Ver 1.00a



 
 






★★★『DALK外伝』★★★



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 はじめに注意事項です。このレビュー中には表現の都合上、どうしてもゲーム内容のネタバレなどが含まれている

可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略(エンディングまで到達) した

後で、このレビューを読むことをお薦めします(勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除

しているつもりですが、排除が万全とは言えません)。
以上の件、何卒ご理解ご了承下さい。 

 
 
 
@@@@@@@  ネタバレ注意  @@@@@@@








●− Review  序章 −●






 ん〜、旧作は遊んだことが無いんだけど……価格の割には長く遊べそうなソフトだよなあ。


 珍しく積みゲの目処が付き、新作を即日開始出来る段階になっていた9月下旬。私はネット上をゴロゴロしつつ、次回購入予定となっ

ていた「DALK外伝」に関する情報収集を進めていました。

 さて、この「DALK外伝」ですが、アリスさんが発売している低価格ゲーム路線の新作でもあり、外伝とは言え「DALK」の名を受け継ぐ

作品でもあります(もっとも私は前作未経験者だったりしますが……そもそも当時は年齢的に無理でした)。

 まあ、それはさておき、ひとつのシリーズとなりつつある「低価格路線」という存在は買い手側として非常に有り難い話です。

 以前発売された同路線の「妻みぐい」が間違いなく値段以上の内容だったことを考えると、本作も充分値段相応の内容であることは

ほぼ確実。また、最近ADV一辺倒だった立場としてはジャンル的にもちょっとした息抜きになります。


 強いて言えば前作未経験と言う不安要素もあったのですが、純粋にSLGとして楽しめるという期待と、もしハズレでも妥協できる金額と

言うのは矢張り魅力的……結局、若干不謹慎なことを考えつつ、本作を購入したのですが……閑話休題。







●− Review1  全体の印象 −●






 流石……と言うべきでしょうね。相変わらず金額以上に遊べる作品に仕上がっていたと思われます。


 いや、看板に偽り無し。本作からはお手軽に遊べて長く楽しんで貰おうと言う意気込みがしっかり伝わってきました。確かに低価格

らしい部分や不満点も要所にありましたが、それを補って余りある内容であることは確実かつ事実。定価2800円でありながら、これだけ

の完成度を持ったソフトを普通に提供出来ると言うのは凄いの一言です。

 ただ、少し計算外だったのが1プレイ時間の長さ。メインストーリーはあっさりした内容だと予想していた立場としてはある意味驚きでした

が、ちょっと社会人キラーになりかけていたかな、と。……そう言う面では看板に偽り有りかも知れません(苦笑)。


 しかし、いくらお手軽とは言え、このスケールでこの値段を持ってこられると他メーカーさんは結構辛いものがあると思われます。恐らく

一部メーカーさんの通常価格ゲームよりも遙かにクオリティが高く、なおかつ遊べる内容になっている訳ですし……。

 また、低価格自体は有り難いのですが、この価格に慣れてしまうと通常の値段に対しての抵抗が出て来るという危惧感もあります。

これはアリスさんにも言える話ですが、今後通常価格で発売するソフトはより一層のクオリティUPを求められるようになりますね。


 それでは、個々の見解に行ってみましょう。







●− Review2 ゲーム性  −●






 さて、まず先陣を切るのはゲーム性云々です。


 ゲームジャンルはダンジョン探索型のS.RPGで通常パートがADVな形式。ただ、実際のプレイ感覚はほぼSLGですね。1プレイ時間は

約10時間。スタッフロールまでは約25時間と、普通のエロゲと比較しても若干長め。但し自由度の高い作りになっているので相応の誤差

が生じると思われますが、相応に長いことは間違いありません。

 勿論お手軽とは言え中身はしっかりと作ってあり、ゲーム自体の安っぽさ等は全くと言って良いほど感じられない作りになっていた点は

流石ですね。また、厳密にプレイする際の難易度は若干高めですが、ゲームオーバーのペナルティが無いという点で難易度は相殺され、

実際は相応に遊びやすい作りになっていたと思われます。ただ、地味にSLGしているので、ジャンル嫌いの人は避けた方が無難ですが。


 ゲーム自体は基本的に単調作業。要はダンジョン潜りです。ただ、そこを単調にさせないのは流石アリスさん。ランダム要素が強いアイ

テム集めの楽しさや探索の楽しさなど、純粋にゲームとしても完成度の高い内容になっている点は見事でした。

 単純だけどハマる。まさにこの一言ですね。先に進めたい、止め時に悩むと言う感覚を久しぶりに味わうことが出来ましたし。


 ……ぶっちゃけ、この要素がしっかり出来ている時点で、ゲームとしては申し分無いんですよね。

 いや、相応に楽しませて頂きました、はい。







●− Review3 ストーリー −●






