Ver 1.00



 
 






★★★『フローラリア』★★★



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 はじめに注意事項です。このレビュー中には表現の都合上、どうしてもゲーム内容のネタバレなどが含まれている

可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した

後で、このレビューを読むことをお薦めします(勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除

しているつもりですが、排除が万全とは言えません)。
以上の件、何卒ご理解ご了承下さい。 

 
 
 
@@@@@@@  ネタバレ注意  @@@@@@@








●− Review  序章 −●






 ん〜、年上のおねいさん主義な立場としては確かに由々しき事態かも知れない……。


 ……ことの発端は6月上旬。私はICQで友達と話をしつつ、久しぶりにまったりしたひとときを過ごしていました。

 しかし、ゲームに関しての話題に花を咲かせていた矢先、友達から何気なく「最近年上のおねいさんに萌えましたか?」と聞かれ、ふと

考えること30秒。そこには確答するゲームとキャラが何も思いつかずに苦悩する自分の姿がありました。


 とは言え、確かにここ最近は自分の趣味……ぶっちゃけた話、年上のおねいさん系が云々してくれるという私的属性を満たすゲームに

は全くといって良いほど手を付けず、逆に悪ノリだと言いつつ「はじるす」で遊び、語尾に「カナ」など付けていれば、実は年上属性なんで

すよという言葉も説得力ゼロ。正直、これでは多方面に「実は隠れロリ?」突っ込まれても全く反論できません。

 結局逃げるようにその日の会話を終了した私はその後直ぐに疑惑払拭の行動を開始。ここ最近疎かにしていた年上のおねいさんが豊

富に登場するエロゲの検索をはじめたのです。このあたり、我ながら非常に間抜けかつ単純ですが……。

 で、いろいろと調べること3日。たまたま前の週に発売されたゲームが年上のおねいさん云々という条件を微妙に満たしているらしい

話を耳にした私が何気なくネットで関連情報を辿ってみると、運が良いことにゲーム自体の評価も高く、なおかつ自分の琴線にも触れそう

な内容だったのです。……そう、勿論そのソフトとは本作「フローラリア」。


 で、例の如く決まった後の行動は素早いもの。近くの販売店まで足を運び、目的のエロゲを無事購入。

 まあ、後々「これが証明になるんですか?」と、さも当たり前の如く突っ込まれたのはある意味お約束ですが……閑話休題。







●− Review1  全体の印象 −●






 ん〜、しっかり純愛しているわりには珍しいほどエロエロですねえ……。


 いや正直驚きました。購入する前からある程度の評価を聞いていたことは事実ながらも、確かに話題になるだけの内容だったな、と。

 元々私は恋愛ゲームを遊ぶことが多いのですが、逆に言えば良く遊ぶからこそありきたりな展開と結末に関してはある種の「飽き」を

持っています。まあ、本作に関してもその枠に当てはまる部分が多かったのですが、それを補って余りある正統派な展開や要所での演

出の巧さなどは、久しぶりに純粋な「恋愛ゲーム」を遊ばせて貰ったという気分になりました。

 実際、当初の購入目的を忘れかけるぐらいにゲーム本編自体を最初から最後まで楽しませて貰いましたし……。


 肝心のゲーム自体も小粒ながら完成度は上々。要所の丁寧な作りに加え、エロゲ的にスレている私が思わず赤面してしまいそうな

ほどの直球演出、そしてそれらを動かすシナリオと魅力的なキャラは非常に好印象でした。また、一応メインの目的でもあった年上のおね

いさん云々というシチュもなかなかにツボを付いた作りになっていて嬉しかったですね。イラスト的にはもう少し大人っぽく描いてくれても

良かった気がしますが、イラスト関連は自分から敢えて切り捨てた要素でもあるので、ここでは不問と言うことにしておきましょう(苦笑)。


 ……それでは、個々の見解に行ってみましょう。







●− Review2 ゲーム性  −●






 さて、先ずは……ゲーム性云々です。


 ゲームジャンルはADV。どう見てもADVなので、ジャンルに関してのコメントはありません。ちなみに1プレイ時間は3時間程度と若干

短めですが、話自体と起承転結はしっかりしていたので本線に関して短いと言う印象は持ちませんでした。まあ、裏を返せば本線以外に

関しては短いなあとも思ったのですが……この件に関しては後述します。

 で、肝心のゲーム内容ですが、年上のおねいさんが我先にと押し倒し&誘ってくるというのシチュを除けば学園系正統派恋愛ゲーム

