Ver 1.01
 
Nagale ゲ−ムレビュ−
 
 
 
 
 
★★★『D〜その景色の向こう側〜』★★★
 
 
 
 
 
■■■■■ README ■■■■■
 
 
 
このレビュ−中には、ゲ−ム全体のネタバレなどが多数含まれています
 
(極力抑えるよう努力してはいますが……)。
 
ゲ−ムをプレイ中及び未プレイの方は、ゲ−ムを最低一度は攻略(エンディングまで到達)
 
した後で、このレビュ−を読むことをお薦めします。
 
 
 
@@@@@@ ネタばれ注意 @@@@@@
 
 
 
 
 
 
 
●− Review  序章 −●
 
 
 
 
 
『何か面白そうなゲ−ムでも……ないかなあ……っと』
 
 
 時は遡り10月上旬。いつものように買ってきたE-LOGiNを読みながらのお約束のセリフ……。面白いゲ−ムがぱったり
 
と途絶えた99年下半期。少しでも魅力的なゲ−ムを探すために色々と情報をかき集めていたNagale……。
 
 
 そんな中、雑誌のメインペ−ジを読み終わり、広告ペ−ジをパラパラとめくりつつ何気なく内容を読み流そうとしていた
 
とき、ふと目に入ってきたひとつの広告……。それは、アンティ−クな衣装を着て椅子に座っている少女の絵……。
 
その広告こそが「D〜その景色の向こう側〜」だった。
 
 
 普段であれば気にも止めることのない広告が多い中、群を抜いて印象的な雰囲気の広告に完全に呑まれてしまった
 
Nagale。その後の雑誌情報を元にゲ−ムを調べ、結果として購入を決意したわけなのだが……閑話休題。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review 1  全体の印象 −●
 
 
 
 
 
 ……なんか主人公の格好が、妙にシャ−●ックホ−ムズに似ている気が……。
 
 それを裏付けるようにゲ−ム自体もとことん不可解な展開で進んでいくし……。
 
 ん? ということはシャルロット嬢はワ●ソン君か?(おぃ
 
 
 さてこのゲ−ム、文章の書き方がかなり独特である。別にシナリオライタ−の書き方が下手という訳ではないが、
 
知識に欠けるNagaleが読んでいると段々と嫌気が出てくる文章であることは事実である。
 
 更にゲ−ム自体も中盤までは全く先の見えない展開のため、文章のわかりづらい印象をより一層わかりづらく
 
している感があり、さらなる不可解(というかテキストを難しく書きすぎ)感を与えてしまいかねない。
 
 
 ところが、その不可解なテキストに嫌気がさしつつも、物語が先へ先へと進んでいく度に「これからどうなるん
 
だろう?」的な気持ちがわき上がってくるのは自分自身驚いた。というのも、最近は睡眠時間を削ってまでゲ−ムを
 
先に進めたいと思ったのは久しぶりだったからだ。
 
 
 実際、このおかげでゲ−ムを進める(攻略する)ことがさほど苦にならなかったのだが……。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review 2  ゲ−ム性 −●
 
 
 
 
 
 ゲ−ム自体はADVというよりはNOVという気がする。内容的には列車の中という閉鎖的空間の中で各車両を
 
進んでいき(または引き返していき)、車両ごとの様々なイベントをこなしていくという形式を取っているため、ほぼ
 
一本道な展開だ。実際、スト−リ−分岐の選択肢も殆ど無い。
 
 ただ、そのぶんひとつひとつの選択肢のウェイトが大きいので、選ぶ際には注意が必要だが。
 
 
 まず、設定や世界観には光るものがある。特に、西洋アンティ−クを思わせるような服装や演出が上手く表現されていて
 
感心した。全体的に過剰演出すぎる部分もあったが、下手な世界観を中途半端に演出するよりはこの方がいいと思われる。
 
 そういう面では列車という空間も演出に一役買っている。特に各車両の移り変わりを「未来」→「過去」という方程式で
 
表現するという考え方には素直に感嘆した。
 
 また、世界観に関しても荘厳な雰囲気があって非常に良かった。
 
 
 ただ、この渋めな雰囲気が逆にネックとなってしまった面もある。というのも、キャラのお笑いが入った行動が
 
どうしても浮いている感を受けてしまう……
 
 ゲ−ム自体がシック+アンティ−ク調な為に、主人公やヒロインのちょっとしたお笑いの行動に違和感を感じて
 
しまうのは勿体なかった。
 
 
 あとこのゲ−ム、男キャラが妙に多い……というか渋い。しかも個々人にそれなりの役割があり、各種行動で結構奮闘
 
している。これはなかなか珍しいだろう。
 
 ただその割には全体的にHシ−ンが少なめなのは拍子抜けした、設定が設定だけにもう少し多めに用意されているかと
 
思っていたのだが……。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review 3  スト−リ−性 −●
 
 
 
 
 
 さて、スト−リ−についてだが……以外にもしっかりと堪能させて貰った。確かにテキストが読みづらい(難しい?)
 
