ブライティア

　はじめに注意事項です。このレビュー中には表現の都合上、どうしてもゲーム内容のネタバレなどが含まれている

可能性があります。ゲームをプレイ中、及び未プレイの方は、ゲームを最低一度は攻略（エンディングまで到達）した

後で、このレビューを読むことをお薦めします（勿論、未プレイの方でも大丈夫なよう、ネタバレ的要素は極力排除

しているつもりですが……）。……以上の件、何卒ご理解ご了承下さいませ。　

　……ん～、6月購入予定のソフトがひとつ流れちゃったんだよなあ。

　それは北国もようやく夏めいてきた6月下旬のこと。良くも悪くもここ1ヶ月ほど購入意欲が沸くようなエロゲも出ず、休日はスロット

などを打ちつつ随分とまったりしていた私でしたが、流石にこれ以上レビューの間隔を開けるのは避けたい状況になってしまいました。

　……というか、流石に一ヶ月もエロゲから遠ざかると、エロゲのひとつもプレイしたくなります（苦笑）。

　で、雑誌を片手にあれこれとソフトを探し、綿密な購入計画をまとめていた私でしたが、ちょっとした事情から計画が破綻し、購入

予定のゲームがお流れになってしまったのです。

　さて、この穴埋めは一体どうしよう……ということで、急遽埋め合わせのソフトを雑誌で探しつつ、街中をあちこち徘徊していた私の

目に、ふと「Brightia」が飛び込んできたのです。

　実はこの「Brightia」、名前とそれなりの評判は以前から風の噂で聞いていたのですが、いかんせん私の苦手とする調教系という

ことで、特に気に止めることもなく見過ごしていたゲームでした。

　ただ、最近エロゲらしいエロエロなエロゲをやっていなかったことや、評価の安定した凌辱ゲーならそれなりにプレイできるのではと

いう予測を元に、勢いとノリ、更には羽目外し的な意味合いも兼ねて本作を購入したのですが……閑話休題。

　こういう調教ゲーってのは十把一絡げみたいなものだと思っていましたが……。

　前言撤回ですね。いや、良かったです。正直な話、調教ゲーが嫌いな私でも十分に面白いと感じました。

　普段は双方非合意系なシチュエーションを嫌い、恋愛系やコメディ系のゲームを中心にプレイする立場上、この手の調教ゲームに

対してはプレイする度にある種の罪悪感と嫌悪感があったのですが、本作は予想に反し、随分と楽しませて貰いました。

　ま、1回クリアしたら御の字だな……と思っていた気持ちは何処へやら。プレイしていくうちにどんどんハマっていき、魅力的なキャラや

さり気なく笑いを取れる日常描写の面白さなど、本当に調教ゲーかと疑いたくなるような展開にあれこれ戸惑いつつも、気がつくと

エンディング関連はフルコンプリートしていました（苦笑）。いや、本当に私としては異例のことですね。

　また、メインとなる調教シーンに関しても、内容のエロさに加え、簡潔かつ明快なシステムは好感が持てました。

　ただ、私はこういった明るいノリが強めの調教ゲームの方が気楽にプレイできるのですが、純粋な調教ゲーとして考えた場合は

ちょっと甘い内容かも知れません。恋愛、性奴、どちらのルートに流れるにしろ、いまいち気合いの入っていない調教や毒気を抜かれる

ような会話が要所要所に入っているため、いまいち展開に乗り切れない人もいるでしょうし……。

　それでは、個々の見解に行ってみましょう。

　さて、個人的には久しぶりのプレイとなるジャンルですが……ゲーム性関連です。

　まず、純粋に調教ゲームとしては非常に良くできていたと思われます。

　ちなみに大まかな内容は1ヶ月の期間中に4人の悪魔を調教し、性奴もしくは恋愛を楽しむという内容になっています。

　期間を考慮してもそれほど長いプレイにはならないと思っていたのですが、１日の行動が4回ということや、調教イベントがそれなりに

あり、1プレイ時間はそこそこの長さでした。とはいえ、調教の課程やパターンなどのゲーム内容が充実していた為、ストレスが溜まる

ようなことはありませんでした。

　で、肝心の調教に関してですが、服従感の演出も上手くできていましたし、抑えるところはしっかりと抑えてあるという印象でした。

　特にその時点での調教レヴェルによってメッセージが変化するといった、いわゆるじわじわと調教されていく課程などは上手く出てい

ましたし、ある種のリアリティがしっかりと表現されていたと思われます。

　また、調教の種類も豊富にあり、選ぶ選ばないは別として、ひととおりの行動が楽しめるのもポイント高いですね（苦笑）。

　ただ、調教ゲーとしては致命的とも言える箇所が存在したんですよね、本作。

　一番不味かったのは主人公の甘さなのですが、それぞれのヒロインもなかなか調子外れで気合いが抜けることしばし。

　勿論基本的には「調教＆凌辱」がメインなのですが、なんか、腹が立つぐらい各ヒロインが魅力的なんですよ。