 特に語る要素が無いかも……ストーリーです。


 神々の世界……ある特定の能力に秀でた神と、その従事者だけが住む世界。

 ある日、体内に広大な迷宮を持つ神の内部に寄生魔神が現れ、体内でモンスターを吐き出し続ける。その魔神討伐を任されたのが

いつも暇そうにしていた主人公こと恋愛神マーティス。彼は渋々ながらも命令に従い、従者を引き連れ迷宮内に足を踏み入れた……。



 大まかな概要は上記の通りですが、ストーリー自体は余興と考えて良いと思われます。本線は特に捻りが有るわけでもなく、あくまで

物語忠実に進行します。……まあ、実際やっていることはダンジョン潜り以外の何者でも無い訳で……。

 とは言え、決して物語が手抜きと言う訳ではありません。実際、締めるところはしっかり締めてあり、納得のいく作りになっていました。

 各キャラごとの悩みや葛藤、成長などはしっかりと描写されていたことに加え、キャラ自体が可愛い系なので萌え要素もあり。まあ、元々

萌えゲーでは無いので、過度の期待は禁物ですが、相応の内容になっていたと思われます。まあ、お手軽ゲーですし。


 ただ、ほぼなんらかの因果で恋愛神の下に仕えている関係上、全キャラ最初から好感度MAX&同時進行が可能な為、シナリオ分岐は

ありません。そもそも最初からハーレム状態なので攻略する必要が無いんですよね。

 そのあたりを深く気にしないのであれば、気負うことなくまったりと楽しめる内容と展開になっていると思われます、はい。







●− Review4 グラフィック −●






 さて、ゲームの華、CGです。

 原画担当は……最近どうも良い方向に進化しているとは思えなくなってきた「むつみまさと」さん。

 確かに可愛い系ですし、元々好きな絵師さんなのですが……ぶっちゃけロリ絵です。キャラによっては犯罪確定。

 絵自体は安定&塗りも原画に相応したパステル調の明るい系。ある意味何の心配もなく堪能できる反面、ゲーム内容に合っているかと

いう点ではいまいち疑問が残ります。ぶっちゃけ根暗がウリのダンジョン潜りゲームにはちょっと合わない絵柄かな、と。

 いや、せめて個人的にはもう少しだけ見た目年齢を上げてくれると有り難いのですが……。


 ただ、今回驚いたのが、意外に豊富だったえちシーンのシチュエーションと種類の多さ。

 内容的にノーマル系が多いかなあと思っていたのですが、なかなかどうしてアブノーマル系も豊富。

 根本的に純愛とは言え、予想以上のシチュを見せて貰ったのは誤算であると共に嬉しかったです(苦笑)。と言うかこの主人公、微妙に

善人ですがやっていることは某ランス並にえげつないかも知れません。あ、そういえばえちシーンのCG、主人公の顔が妙に胡散臭かった

と言うか「変」だった気がするのですが……仕様ですかね。


 まあ、なんだかんだ言いましたが、私にとって魅力的な絵師さんであることは変わりありません。

 ロリ絵に対する違和感はありますが、逆に言えば原画メインで購入した人は充分楽しめる内容になっていると思われます、はい。







●− Review5 操作性(システム) −●






 さて、定番のSystem3.xと思いきや……。


 今回のメインシステムはSystem4.0が採用されていました。ただ、今までの3.xとは全く違う新規のシステムと言うことで、中身に関し

ては現在発展途上中と言うところでしょう。

 で、まず特筆したい点はバックログ機能が搭載された点。System3.xの悩みどころでもあったバックログ機能を搭載したことにより、

若干ですが安定から使いやすいシステムへと変化していたのは純粋に良いことだと思われます。


 ただその反面、基礎自体が違うこともあり、逆に使いづらくなった部分もあるなあと言うのも正直なところでした。余談ですがアリスさんの

ゲームで「不正な処理〜」は初めて体験。まあ、これは私の環境が悪かったのかも知れませんが。

 あと、ひとつ気になったのがメッセージ速度が均一な点。つまりメッセージ速度調整が無しということですが、現状を考えるとこれもどう

かな、と。個人的には読みやすい速度でしたが、本来は標準実装されるべき機能だと思われます。


 次にゲーム自体のシステムですが、矢張りこれも一長一短。

 まず本作はセーブ箇所と言う概念が無く、特定画面でのオートセーブ方式ですが、元々気負うようなゲームでは無いので、これ自体は

特に問題無いと思われます。ただ、なんらかの原因で壊れた&間違った状態でセーブしたときはヘコむこと請け合い。

 また、SLGで重要な要素でもあるキャラ移動に関してのシステムは非常に良かったですね。やり直し&再移動がコンスタントに行えた

こともあり、操作ミスが発生し辛い仕様になっていたのは好印象でした。


 しかし、メインであるダンジョン部分の操作性に関しては残念ながら相当不満が残る内容。

 その最たるものとして迷宮内のMAPスクロールが不可と言う点ですが、これは既存システムに慣れているとかなり不便です。

 いくらやり直し&再移動が可能とはいえ、先の地形や全体像を見渡せないことで敵から余計な攻撃を受けることが多々あるのは辛い

かな、と。まあ、シビアな内容では無いのでそれほど気にすることも無いのですが、本来標準とも言える機能だけに、何故無いんだろうと

