Ver 1.01
Nagale’s ゲ−ムレビュ−
★★★『フォ−クソング』★★★
■■■■■ README ■■■■■
このレビュ−には、ゲ−ム中のネタばれ等が多数含まれています
(極力抑えるようにしてはいますが)。
ゲ−ムをプレイ中及び未プレイの方は、ゲ−ムを最低一度は攻略(エンディングまで
到達する)した後で、このレビュ−を読むことをお薦めします。
@@@@@@ ネタばれ注意 @@@@@@
●− Review 序章 −●
試される大地……北海道<あんまり深い意味無し(^^;
ホ−ムペ−ジの運営もそこそこ板についてきた11月某日。Nagaleは地元から新しく発足するというソフトハウスの
ソフトを買うべく、資金繰りに東奔西走(別名:バイト)していました。そのソフトとは……『フォ−クソング』。
今年の4月にアボガドパワ−ズから発売された「終末の過ごし方」。世界観もさることながら、小池氏(原画人)の
独特な作風に魅せられたNagaleは、今回のフォ−クソングに関しても原画部分においてはかなりの期待を寄せていました。
本来ならばこういう風に目先でソフトを判断することは好ましくないとはいえ、久しぶりにイラスト自体にどっぷりと
のめり込んでしまったNagale。こうなると手の付けようがないのはいつも通りのこと(苦笑)。さて、その結末や
いかに……閑話休題。
●− Review 1 全体の印象 −●
これは……上手い……というか……やられました。
ゲ−ムは原画、シナリオ、音楽全てが融合して良いゲ−ムになるというのがNagaleなりの見解ですが、これだけ全てが
違和感無くまとまっているゲ−ムというのは珍しい……というか凄いかも。実際、どれかがひとつ欠けても
駄目になるわけですし。
まさにフォ−クソングに関してはこの融合が非常に良い形で現れている感を受けました。原画に合ったシナリオ、
シナリオにあった音楽、音楽にあった原画……。要はこういう状態ですね。お互いを上手く合わせつつ、それによる
相乗効果を出していく……。これによるゲ−ムの完成度は素晴らしいものがありました。
さあ、それでは改めて個々の見解を語っていきましょうか。
●− Review 2 ゲ−ム性 −●
まずは思わず唸ってしまったゲ−ムの内容についてです。
色々と特徴の多いこのゲ−ム。ゲ−ム自体もその独特な雰囲気を存分に発揮しています。
なんというか……ある意味で完全に宮崎アニメの世界?(苦笑)。
例を挙げれば「となりのト●ロ」みたいな感じの世界観ですね……。そんな暖かい感じが伝わってくる世界……。
世界観の演出に関してはこういう印象を受けました。
実際にどこかにありそうな場所、そして時間がゆっくりと流れていくような錯覚。ゲ−ムをプレイしつつ、ふと懐かしい
感じにさせてくれる……。本当、一昔前の田舎という感じが出ていていい感じです。
そして、その中で行動するキャラクタ−達の性格や行動も味があり、非常に魅力的です。
特に普段では置き去りになっている男キャラにもしっかりとした役割を与えているのはいいですね。
ただ、プレイヤ−に具体的な世界観の印象を与えるにはもう一押し欲しかったかという気もします。方言や景色など、
ある程度の情景は感じるとはいえ、まだまだ田舎っぽい演出が多くても良かったと思われます。
しかしこれは別段演出不足ということでは無く、個人的な印象でしょう。実際のところ、さしたるマイナス要因になる
訳ではなく、内容的には十分に満足のいくものでした。
追記として、ゲ−ムの難易度は簡単な部類に入ると思われます。
分岐プラグが多く、また、一定回数をプレイすると新たな選択肢が出てくるなどの仕掛けがあり、全部のシナリオを
探し出すのは手間がかかるとは言え、文章をとばすことも可能であり、演出的なものもあるので、各ヒロインごとの
エンディングにはわりと簡単にたどり着けるでしょう。
プレイ時間に関しては若干短めながらも、演出的に時間の経過やシナリオの課程を上手く説明しているので「もう
終わり?」というよりは「充実した時間だった」という印象の方が強かったです。
●− Review 3 スト−リ−性 −●
なんていえばいいのかなあ……キャラクタ−に共感出来るシナリオ……ですね。パッケ−ジそのまんまの
解釈でなんですが、実際にそうでしたし(苦笑)。