というのは事実だが、決して内容自体が悪い訳ではなく、物語の先が気になるという展開の上手さはここ最近のゲ−ム
 
の中では一番だった。
 
 
 というのも、ゲ−ムが進むにつれて、主人公の目的や立場が少しづつ内容が分かっていくのだが、そのタイミングや
 
度合いも絶妙に配置されており、最後までプレイヤ−を飽きさせない作りになっている。特にシナリオ後半部分は出来が
 
良く、結構「ぐっ」とくるシ−ンもいくつかあった。
 
 ……贅沢を言えばエンディング(トゥル−)の経緯をもう少し具体的に書いて欲しかったのだが。
 
 
 ただ、この良いシナリオに水を差しているものがある。それは「誤字」。どういう訳か誤字が多すぎる。
 
これでは盛り上がるシ−ンも盛り下がってしまう。というか、ここまで誤字の多いゲ−ムも久しぶりに見た。テキ
 
スト関係はデバッグで一番潰しやすい箇所の筈なのだが……。
 
 事実、テキストを見直したのか? と思えるほど誤字が目立ってしまったのは問題がある。
 
 
 とはいえ、久しぶりに満足のいく内容であったことは確かである。結局テキストの不可解さ+誤字の多さがネックに
 
なったとは言え、それ以外は非常に本当に良いシナリオだった。まあ、不可解な点については読む人が読めば十分に
 
納得のいくところだと思われる。
 
 Nagaleとしてももう少し奥深く理解してじっくりと読みたかったところである。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review 4  グラフィック −●
 
 
 
 
 
 CGは原画、彩色共に綺麗である。Nagaleはこの原画人のゲ−ムを初めて体験するが、非常に綺麗で繊細な絵を描いている
 
という印象を受けた(結構色々なゲ−ムの原画を書いている人らしいが……)。ただ、状況上かなり多用されていた
 
CGの一枚(あ、二枚か)だけが微妙に雰囲気の合わないCGに見えてしまったのは勿体なかった。……何も画面に星を
 
入れなくても……ねえ。
 
 単体で見ると面白いCGなのだが、全体的に「格調」のあるゲ−ム内容だっただけになんとなくではあるが「浮いて
 
いるCG」という印象を受けた。
 
 
ちょっと余談になるが、パッケ−ジの絵に惹かれたのは久しぶり。日和見な人が思わず衝動買いに走りそうなほど
 
幻想的な雰囲気を醸し出していた
 
 
 ただ、ひとつ疑問に思うのだが、立ちキャラCGが無いのは何故だろうか。本作はメッセ−ジウィンドウの
 
中に顔CGが表示されるだけの(もちろん状況に応じて変化はする)画面演出なのだが、この方法だと画面上には
 
背景のみが表示されるだけ……これでは少々味気ない。
 
 折角、良い演出をしているのだから、立ちキャラCGを表示させ、更に服装などの細かな部分をしっかりと書いて
 
より一層の世界観と臨場感を演出して欲しかったというのがNagaleの感じたところなのだが……。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review 5  操作性(システム) −●
 
 
 
 
 
 とりあえずシステムに関して大きな違和感が無かったのは好印象。選択肢の場面でセ−ブ画面のウィンドウが使えない
 
のは痛かったが、この程度は許容範囲だろう。
 
 
 しかし、先程指摘した誤字脱字の多さと同様に、ペ−ジのテキスト表記に関しては違和感がある。というのも妙な
 
ところでそのペ−ジのテキストが途切れ、次のペ−ジにその続きが表示されるというのは明らかにテキストが読み
 
づらい。確かに表示できる文字数に限界があるのは分かるが……。
 
 
 あと、マニュアルの中に各種用語解説があったが、解説自体に更に解説が欲しかったと思うぐらい
 
専門的に書かれていて思わず滅入ってしまった。まあ、気持ちは分からないでもないが……。というか、このリズムが
 
ゲ−ムの内容にそっくりそのまま反映されているのだろう(苦笑)。
 
 
 
 
 
 
 
●− Review 6  音楽 −●
 
 
 
 
 
 さて、音楽についてだが……。意外なことに、これもなかなか聴けるものだった。場面場面の曲に雰囲気があり、
 
臨場感などの演出効果も非常に良く表現されていた。
 
 全体的に聞き応えのある曲が多く、世界観に沿った曲調が目立ったのは好評価である。
 
 
 ただ、うるさい……というか、音楽の演出効果が大げさだ。イベントによってはテキストよりも音楽の
 
勢いが勝ちすぎていてイベントに集中出来ないシ−ンがいくつかあった。壮大な音楽が多かったことも影響していると
 
思うのだが……。曲によっては無駄な楽器(メロディ)を使いすぎではないだろうか?
 