として優秀かつこれ以上ないぐらいに成立していました。久しぶりに直球勝負のエロゲを遊んだ気分ですね。

 勿論それに加え、適度なキャラ萌えや要所で笑いを取りつつ進む展開はコメディ調の明るいノリ。そしてなおかつ個々の完成度が高い

位置でまとまっていた為、最初から最後まで楽しくプレイすることが出来ました。特にキャラクターに関してはどのキャラも良い味を出して

いて個性豊か。私的には非常に気に入りましたね。

 ……まあ、普段は一癖二癖ひねりのあるゲームの方が好きなのですが、本作のように直球で進むエロゲもたまには良いかなと。


 ただ、あえて言わせて貰うと、年上のおねいさんの誘惑を避けつつヒロインと……と言う点に関しては、年上をメインで楽しもうと考えて

いた私の目的と若干逸れていたので肩すかし的な部分もありました。まあ年上キャラ自体も個別エンドがあったのでひとまず納得(苦笑)。


 あと、矢張り本作において特筆すべきはそのエロエロ加減。

 恋愛ゲームとしては異例とも言える数の多さに加え、その内容も充実。勿論あくまでも純愛を貫くことも可能ですが……昨今の恋愛系

エロゲにおけるエロ要素の手抜きぶりを考えると、本作の充実度は高く評価して良いと思われます。

 そしてもう一つ特筆すべき点は、それらのえちシーンが不自然な挿入ではなく、殆どシナリオに違和感無く溶け込んでいたことです。

 恋愛系ゲームを遊んでいて、唐突かつ強引な展開に思わず「なんでやねん」とツッコミたくなることが多い立場としては、本作の自然な

展開を高く評価したいと思います。要所でエロく、それでいてシナリオが疎かになっていないと言う、恋愛ゲームにおけるひとつの完成系

を垣間見た気分ですね。いや、なかなかに堪能させて貰いました、はい。







●− Review3 ストーリー −●






 さて、年上誘惑な展開を垣間見ることが出来たのか……ストーリーです。


 主人公は至って普通の学生。但し趣味は園芸とちょっと渋め。

 そんな彼が数年ぶりに姉でもあり、幼なじみでもあった彼女と再会。しかし元々人を驚かすことが好きな彼女は主人公の在籍する

学園に入り、先生として主人公の目の前に現れた。驚く主人公を後目に、更にトドメを指す一言「私、今日から貴方の家に住むから」。

 そして更に悪いことに、旧知の仲と言う主人公の担任や新任教師を交えた3人で主人公の家に押し掛け、既成事実を作ってしまう。

 しかし、そんな彼も実は好きな女の子が居る……さてこの状況をどうしよう……
と言うかなり強烈な設定で物語は幕を開けます。


 で、内容と評価ですが……ぶっちゃけた話、正統派の学園恋愛ものです。年上ズの誘惑が要所で絡んできますが、基本的に主人公の

人格は破綻してないどころか何気に奥手系なので、結果的には純愛系になるところが良いですね。それもある意味凄い話ですが(苦笑)。

 また、本作は文章に若干癖があるので、人によっては若干抵抗があるかも知れません。まあ、特に不快になる類の文体では無く、逆に

イベントごとのオチ(というかツッコミ……補足追記の類かも)の一言は要所で笑わせてもらいましたが……。


 そして肝心のシナリオ本線は基本的にコミカル系。キャラ自体が非常に魅力的なので萌え要素も充分にありますね。先述しましたが、

思わず赤面してしまいそうなほど丁寧かつ直球な展開もあり、久しぶりに正統派恋愛ゲームを遊んだと言う印象が強かったです。

 またオープニングの回想で語られるように、本作はヒロインが最初から主人公に対して好意を持っていると言う設定なので、出会いや

恋愛動機などで生じる余計な課程を極力抑えていたのは個人的に好印象。ゲーム自体が小綺麗な作りなので、必要最低限のイベントで

固めた作風が上手く成功していたと思われます。

 まあ、全体的にプレイ時間は短いながらも要所にアクセントのある演出が組み込まれているので、シナリオに中だるみが無く、ゲーム

自体に没頭できたなあ、と。締めるところはしっかり締めていますし、ちょっとした修羅場も健在(苦笑)。

 あ、勿論要所で展開される年上おねいさんズの誘惑&個別シナリオも良い感じでした。シチュ的にも何気にHit。


 そうですね……正直、何かが秀でているシナリオと言う訳ではありません。普通のシナリオと普通の結末と言ってしまえばそれまで。

 ただ、その描写が丁寧かつ素直に書かれているため、嫌味のない描写になっていた点は非常に秀逸でした。また登場するキャラクター

も実に魅力的で、思わず惹かれそうになるキャラを演じていたと思われます。このあたりはライターさんの上手さですね。


 しかし、勿論不満な点もあります。特に気になったのは特定ルートに流れた後の早急な展開。