まずスト−リ−を純粋に楽しめるゲ−ムであるということは間違いありません。
これは各主人公に対して特定のヒロインが決まっていて、プレイヤ−が八方美人に走る必要が無いからです。
確かにプレイヤ−はスト−リ−に大きく干渉出来ないとはいえ、プレイ中の分岐自体は多数あるため、ある程度の
自由度もあります。
そして、スト−リ−に干渉できないぶんだけ、それぞれのシナリオを純粋に楽しむことができ、物語により深く入って
いくことが可能になる為に、自然に物語を読むことが出来ます。これは不特定多数の攻略ではなく、主人公とヒロインが
1対1の関係だからこそ出来たことですね。
そして、その特徴的なシナリオを違和感無く読むことが出来たのは、シナリオライタ−の手腕でしょう。
確かに最初からヒロインが割り当てられているという点では自分好みの展開に持っていけないということもあり、
いまいち入り込めない人もいるとは思いますが、個人的にはこういうパタ−ンの話も嫌いじゃないです。Nagaleとしては
以外にこっちの方がいいかもしれません。
また、色々な視点を使って物語を見つめることも出来ます。男キャラ、女キャラ双方の立場でシナリオを進めることが
可能であり、ときには他の娘のシナリオからヒントを得たり出来るなどちょっとしたザッピング的要素も入っています。
このことにより、それぞれのシナリオにある程度の互換性が現れる為、物語の流れがダイレクトに伝わってきます。
そのため、別段何でもないような会話でも、他のシナリオへの複線が貼ってあるなど、演出の面白みが出てます。
ただ、ちょっとしたシナリオの演出効果……SEは別として文章の記述などに細かな配慮が足りないです。特に気に
なったのは文章の「間」……ウェイトの部分。
どの場面でも文章のスピ−ドが均一に流れるため、今ひとつスト−リ−が盛り上がりません。
例えば「わ……わかった」という文章の表記があります。これを普通に表示させると別段、雰囲気を感じませんが、
これにちょっとしたウェイトをかけるだけで慌てや戸惑いといった演出効果が生まれる……つまり、置かれて
いる状況にリアリティを出せる訳です。
ところが「フォ−クソング」にはこれがありません。テキストに至っても全体的に読みづらく、ただ、だらだらと
文章を流しているという印象を受けてしまったのは残念です。
あと、せめて段落表記ぐらいは入れても良かったのでは……。
●− Review 4 グラフィック −●
さて、このゲ−ムのひとつの顔でもあるCGについてです。
まずCG1枚から伝わってくる雰囲気が凄いです。キャラの構図や細かな表情。ちょっとした仕草などが
なんの違和感もなく自然体で描かれていて思わず溜息が出てしまいます。
彩色に関しても凄く味わいがあります。変な話、ゲ−ムのCGという気がしないですね(もちろん良い意味で)。
小池さんの絵の独特な雰囲気……水彩画で描かれたような淡く優しい色使い……個人的には凄く好きです。
本当にキャラが凄く自然体で描かれているんですよ。ちょっとした仕草や表情がCGから伝わってくるのは凄い
なあと思います。それとこの彩色……完全にNagaleのツボに入ってるんですね(苦笑)。
良くも悪くも、このCGがゲ−ムの印象を決定付けています。というかCGの雰囲気通りのゲ−ム内容に仕上がって
いるといっても過言では無いでしょう。
あと、こういう作風の絵ってあまりエッチっぽくないんじゃないかなあ? という気もするんですが、不思議と
エッチなんですよねえ。特に恥じらっているときの表情とかはいい感じですなあ(苦笑)。
●− Review 5 操作性(システム) −●
システムは……最近はどのメ−カ−も使いやすさはありますが……。
例に漏れず、各種コマンド系に関しては特に使い辛さを感じることはありませんでした。
ただ、イベントチャ−トに関しては一見使いやすそうで、実は不便という感じでした。
何故かというと、「〜」を選んだら「〜」へ飛ぶという表記が出ないために、2回目以降の選択肢を選ぶ際にいちいち
チャ−トの確認をしてしまうことが多くなってしまいます。
しかもどんどん新しい選択肢が出てくるので、どれを選んで良いか分からなくなる状態に追い込まれることも
しばしば……。
どうせなら一度選んだ選択肢を色分けしたり、どのパタ−ンへ飛ぶかがある程度わかるようなチャ−トにしてくれると