言う印象が強かったです。と言うか実装して欲しかった……。


 結局、私が一番気にする要因である「ゲーム以外のことでストレスが溜まる」仕様になっていたのは頂けないですね。

 廉価品だから大目に……と言う部分もありますが、長く遊べると言う要素が有る以上、もう少しシステム回りには気を遣って欲しかった

なあ、と言うのが本音でした、はい。







●− Review6 音楽 −●






 さて、音楽です。


 規模が規模なので曲数はそれほど多くないものの、曲単体の出来や場面に対する融合などは相応かつ丁寧に作ってあり、好感が持て

ました。平均枠は充分クリアしているどころか、地味に良い曲が多く、個人的には良い感じで堪能させて貰いました。


 たた、当たり前……と言うのも失礼ですが、Vocal、Voice等は一切搭載されていません。

 値段を考えると特に不満は無い反面、矢張り欲を言えばVoiceが有ればなあ、と。個々のヒロインが相応に魅力的だったので、搭載され

ていればまた別の面でも楽しめたと思われますが……この意見は贅沢すぎですかね(苦笑)。


 ……簡潔ですが、音楽に関しては以上です。







●− Review7 総合評価 −●






 相変わらず値段以上の出来……と言うか8800円と言われても納得出来るぐらいの完成度でした。


 まあ、ゲームを遊んでいて低価格っぽさを感じなかった時点で充分な良作。と言うか、あまり値段を引き合いに出したくありませんが、

この内容でこの値段であれば、ハッキリ言って破格の完成度だと思われます。ジャンルによる好みの違いはありますが、少なくとも損を

すると言うことはありませんね。勿論、私個人も楽しく遊ばせていただきました……と言うかこの時点でまだ下に潜っていますが(苦笑)。


 さて、結論です。

 内容に興味があるorSLG好きorやり込み要素を求める人は買い。ちょっとした息抜き感覚で買ってもまず問題なく楽しめるでしょう。

 ただ、当たり前ですがSLGが苦手、嫌いと言う人は敬遠した方が無難ですね。難易度は低いものの、地味に本格的な作りになっている

為、作業的な内容が苦痛に感じる人は購入を避けた方が良いと思われます。


 まあ、無難すぎる意見ですが、矢張り「安い」と言う点は魅力的ですね。それでいて値段以上の価値があったのですから充分満足。

 なにより利益面等のリスクを背負いつつもこの路線を継続しているアリスさんの底力には改めて敬意を表したいです。


 さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。

 縁があれば次のレビューでお会いしましょう(^^)/〜







2002/10/01 流 雷氷



Post,Script,


しかし……本当に安いよなあ。




< ゲーム動作環境 >


 
 


OS=日本語版Windows98/Me/2000/XPが動作する環境

CPU=PentiumIII及び各後継500MHz以上

メモリ=128MB以上

HDD=空き容量470MB以上

解像度=640×480:フルカラー表示が可能であること

CD−ROM=実装必須

音源=CD-DA、PCM

DirectX=Ver5以降



  


 
(一部パッケ−ジより抜粋)




< 補足 >




原画:むつみまさと」

シナリオ:イマーム、とり」

音楽:NEY」

音声:無し アニメ:無し(但しチップアニメ有り) 」

発売日:2002年09月27日」

価格:2800円」

初回特典:無し」

年齢制限:18禁」

メディア:CD」

(順不同、敬称略)
 
 
 
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< 評  価 >
 
 
 
『DALK外伝』
 
 
 
メ−カ−   アリスソフト
 
ジャンル    S.RPG
 
 
 
ゲ−ム性        10点
 
スト−リ−         7点
 
グラフィック          9点
 
操作性           7点
 
音楽             9点
 
 
 
合計 42点(50点満点)






<評価概要>





単純こそ面白いと言う好例。整ったゲーム性と適度なやり込み要素の融合は流石と言える完成度。

あって無いようなものだが、相応に追える物語にはなっている。ただ、いかんせんお手軽すぎ。もう少し続きを見たい。

原画購入であればまず後悔しない。ただ、昔を知っている人は違和感を感じるイラスト。可愛さという面では申し分なし。

初披露となるSystem4.0だが、まだ発展途上中な感が強かった。とりあえずバックログ実装に関しては素直に拍手。

地味に良い。さり気なく、それでいてしっかりと自己主張していた。作曲者は初耳の名前だったが、これからが楽しみ。



 
(上から順に、ゲ−ム、スト−リ−、CG、操作、音楽と各1行ずつの簡易評価説明)





<評価用プレイ時間参考表>




1プレイ時間     約25時間00分

総プレイ時間     約30時間00分
 
1プレイにおけるHシ−ンの割合(時間) 約00時間20分