 これは主に年上ズが絡むシナリオに共通しているのですが、一部シナリオの結末が唐突かつあっさり終わりすぎな印象を受けてしまい

ました。余計な展開を端折った点は兎も角、どうも必要な展開まで端折っていたような気がしてなりません。折角良いキャラクターが揃っ

ているのに、特定ルートの安易な結末は勿体なかったな、と。実際それらのルートは私的にメインにしていた部分でもあり、もう少しゆっくり

と展開を楽しみたかったです。実際、メインルートと比較すると取って付けた……と言うより切り捨てられたようなイメージがあったのは頂け

なかったですね。特定ヒロインのみでなく、全てのシナリオを同じ程度のスケールで締めてくれると更に良い評価が出せたのですが……。


 とは言え、総合的に充分楽しめる内容だったことは間違いありません。久しぶりに上質なシナリオを遊ばせて貰いましたね。ええ。







●− Review4 グラフィック −●






 さて、ゲームの華、CGです。


 CGに関しては原画、構図、彩色共に平均以上。目の塗り方に違和感を感じた以外はそつなくまとまっていたと思われます。全体的に

癖が無く、万人向けもしくは抵抗が少ないタイプの原画でしたね。基本的に可愛い系な為、年上のおねいさんがあまり年上に見えないと

言う個人的な不満もありましたが、原画自体の完成度は良好。魅力的な絵と言っても差し支えないでしょう。

 まあ、立ちグラのパターンが乏しかった点は若干のマイナスポイントなのですが、その反面フェイスウインドウの表情変化はその欠点を

補ってあまりある出来になっていて非常に良かったです。コロコロと変わるキャラの表情はコミカルで非常に心地よく、コメディ的な演出を

助長させる役目としても円滑に働いていたと思われます。勿論萌え要素も充分にあるのでキャラ単体を楽しむことも可能ですし。

 ……まあ、本来は立ちグラが変化した方が良いんですけどね(苦笑)。


 で、矢張りここで取りあげるべきはえちぃシナリオを損なうことなく引き出していたその原画。恋愛ゲームらしい原画でありながら、えちぃ

部分はしっかりエロく描いていたと言う点は素直に誉めたいです。

 結果的に可愛く、かつエロエロにと言う一見簡単そうで難しい要素が見事に融合、昇華されていた作風だったと思われます、はい。


 ただ、強いて難を挙げれば各Hシーンを細かくしすぎな気がしました。と言うのは本作、同じキャラの絡みでも各シナリオごとに別パター

ンが用意されていたりと、その充実ぶりは先述したとおりですし回想モードも恋愛ゲームとしては異例の多さを誇りますが、共通ルートで

はなく特定のルートでしか見ることの出来ないえちシーンが多いので、正直全部見るのに一苦労。

 数に関しては非常に満足したので、それを特定シナリオごとでなく、共通ルート内で取り入れてくれると有り難かったのですが……。

 まあ、これはご都合的な見解なのですが、私的にはどうしても指摘させて頂きたいなあ、と、はい。







●− Review5 操作性(システム) −●






 はい、システム関連です。


 システム本体に関しては本作がADVであると言う点を考慮すると、必要であろう機能は一通り揃っていたと思われます。カスタマイズ

性には若干欠けていたものの、致命的と言うほどの印象はありませんでした。と言うわけでここは簡略(苦笑)。

 ただ、ひとつ気になったのがウインドウモードの16Bit限定仕様。要はウィンドウモードで遊ぶには16Bitモードでの起動が必須というわけ

ですが、これに関してはどうにも引っかかる仕様でした。そもそもこのご時世に……というのは若干語弊があるかも知れませんが、今時は

いかなる状況下でもモード変更が出来て当たり前だと思います。実際、私は結果的にこの点を未熟なシステム仕様と解釈しましたし……。

 あと、テキストウィンドウに対しても枠内の文字が大き過ぎるため文章が若干読み辛く感じてしまいました。これに関してはもう少しフォン

トサイズを小さくしてアンチエイリアスを掛けるぐらいの配慮があっても良かったと思われます、ええ。


 ……システムに関しては以上です。まあ細かな点を気にしなければ特に不満は無いという程度で認識して良いと思われますね。







●− Review6 音楽 −●






 さて、こちらは影の引き立て役……音楽です。


 普通……という言葉で片づけるのは不適当なのですが、残念ながら良い方面で特筆すべき曲はありませんでした。

 無難に作ってはいたものの、印象に残る曲もなくインパクトには欠けていたかな、と。唯一インパクトのあった曲も良い曲と言うよりは私

が嫌うタイプの不協和音系(決して音楽が不協和音と言う訳ではないのですが)だったため、嫌な部分で印象に残ってしまったかな、と。