　しかもメインとなる調教シーンが妙にほのぼのとしていて、いまいち真剣味に欠ける感じがあり、思わずその雰囲気に流されて最初

から恋愛ルートに流れるところでした。

　……いや、私は一度恋愛系に流れると鬼畜に戻れないタイプなので（苦笑）。

　ただ、純粋に調教ゲーとして考えた場合はちょっと甘い内容かも知れません。特に性奴、愛奴に至るまでの過程は

もう少しメリハリが欲しかったところです。

　実際、最初の数回はキャラを心理的に追いつめていくイベントがあったのですが、後は特に表記もなくだらだらとなすがままな調教。

　特定の規定数値に達することによってそれぞれのルートに変化する形式を取っていますが、それまでが性奴ルート、愛奴ルート共に

同じような展開で進むというのは違和感がありました。攻略的には簡単なのですけど、ね。

　これに関してはもう少しふたつのルートを対極化させ、性奴ルートに関しては鬼畜度を上げ、更に心理的に少しづづ追い込むような

展開があっても良かったと思われます。

　……あと、これは狙っている部分もあるのでしょうけど、どう考えても主人公が天使とは思えません（苦笑）。

　このゲームをプレイしていると殆どの人が感じると思うのですが、どっちが天使でどっちが悪魔か悩みます、本当に。

　意外性とインパクトと言う面では充分な効果だとは思いますが、逆のパターンでも全く違和感を感じない状況を想定できるというのは

絶対に初期設定が間違っていると思うのですが……。

　おいおい、どっちが悪魔だよ……という至極妥当なツッコミを受け流しつつ……ストーリーです。

　お約束というか、調教がメインのゲームと言うことで、基本的にストーリーはあって無いようなものです。

　それぞれにEDも用意されていますが、ED自体も初期設定を無視して強引にまとめている感があり、ゲーム終了後はいまいちすっきり

しない気分になってしまいました。

　ただ、道中やその中身は会話のセンスやキャラの魅力などもあり、中だるみすることなくプレイできましたし、それだけでも充分と

言えばそうかも知れません。

　まあ、個人的に助かったのは主人公の性格が随分軽く、親しみやすい性格だったことですね。鬼畜系のキャラと言うよりは、どこに

でもいそうな普通の兄ちゃんが楽しみながら調教しているという感じがあり、重苦しい雰囲気を嫌う私にとっては随分助けられました。

　気楽に調教……というのも変ですが、ヤる方もヤラれる方もいまいち緊迫感に欠け、良くも悪くも「ほのぼのちっく」になっている感も

ありましたし。

　でも実際、通常会話とかは何気に楽しいんですよ。本来調教系と言えば陰湿なイメージが強いのですが、本作ではそれが薄かった

ぶん、気楽な感がありましたし、なにより意外性がありました。本作は恋愛ゲーな展開に流れることも可能なので、調教部分を意識し

つつも、こういうイベントが純粋に楽しく見られたところは珍しいタイプのゲームだったなあ、と。

　まあ、恋愛にせよ凌辱にせよ、両者が意外なほどに上手く両立出来ていたと思われます。

　ただ、先程も少し述べましたが、主人公やヒロイン達の設定を活かしきってない部分もあると思われます。キャラの個性を生かした

固有イベントはありますが、とにかく天使と悪魔という設定が殆ど活かされていません。

　天使（というか堕天使？）が悪魔を調教するという意外性のインパクトはあるが、悪魔らしくない悪魔を見ていると何か不条理なものを

感じてしまうんですよね。

　まあ、あくまでもメインは調教ですし、ストーリーに多くを望むのは間違いなのかも知れませんが……。

　あと、余談になりますが、恋愛ルートのハーレムエンドは期待通りの内容で笑わせて貰いました、はい。

　さて、ゲームの華、CG関連です。

　一言で言えば「今流行の絵」……このタイプの絵柄は万人受けする部類に入るでしょう。

　実は私、このタイプの絵は個人的に苦手な部類に入るのですが、取りたてて構図が怪しいわけでもなく、世間一般的には綺麗な絵の

部類に入るイラストなので、CGに関しては十分な出来だと思われます。充分可愛かったですし（苦笑）。

　また、メインのキャラは特殊な状況下を除いて人外系ですが、ファンタジー風な原画イメージ的には上手く合っていたと思われます。

逆に、純粋な人間の描写については多少違和感を感じるタイプの絵柄でしたね。

　ただ……これは個人的にですが……どうしてもスライム系や触手系のイラストに関しては生理的嫌悪感を持ってしまったので、

それらのCGは素直に受け入れられなかったですね。

　まあ、これを言ってしまうと羽根やら角やらシッポやらアレやらが付いているヒロイン達も怪しくなってくるのですが……。

　何はともあれ、純粋にCGとして鑑賞するぶんには何ら問題のない内容だと思われます、はい。

　さて、ストレスのないプレイには欠かせない要素……システムです。