もっと良かったのですが。
●− Review 6 音楽 −●
さて、3大融合最後のひとつ、音楽です。
全体的にかなり独特な雰囲気の曲が多いです。音楽のメインパ−トにピアノやギタ−、フル−トといった柔らか系
(クラシック系)の楽器を多く使っているため、普段のエロゲ−ではあまり聞くことのない曲を数多く聞くことが
出来ます。もちろん普段聞くことがないと言っても、曲が悪い訳ではなく、先に述べたCGとの相乗効果もあり非常に
場面場面と上手く融合しています。
使う楽器まで一昔前に戻ったような……そんな曲ですね。本当にどの曲もゆったりとしていていいです。スタッフの
方もちらりと言ってましたが、なんか癒しの曲みたいでいい感じですね。
特にお気に入りの曲は美夏と陽太シナリオのOPで流れる曲かな。あのフル−ト系の音色はなんとも言えない雰囲気が
気に入ってます。
ただ、ひとつだけ気になった点があります。それは曲によってはCD−DA選択時に、いきなりメロディが切れる
ようなタイミングで曲が終わることです。これには違和感がありました。
確かに音楽を頭から読み直す以上、曲が一旦切れるのはしょうがないのですが、一部の曲に関してはどう見ても途中で
意図的に切られているような印象があり、なんとなく気分が削がれてしまいました。まあ、PCMでプレイしていれば
別段問題は無いのですが……。
●− Review 7 総合評価 −●
これはもう雰囲気を楽しむゲ−ムでしょう。名作というにはちょっと押しが足りませんが、物語を楽しめた
という面では十分すぎるほどの内容です。
どこか愛着のあるキャラとシナリオ……そして何とも言えない世界観。私たちがちょっと田舎に旅行にでも行って
見ることが出来そうな……そんな感じが伝わってくるゲ−ムでした。
特にプレイ終了後に残る穏やかな気持ち……いいですね。欲しいと思って買った人が後悔することは無いと思われます。
パッケ−ジの裏に書いてある言葉……「感動を与える物語ではなく、共感を覚える物語」。……本当に、その通り
だったと思います。
最近の業界事情を考えるとこういうゲ−ムこそがもう少し脚光を浴びても良いような気がするんですけどねえ……。
まあ、こういうゲ−ムがあるからこそ、Nagaleはこの業界に魅力を感じ続けているのですが。
1999/12/01 流 雷氷【委員長】
編 集 後 記
コンスタントにレビュ−を仕上げるのはなかなか辛いッス(^^;
相変わらず妙なプレッシャ−(?)は抜けないし……。もう少し堂々と行きたいなあ。
それでは、縁があれば次のレビュ−で会いましょう!!
< ゲ−ム動作環境 >
OS=Windows95/98が動作する環境
CPU=Pentium133MHz(推奨MMX200MHz)以上
メモリ=32MB(推奨64MB)以上
HDD=空き容量70MB以上(推奨150MB以上)
解像度=640×480:ハイカラ−表示が可能であること
CD−ROM=8倍速以上
< 補足 >
「原画=小池定路」 「シナリオ=八雲意宇」 「音楽=Yoshio」
「音声=無し アニメ=無し」 「価格 8800円」
「初回特典(?):GMアレンジCD」 「18禁」
(順不同、敬称略)
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< 評 価 >
『フォ−クソング』
メ−カ− リュ−ノス
ジャンル ADV
ゲ−ム性 10点
スト−リ−性 9点
グラフィック 9点
操作性 8点
音楽 10点
合計 46点
< 評価概要 >
世界観の見せ方や演出効果は見事。全体としての完成度は高い。
与えられた物語を淡々と進めていくだけだが悪くはない。また、シナリオ分岐も多い。
好みが分かれるタイプだが、このCGがあってこそゲ−ムに味が出ているのは事実。
チャ−トは組みづらいが、プレイ時間が短いので許容範囲。テキスト表示は若干早め。
柔らかい音色が独特な雰囲気を醸し出している。場面との融合が上手い。
(上から順に、ゲ−ム、スト−リ−、CG、操作、音楽と各1行づつの評価簡易説明)
<評価用プレイ時間参考表>
1プレイ時間 約01時間00分
総プレイ時間 約07時間00分
1プレイでのHシ−ンの割合(時間) 約00時間03分〜約00時間07分