 ただ、声優さんの演技に関しては及第点以上。非常に上手くキャラを演じていたと思われます。エロエロ加減もなかなか(苦笑)。


 あとは……主題歌が微妙に凄い歌詞だったぐらいでしょうか。歌詞に擬音が多く取り入れられていた所為か、曲自体は良い出来ながら

も個人的にはいまいち好きに慣れなかったのですが……まあ、なんとも言えない歌に仕上がっていたと思われます、はい。







●− Review7 総合評価 −●






 そうですね、個人的には高く評価したいです。

 恋愛ゲームでもしっかりと作ればこれだけエロくなるというお手本のようなシナリオに加え、要所で垣間見ることの出来た正当派かつ

素直な展開は、久しぶりに「恋愛ゲーム」と呼べるものを遊ばせて貰った気分になりました。

 個人的な話になりますが、恋愛ゲーに対して「飽き」が入りつつある現状でこういうソフトに出会うとホント嬉しいんですよ。新鮮な気持

ちで遊べるエロゲが少なくなってきているご時世、本作のような純粋なゲームに出会えたというのは有り難いことですし、何より私個人が

非常に楽しく遊べたというのは、重ね重ね本当に嬉しい話でした。


 さて、結論です。

 私的極論ですが、恋愛ゲームが好きな人であれば、購入してもまず不満の無い内容であると思われます。

 否定要素は特に無いのですが、上記の条件に当てはまらない人や年上系のヒロインとの「恋愛」課程を楽しみたい人などは、内容と

相談してから購入したほうが無難かと思われます……あ、でもそれじゃあ私が駄目か(苦笑)。


 まあ、年上おねいさんが出てくるエロゲを遊びたいと言う当初の目的からは若干かつ微妙に逸れましたが、目的に沿った展開もしっかり

と堪能できたことやゲーム自体の質の高さ、そして相応以上のエロさもあり、個人的には満足しています。恋愛課程は兎も角、押し倒され

系や流され系などのシチュは充分に堪能しましたし。

 そうですね、特に大きな欠点のない恋愛ゲームなので、この手のゲームが好きな人であれば一度は遊んでみて欲しいソフトです、はい。


 さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。

 縁があれば次のレビューでお会いしましょう(^^)/〜






2002/06/24 流 雷氷



Post,Script,


しかし渋い趣味だな主人公……まあ、自分も現役で書道やってるけどさ(苦笑)。




< ゲーム動作環境 >


 
 


OS=日本語版Windows98/Me/2000/XPが動作する環境

CPU=Pentium200MHz以上

メモリ=64MB以上

HDD=空き容量300MB以上

解像度=640×480:ハイカラー表示が可能であること

CD−ROM=実装必須

音源=CD-DA、WAV

DirectX=Ver7.0a以降



  


 
(一部パッケ−ジより抜粋)




< 補足 >




原画:まさはる」

シナリオ:藤原 将」

音楽:林克洋」

音声:有り アニメ:無し 」

価格:8800円」

初回特典:音楽CD」

年齢制限:18禁」

メディア:CD」

(順不同、敬称略)
 
 
 
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< 評  価 >
 
 
 
『 Floralia〜フローラリア〜 』
 
 
 
メ−カ−   Xuse【純米】
 
ジャンル        ADV
 
 
 
ゲ−ム性         9点
 
スト−リ−        10点
 
グラフィック          9点
 
操作性           8点
 
音楽             8点
 
 
 
合計 44点(50点満点)






<評価概要>





スタンダードな恋愛ADV。但しこの手のゲームとしては珍しくエロ方面が充実しており、双方がしっかりと両立されていた。

丁寧かつ上質な物語。恋愛の課程と結末をお茶を濁すことなくしっかりと書いている点は非常に好感が持てた。年上も可。

万人向け。目の塗り方に若干違和感があるが、それ以外はほぼ申し分なし。魅力的かつエロエロでよろしかった。

可もなく不可もなくの無難な作り。カスタマイズ性は乏しいが、ADVにおけるシステムとしては及第点。

普通。一部印象に残る曲もあったが、私的には良い曲と言うよりも不協和音としての認識だった。C.V.に関しては平均以上。



 
(上から順に、ゲ−ム、スト−リ−、CG、操作、音楽と各1行ずつの簡易評価説明)





<評価用プレイ時間参考表>




1プレイ時間     約03時間00分

総プレイ時間     約12時間00分
 
1プレイにおけるHシ−ンの割合(時間) 約00時間20分