 ただ、それを受け入れた上で聞くのであれば、音楽に関しては申し分無い出来であるといえる。
 
 
 
 
 
●− Review 7  総合評価 −●
 
 
 
 
 
 非常に充実したゲ−ム内容だったが、人によってかなり評価が分かれるゲ−ムだろう。
 
ちなみに、私的に言わせて貰えば「買い」である。
 
 テキストの難解さや理不尽な部分を入れても、十分に楽しめた。というか自分が思っていた以上の内容を見せて頂いた。
 
 正直に言うと、新規参入メ−カ−ということもあって過度な期待は寄せていなかったが、いざゲ−ムを始めてみると
 
思わずゲ−ムを先へ先へ進めてしまっている自分がいた。先程も触れたが、早く物語の結末を見たいと思ったゲ−ムは
 
久しぶりである。
 
 先入観として、シックな絵と世界観で買わせて貰ったが、純粋にゲ−ムとして買っても後悔しないクオリティだった
 
ことは間違いない。まあ、シナリオに勢いを感じたというのも私的評価をここまで上げた要因なのだが。
 
 
 Pure Platinum……これから先、どうなるかはわからないが、久しぶりに注目メ−カ−のひとつに加えてみようと心に
 
決めた今日この頃であった。
 
 あ、でもいくら誤字脱字のみとはいえ、修正版を出さないと言うのはどうかなあ……。
 
 
 
 
 
1999/12/21 流 雷氷委員長
 
 
 
 
 
 
 
編 集 後 記
 
 
久しぶりに文体を元に戻して書いてみましたが……やっぱりですます調の方が
 
書きやすいかな。どっちにしても文章力に乏しい内容であることは間違いないんだけど(^^;
 
では、縁があれば次のレビュ−でお会いしましょう!!
 
 
 
 
 
< ゲ−ム動作環境 >
 
 
 
OS=Windows95/98/NTが動作する環境
 
CPU=Pentium100MHz(推奨MMXPentium166MHz)以上
 
メモリ=32MB(推奨48MB)以上
 
HDD=空き容量70MB以上(推奨80MB以上)
 
解像度=640×480:ハイカラ−表示(推奨フルカラ−表示)が可能であること
 
CD−ROM=2倍速以上(推奨4倍速以上)
 
音源=CD-DA
 
 
                                       (一部マニュアルより抜粋)
 
 
 
< 補足 >
 
 
 
「原画:CARNELIAN
 
「シナリオ:中本穂積
 
「音楽:渡来亜人
 
「音声:無し アニメ:無し
 
「価格:8800円
 
「初回特典:無し
 
「年齢制限:18禁
 
 
                                        (順不同、敬称略)
 
 
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< 評  価 >
 
 
 
『D〜その景色の向こう側〜』
 
 
 
        メ−カ−       Pure Platinum
 
ジャンル       ADV
 
 
 
     ゲ−ム性      8点
 
   スト−リ−性      9点
 
    グラフィック     10点
 
       操作性      8点
 
        音楽      9点
 
 
 
                                        合計   44
 
 
 
 
< 評価概要 >
 
 
 
状況把握や理解に苦しみすぎる。その理由がわかる以前に疲れてしまうのはマイナス要因。
 
物語の運び方や展開があまりにも複雑すぎるが、それを越える魅力があることは事実。
 
原画、彩色共に綺麗で構図も良い。ただ、立ちキャラCGが無いのだけは疑問。
 
誤字は論外。盛り上げるシ−ンで盛り下がるのは痛い。あと選択肢場面でセ−ブできないのは何故?
 
若干音楽が状況に勝ちすぎているが、雰囲気、臨場感共に上手く表現されている。
 
 
(上から順に、ゲ−ム、スト−リ−、CG、操作、音楽と各1行づつの評価簡易説明)
 
 
 
 
 
<評価用プレイ時間参考表>
 
 
 
1プレイ時間     約08時間15分
 
総プレイ時間     約08時間30分
 
 
1プレイでのHシ−ンの割合(時間)     約00時間10分