　結論から言うと、システム関連は文句の付けようがないぐらいに整っていました。

　実際、ささやかな不満すら感じさせない作りになっていたので、十分に満点の価値はあるでしょう。

　基礎的な完成度もさることながら、細部までこだわった機能なども良くできていましたし、この手のゲームでは必須とも言える

イベント回想もあり、本当に不満らしい不満はなかったですね。ゲーム中にもヒントモードなどのナビがありましたし。

　特に、複数回こなす必然性がある調教シーンを任意で簡略化出来るようにしたイベントスキップ機能は中だるみや繰り返しプレイの

労力を緩和するという面で非常に有効だったと思われます。調教システムも簡潔で解りやすかったですし。

　また、私は珍しく使いませんでしたが、過激な調教シーンのCGマイルド化機能など、ライト系ユーザーに対する配慮もしっかりして

いました。過激系を求める人にとっては邪道なシステムではありますが、調教ゲームに馴れていない人にとっては有効な機能だと

思われます。

　あと、バグらしいバグもなかったというのもかなりポイントが高いです。本作は暇つぶし的な要因もあり、購入時期が遅かったため、

ゲーム開始前にあらかじめパッチを貰おうと思いメーカーサイトに飛んだのですが、良い意味で肩すかしを食ってしまいました（苦笑）。

　こういう先読み行動が当たり前な時代もアレですが、本作に至っては無用の長物でしたね。

　そんなわけで、システム関連に関しては個人的に最高レヴェルの評価を出させて貰います、はい。

　さて、意外に重要なウェイトを占める分野……音楽です。

　単刀直入に言ってしまえば音楽に関しては及第点以上、ですね。どの曲も安定感があり、普通に聴く分には申し分ありませんでした。

　特にOP／EDに使用されていたファンタジー風の曲……哀愁を感じさせるような雰囲気の曲は個人的にお気に入りです。

　ただ、OPの曲を聴いた際に「おっ！　これは良い感じかも！」と思ってしまった所為か、それ以降の曲がイマイチに感じてしまったのは

勿体なかったですね。いや、これは結果的にOPの曲が1番気に入ってしまった所為なのですが（苦笑）。

　まあ、全体的に人外系キャラがメインに登場するゲームなので、音楽は全体的にファンタジー系の作風でまとめられていましたね。

ゲームの中で演出効果を出すには十分な出来だったと思われます。ま、もう一押しを求めるのが物書き屋の嫌なところですが（苦笑）。

　あと、声に関しては各キャラとも良い感じで不満は無かったです。久しぶりに喘ぎ声がメインのエロゲを満喫しました、はい。

　いや、堪能しました。

　予想していたより面白かったという心理的なプラス要因もありましたが、調教ゲーに対する認識を変えても良いかな、と思いたくなる

ぐらいに楽しませてもらったので、純粋に面白い内容だったんだろうな、と。

　良くも悪くも調教ゲームっぽくないライトなノリ、多少鬼畜に進行しても罪悪感を感じさせない展開など、純粋な調教凌辱ゲームとは

距離を置いている部分もありますが、これは私にとって逆に新鮮でしたし、今まで楽しいと思うことが殆どなかったジャンルのゲームを

コンプリート出来たと言うことが、私にとっては最大級の評価だと思います。

　……いや、恋愛に流れることも可能なので、最終的にはそっちの展開の方が好きなんですけど、ね（苦笑）。

　さて、結論です。

　調教ゲーって興味はあるけどちょっと……という人や、はじめて凌辱系に手を出してみるという人にはもってこいのゲームだと

思われます。いざとなったら恋愛に切り替えることも出来ますし（苦笑）。

　また、調教ゲームとしてもなかなか質の高い内容になっていると思われるので、そっち方面の方にもお勧めできますね。

　逆に、馴れ合い的なノリの調教ゲーが嫌いな人はあまりお勧めできないと思われますが……。

　ま、個人的にはなかなかの当たりでした。キャラも魅力的でしたし、なにより久しぶりにエロゲらしいエロゲをプレイできました。

　本来はこういうゲームをプレイしてこそ、エロゲユーザーとして正しい姿なのでしょうけど……。

　さて、今回はこの辺で筆を置かせて貰います。

　縁がありましたら次のレビューでお会いしましょう（＾＾）／～

場所の設定があやふやな面もあったが、調教ゲームとして楽しめた。気負うことなく楽にプレイできたのは好印象。

調教がメインとなるのでストーリーは乏しいが、イベントや通常会話などは上手く表現できていた。ただ、一部EDは疑問。

及第点以上だが、もう少し変化が欲しかったところ。ただ、単純に見て可愛いと思うことは重要なので、これはこれで。

ADVとして判断した場合、機能面ではほぼ文句無し。ヒントやサポートもしっかりしていて安定性がある。満点。

曲数は多くないが、音楽自体の出来は良い。また、声に関しても及第点以上。そこそこ健闘していると思われる。