲームをプレイすることが出来る反面、矢張り

ターゲット層を絞って原画を描いていることは間違いないので、可愛い系……特に、癖のある塗りが嫌いな人は受け入れられないかな、と。

 余談ですが、えちシーンなども正直犯罪スレスレな感は拭えないので……。


 とはいえ、キャラは魅力的ですし、原画自体も高レヴェル。

 私個人としてはほのぼのゲーの延長を満たしていたと言う点で、高い評価を出したいと思います、はい。







●− Review5 操作性(システム) −●






 さて、快適なゲームの一環として欠かせない存在……システムです。


 システムに関しては基礎的な機能の完備に加え、付加機能に関しても一通り揃っており、直接的な不満を感じる要素は少なかったです。

 まあ、強制メッセージスキップやメッセージ巻き戻しの量が全然足りないといった、かゆいところに手が届かない不満点もありましたが、

システム自体は安定していたこともあり、このあたりは許容範囲内と言ったところでしょう。


 ただ、引っ掛かったのは今回のシステムにおいて最大のウリとも言えるはずのタブロイドシステム。ちなみにタブロイドとは写真や挿し絵を

多く含んだ小型の新聞というのが具体例かと。もっと言えば今回のマニュアルが正にそれっぽいですね。

 で、そのタブロイドシステム。先程も述べたように挿入のタイミングもさることながら、いくらリアルタイムとは言え、ある程度のバックナンバー

が参照できないのは不便です。今良い所なんだから後で見よう……と思い、ちょっと放っておくと、直ぐ次の記事に差し替え。これではあまり

にも急ですし、本当にプレイヤーに対して記事を見せたいのかが疑問に残ります。

 せめて、過去1〜2回の記事はログ形式で読めるようにしてほしかったですね。


 あと、ここのメーカーさんはマニュアルが独特ということで定評がありますが、矢張りもう少し使いやすいマニュアルを望みたいところです。

 確かに今回はゲーム内容に準じたものになっており面白味はありますが、それでもマニュアルが見づらいことに変わりはありませんし。




●− Review6 音楽 −●






 さて、ゲームの引き立て要素役とも言える音楽ですが……。


 いいですね。欲を言えば音楽をキャッチフレーズとして使っている以上、もっともっと音楽を使った見せ場を前面に押し出して良かった感も

ありましたが、音楽と演出との相乗効果は間違いなく発揮されていたと思われます。ある意味当たり前のことかもしれませんが、ゲームの

世界観にしっかりと適合した曲を作っていたという面で、本作は高く評価したいですね。

 作風的には……まったり爽やかミュージカル風味ファンタジー系おとぎの国……支離滅裂ですが、実際こう表現するのが1番当を得て

いるかと(苦笑)。全体を通してノリが良く明るい曲が多く、非常に楽しく音楽を聴くことが出来ました。


 ただ、ここでも設定を満足に活かしきっていない点が目に付いてしまったのはマイナスです。特に3姉妹が楽器の演奏を得意にしていると

いう設定を持っていながら、持ち曲……というか、それを活かした展開や見せ場が少なかったのは勿体なかったですね。上手く利用すれば

更に深みのある印象深い音楽演出になったと思われるのですが……。

 とはいえ、ゲームの世界観を損なわず、逆により一層の相乗効果を発揮していたので、音楽に関しては平均以上の評価です。


 あと、声優さんの演技に関してはなかなかの熱演ぶりでした。聞いている私がこっぱずかしくなるような展開が多く、これはこれで意外に

良い感じでしたね(苦笑)。ここは素直に演技力を誉めたいと思います。







●− Review7 総合評価 −●






 ……まあ、終わってみるとボリューム不足に感じてしまったという点は否めません。

 ただ、もともと本作はボリュームを期待すると言うよりは、お手軽まったりほのぼのゲーを期待して購入したこともあり、ボリュームに関して

はある程度の妥協をしていました。

 結果、蓋を開けてみるとほぼ予想通りの展開でしたが、当初の期待要素であった「軽いノリで楽しめるゲーム」という枠には申し分ない

ぐらいに当てはまっていたので、内容的な不満はありませんでした。明るいノリを満喫出来ましたし、充分に面白かったと思われますね。

 とにかく、童話のような優しい世界観が秀逸で、物語に引き込まれた……というか、見事にハマってしまったかな、と。


 さて、結論です。

 明るいノリのゲームをお手軽にプレイしたい人や、まったりほんわか系の雰囲気を求める人は買いですね。あと、ロリゲー初心者の

方にもお勧めしやすいソフトだと思われます。純粋なロリゲーとは一線を画している部分もありますし。

 反対に、根本的にロリ要素が強いので、ロリ系に嫌悪感を持っている人や、大人の恋愛を求める人は購入を控えた方が無難です。


 まあ、私的には求めていた「ほのぼのまったりのほほんえっちゲー」という展開を充分に楽しませて貰ったので満足でした。

 というか、元々本作はそういう方面に需要が強いゲームです。癒しゲーと言うには語弊がありますが、本当にまったりとプレイできるんです

よね。最近はこういうゲームが少ないので、私としては本作は非常に大当たりの内容だったのですが。


 さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。

 縁がありましたら、次のレビューでお会いしましょう(^^)/〜




2001/09/30 流 雷氷



Post,Script,


まあ、こういうのならロリゲーも悪くないか……。




< ゲーム動作環境 >


 
 


OS=日本語版Windows98/Me/2000が動作する環境

CPU=Pentium166MHz(推奨MMXPentium-233MHz)以上

メモリ=64MB(推奨128MB)以上

HDD=空き容量200MB(推奨640MB)以上

解像度=640×480:ハイカラ−表示(推奨フルカラー)が可能であること

CD−ROM=4倍速(推奨12倍速)以上

音源=CD-DA、PCM

DirectX=Ver6以降



  


 
(一部パッケ−ジより抜粋)




< 補足 >




原画:野々原 幹」

シナリオ:猫舌あち、神代流」

音楽:HIKO」

音声:有り(女性のみ) アニメ:無し 」

価格:8800円」

初回特典:無し」

年齢制限:18禁」

メディア:CD」

(順不同、敬称略)
 
 
 
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< 評  価 >
 
 
 
『リトルモニカ物語』
 
 
 
メ−カ−   RUNESOFT
 
ジャンル       ADV
 
 
 
ゲ−ム性         8点
 
スト−リ−         8点
 
グラフィック         10点
 
操作性           9点
 
音楽            10点
 
 
 
合計 45点






<評価概要>





まったりした世界観が心地よく、穏やかにプレイできる。ただ、その世界観を完全に活かしきっていない部分があるのも事実。

ほのぼののんびり進行。何も考えず気楽に遊べるのは好印象。反面、多少の強引さや起伏に乏しい印象も拭えないが。

可愛い系。ついでにロリ。絵柄に若干の癖はあるが原画、彩色共にオリジナリティがあり完成度が高い。

機能は一通り揃っているが、詰めの甘さが目に付いた。タブロイドシステムは試みとしては面白かったが一長一短。

ホップでライト系なノリが心地よい。まったりした世界観とも相まり、場面場面に合った曲を的確に提供していた。

 
(上から順に、ゲ−ム、スト−リ−、CG、操作、音楽と各1行ずつの簡易評価説明)





<評価用プレイ時間参考表>




1プレイ時間     約02時間30分

総プレイ時間     約06時間00分
 
1プレイにおけるHシ−ンの割合(時間) 約00時間15分